最後はやっぱり、めでたしめでたし。
そんなこんなで兄だと思っていた人は実は腹黒いし、策略家だしで全然優しくなんかなかったけど
でも私を一番愛して大切にしてくれる旦那様になりました。
「シェリル。おまたせ。珍しいね、シェリルからお茶に誘ってくれるなんて。」
「フェル様。お待ちしていました。お仕事のほうは大丈夫ですか?」
恐らく多忙な中来てくれたであろうフェル様を出迎え、向かいの椅子をすすめながら自分も座る。
…あ~今日は気温もちょうど過ごしやすいし、風も心地いいし、やっぱり外でお茶しようと誘ってみてよかった~。
「もちろん。シェリルのために仕事の1~2時間くらいは空けるよ。それに珍しくシェリルからのお誘いなのに僕が来ないわけないだろ?」
フェル様の言葉に思わず笑みがこぼれてしまいます。フェル様は結婚してからさらに私に甘くなったと思う。今も私を見る瞳で恋と愛情を惜しみなく私に雄弁に語りかけている。
う~ん。こんなにあからさまだったのに、結婚前の私…。
鈍すぎたな…。ごめんね、あのころのフェル様。
「ふふ。ありがとうございます。…今日はフェル様に一つご報告があるのです。」
「報告?」
フェル様が首をこてんと右に傾けながら不思議そうにこちらを見ている。
はい、かわいい~。美形~。
「はい。」
「なになに?」
私がなかなか話し出さないからか、フェル様は焦れたのかテーブルに身をのりだしてきてしまった。
「…こほん。それでは報告します。」
私は後ろにいた侍女から手のひらサイズの小さな巻物を受け取ると、それを手品を見せるようにすこしゆっくりともったいぶるように開き、フェル様に内容が見えるようにずいっと勢いよく目の前に差し出しました。
「…シェリル。近すぎて一文字も見えないんだけど?」
そう言いわれても紙をどかそうとしない私を不思議がりながらも、フェル様はご自分の背をそらしながら文字を読み始め…
「…っ」
がさっと私から巻物を奪うと、そのままぱっと椅子から立ち上がり背をむけてしまいました。
「フェル様?」
私もそっと椅子から立ち上がりフェル様の正面にまわりこむと、
「…っう。…くっ。」
フェル様ってば、大号泣していました。
さっき私から奪った巻物を額に押し当てて、見たことがないほど顔をくしゃくしゃにして泣いています。
「…ありゃ。ふふふ、フェル様ったら。」
私はまだ少しも膨らんでいないおなかに手を当てながら続けました。
「ねぇ、あなたのお父様はあなたに会えるのをとても楽しみにしているそうよ。…今は泣きすぎて言葉にならないみたいだけど。」
「…シェリル。うるさいよ。僕の父親としての威厳がなくなるだろ…。」
泣きすぎて既に父親の威厳などとは程遠いフェル様をひとしきりからかってから、改めて妊娠の報告をするとフェル様は私をぎゅーっと抱きしめて、一言ぼそっと「ありがとう。」と言ってくださいました。
こうしてフェル様は私を一番愛して大切にしてくれる旦那様になり、わが子を溺愛するお父様にもなってくれたのでした。めでたしめでたし。
ここまで読んでくださいましてありがとうございました!
物語はいったんここで終了しますが、フェル様視点やら後日談やらご希望があれば書くかもしれません!
最後はやっぱりめでたしで終わるのがいいですよね。ありがとうございました。




