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ガントレットは青空を掴む ー旅は導き、世は助けー  作者: いさな
第一章 導きのエルフと自由の栞

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エピローグ 「未来の光景」

初作となります! これからよろしくお願いします

 騎士道を重んじて民を守ることを信条とする国であるエニイ・デス国の騎士である二名の女性騎士は現在、鉱魔獣を狩るために危険を冒しながらも魔の森に訪れていた。


 木と鉱石が混在する資源の塊ともいえる魔の森を開拓するきっかけを探すことが二人の任務であるが、奥に進むにつれて増えていく鉱魔獣に耐えながらも、全方位から襲い掛かる鉱魔獣の群れによって危機的状況に追い込まれていた。


「まずい状況ですね......囲まれています」


 身体を覆う蒸気装甲筐体スチームアーマーに亀裂が入り、今にも壊れそうなギリギリな状態でなんとか立っている女性騎士ヴァレリアはぐるっと周囲を見回して現在の状況を把握する。


 こちらを虎視眈々と狙う様々な種類の鉱魔獣たちがいつでもこちらに飛び掛かれるようにチャンスを伺っているのが見て取れた。


 ヴァレリアを逃がさないように囲んでいた鉱魔獣たちがこちらを弱った獲物だと低く唸る。全ての鉱魔獣の体長が2m以上であり、その外皮はただのドリル程度では簡単に弾き返すほどの強度を持つ。関節部分からはその大きな体躯を動かすために必要になる加圧された蒸気が白く噴き出しいつでもこちらを仕留められることを示唆していた。


「ヴァレリア......どうする。このままでは崩れるのは必至だぞ」


 絶望的な状況のなかでヴァレリアと己を鼓舞するように先輩騎士のエレノアが解決策を見つけられない現状を覆す案は無いかを聞いてくる。


 緊迫した状況のなかで何とかこの状況を覆すことができないかを考える。


 残っているリソースは少なく、この数の鉱魔獣の襲われたら耐えることが出来るほどの防具の耐久値は無いしそれをカバー出来るほどの体力も無い。


 唯一打開できるとすれば己が鍛えてきた神導武器に身を任せて一か八かに出るしかない。


「エレノア、申し訳無いですがこのままギリギリ生きているような状況では私たちの命は助かりません。命を捨てる覚悟はありますか?」


「はぁ......しゃーないか!ヴァレリアまず私が突っ込む。その後に最大火力を叩き込んでくれ!!」


 そういうとエレノアは手に持つ大槍に魔力を込めて持ち手を握りなおす。


「ありがとうございます!負担を背負わせてしまいますが耐えてください。」


 ヴァレリアもエレノアの魔力の上昇に合わせて自身の魔力を高め、得物である軽直剣に注いでいった。魔力の高まりが最高潮に達したとき、二人は目を合わせて頷いたあと、全力で攻撃をする――その時だった。


「おーいそこの二人~助けは必要か~」


 二人は攻撃しようとした手を止めて。この緊迫した場に相応しくない気の抜けた声のしたほうに顔を向ける。そこには森に生成されている魔鉱柱の上から片手をポケットに手を突っ込み、こちらに手を振っている男がいた。


 その男は先が見えないくらいの鉱魔獣の大群を前にして、ふらっと散歩をしに来たかのような余裕を感じさせる顔をこちらに向けている。


「あなた......っこの状況がわからないのですか!今すぐ逃げなさい!あなたの手助けがあったところで覆すことのできる状況じゃ無いです!」


「そうだ!ここは我らエニイ・デス国の騎士に任せて今すぐ逃げるんだ!」


 ヴァレリアとエレノアは声を上げて突然現れた男にここを離れるように言うが何故かこちらを襲おうとしていた鉱魔獣たちは男に狙いを定めたように声の主の方向を見て動かずにいる。


「ちょっと厳しい感じかね。勝手に助けてもいいかな~」


 そう呟くと、男は空を蹴るかのような軽やかさでその場から一回転しながら飛び上がり高台からこちらへ降りてくる。


 新しい獲物が自分たちの狩場に落ちてきたと思った鉱魔獣たちが一斉に臨戦態勢に入る。筋肉を隆起させ、蒸気排出量が増大した鉱魔獣たちがご馳走を我慢していたかのように男に向かって襲い掛かっていく。


「危ない!」


「大丈夫だよ」と男は笑顔を浮かべながらそう呟くと、ポケットから手を出して両手の拳を胸の前でかち合わせた。


「絆に応えて顕現せよ。【原初のガントレット『機動』】」


 そういうと男の胸から光球が発生し線となって、両手に集まっていく。


 光りが収まった後に表れたのは、漆黒の金属で形成された大きな腕だった


 黒い金属板が何層にも連なり、中心には七色の光を放つ魔鉱石とそれを中心にして囲むように配置されている歯車が回り続ける。

 金属板の上に連なる蒸気管から圧縮された七色蒸気が噴出したと同時に男が敵に拳を向ける。


「スキル【鏡が魅せる自分ミラーミー】・【奮迅崩壊】・【エンチャントオール】」


 男がそういうと一瞬の煌めきとともにその場に構えていた姿は消え、ヴァレリアたちが認識したときには全ての鉱魔獣がゆっくりと地面へ落ちていく。


 内部の骨が全て砕かれているのか強靭な外殻を持つ鉱魔獣たちは輪郭が歪み、ただの塊のようになっていた。


「なっ......なんですかその力は......!」


 ヴァレリアの驚きと微かな恐怖を感じさせる声を受けても男は気にした様子も無くこちらに振り向き、ヴァレリアたちへ手を伸ばす。


「俺はマヌス・カエリ、討伐者だ。自由を求め、旅をしている!」


 ヴァレリアとエレノアは伸ばされたマヌスの手を理解が及ばない表情をしながらジッと見つめていた。


 ――『この光景は未来への導き......少し時を巻き戻しましょう』

【作者からお願い】


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