第14話 「報酬とご褒美」
「ん......ここは俺の部屋?」
目を開けると慣れ親しんだ家の天井が目に入る。
頭痛が治まらないなか、なんとか体を起こして周囲を見回す。
部屋はすっかり暗くなっており、カチカチと時計の針が鳴る音と遠くから聞こえる金属が打ち付け合うような工場の稼働音が微かに聞こえる。
「マヌス君......起きた。大丈夫......?」
声がした方に顔を向けると、勉強机で俺が起きるのを待っていてくれたのか心配そうな顔をしたルミナさんがいた。
「ルミナさん、見守っててくれたんですね。ありがとうございます。まだ、少し頭が痛いんですけど身体は落ち着いてます」
「よかった......固有スキルのことを話してたから原因はそれだろうなとは思ってたけど......安心したよ~......」
そう言うとルミナさんは緊張した体を解すように、椅子の背もたれに体重を預けて力を抜いた。
ぼーっとした後に考え事をしたと思ったらいきなり倒れたんだ。ルーカスさんとルミナさんには迷惑をかけてしまったな。
「心配かけちゃってごめんなさい。ちょっと情報量が多すぎて気絶しちゃったみたいです」
「どんなことがあったか教えてくれる......?」
俺はルミナさんにルーカスさんたちと絆を結べたことで追加効果を得たこと、三つの追加効果が合成されたこと、修練所で氷鉄竜や身体が機械でできた動物が街にいる新しい世界を見たこと、その際に神様に世界を示したとのことで報酬として神導武器が変化したことを伝えた。
「新しい世界と神導武器の変化......珍しい体験をしたんだね。鉱魔獣と戦うことなく神導武器が変化したっていうのはあまり聞かないかな......稀に針や金槌の神導武器を得た人が生産職に就いて経験を積むうちに変化したっていう事例があるくらい......」
ルミナさんは「戦闘系では聞いたことがないね......」と口にした後にだらけた体勢のまま悩むように唸っていた。
「もう夜も遅いからルーカスさんたちに説明するのは明日にします。後は......ステータスの確認くらいはしておきますか」
「大丈夫......?まだ頭痛も治ってないのに色々な情報を入れて。明日にしたら~......?」
「心配しないでください。ルミナさんと話していたおかげで起きた直後よりはだいぶ良くなりましたから!」
俺はルミナさんを安心させるように笑顔を作ったあと、一度深呼吸をしてからステータスを開く。
「ステータス」
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名前:マヌス・カエリ
年齢:14歳
種族:人族
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【神導武器】
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【Ⅰ進化】原初のガントレット
└ 使用者の心身の成長と経験値によって姿を変える
└ 中心の窪みに魔鉱石を入れることで特殊な蒸気を内部に発生させる
【特殊変化】氷鏡鱗のガントレット
└絆が結ぶ世界の効果により変化した
└ 右手に鋭い歯車の爪、左手に鏡鱗の盾を併せ持つ
└ 鏡鱗の盾に魔鉱石を吸収させることで氷の蒸気を生み出し操ることができる
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【スキル】
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【通常】剣術Ⅰ
【通常】写し身Ⅰ
〈ストック:崩魔拳術【基礎】・カレンさんの完璧な守護・インパクト・ソルさんの弾幕回避術・ルーカスさんのレイピア術・魔法発動プロセス・精霊術発動プロセス〉
※他のストックは削除済み
【通常】格闘術Ⅲ
アーツ〈正拳突き・掌底撃ち〉
【通常】身体操作Ⅱ
アーツ〈過集中・動体視力向上〉
【通常】魔力操作Ⅱ
アーツ〈肉体強化・外部放出・魔力形成・属性変換〉
【複合】崩魔拳術Ⅱ
└ 魔力と力を混ぜ合わせ相手を内部から破壊する武術
アーツ〈浸透破・属性エンチャント〉
【固有】絆が結ぶ世界
└ 絆を深めた者の力を少しだけ得ることができる
└ 絆を深めた先に新たな力を得る
└ 神に絆の先の世界を示すことができる
〈追加効果:斧術の可能性・魔法使いの種・精霊術の欠片・氷鉄竜の鏡鱗〉
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【魔法】
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【得意】土魔法Ⅱ
【得意】無魔法Ⅱ
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【称号】
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【初期】神導に招かれし者
└ 神導武器の適正が他の者よりも少し高い者に送られる称号
神導武器の成長を微補正
【成長】始まりの足跡
└ 自分の努力で己に課した試練を乗り越えた者に与えられる称号
心が折れにくくなる
【特殊】神に世界を示した者
└ 新たな可能性を神に示した者に送られる称号
神導武器の変化先に補正
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「修行中に進化したスキルを抜くと変わったのは氷鏡鱗のガントレットに氷鉄竜の鏡鱗、称号で神に世界を示した者が増えてますね!」
氷鏡鱗のガントレットについては次の訓練のときに試してみなきゃだな。でも、爪と盾という新しい攻撃手段が増えたのはめちゃくちゃ嬉しい!
あとは称号だけど、これは最後に聞こえた『――出会いが形となり、世界を創る』という言葉がヒントになっている気がする。
世界を創る、か。想像もできないくらい大きな言葉だけど俺がそれをやったんだよな。
新しい情報に興奮して、また思考の渦に飲まれそうな俺を見て呆れたようなルミナさんの声が聞こえる。
「マヌス君~......嬉しいのはわかるけど今は身体を休めるのが大事だよ~......?」
「あ、ごめんなさい!でも、新しいガントレットの形か~。明日の修行で試してみようかなぁ!」
「何言ってるのさ~......明日はお休みだよ」
「......え?」
聞き間違いかな?ルミナさんが明日は休みって言ったように聞こえたんだけど。
「なんか呆けた顔してるけど......当たり前でしょ~。倒れたばかりですぐ修行は危ないじゃないか......それとも、マヌス君は人様に心配をかけたのに更に心配を掛けさせるような悪い子なのかい......?」
いたずらを仕掛けるように少し悪い笑顔をしたルミナさんが俺としっかり目を合わせるようにこちらを見つめている。
やっぱり俺の聞き間違いじゃなかったようだ。
た、確かに倒れたのはものすごく心配させてしまっただろうし、ルーカスさんたちにも謝らなきゃいけないことだ。......いや、でも!
「でも、俺......修行を始めてからまだ休んだこと無くて!ここで休んじゃったら討伐者になれないかも......え!?」
どうしても修行を休みたくないという子供みたいな我が儘は、ぽふっという音とともに俺の頭を抱え込むルミナさんの抱擁によって遮られた。
いつか見せた素早い動きで俺のことを抱きしめたルミナさんはあやすように俺を何度も撫でたあとに口を開く。
「大丈夫、マヌス君は十分頑張っているよ。毎日君のことを見ている私が保証する。これまでがむしゃらに修行をして続けられたのは凄いことだ。だけどね、一日くらいは休んでもいいと私は思うんだ......だめかな?」
俺のことを肯定してくれる言葉に少し泣きそうになりながらも、まだ休むという言葉を口に出せずに黙った俺にルミナさんが呟く。
「じゃあ、これまで修行を手伝ったご褒美として明日一日を私にちょーだい......?マヌス君、デートしようか。」
「デート......?」
「そう、私に付き合ってよ」
ルミナさんに抱きしめられたまま、伝えられた言葉は俺のうるさいほど鳴っている心臓の音を止めてくれないらしい。
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