『魂の欠片』
「……ふう」
散らばった本もある程度片付いて、書斎は綺麗になった。
「……さて」
私は本を読み始める。その本は歴史についての本だった。
「……吸血鬼……か……」
本の内容は、大昔に吸血鬼が世界を支配していた……という物だった。
読んでいて良い気持ちがしなかったため、本を棚に戻す。
その時。
ボトッ
「……あら?」
床に何かが落ちたのに気づく。それは何かの日記だった。
「……何かしら?」
その日記の中身を覗くと、それは白紙ばかりだった。だが、最初のページだけ、何かが書かれていた。
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10月10日
アリアが五歳になってから、半年が経った。庭で遊ぶのを見ていると、カルマを発動させているのに気づいた。奇妙なのは、私と似たような……いや、ほとんど同じ能力に目覚めていたことだ。
後で調べてみると、まれに遺伝するカルマもあるようだ。アリアの場合は私よりも、弱体化しているとはいえ、このまま放置しておく訳にはいかない。
だから、明日から目隠しをさせて生活させることにした。
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「…………これって、いったい誰が……」
ズキン
「う……」
私は頭が痛くなる。何か……何か大切なことを忘れている気がする。
そんな時、私はある人の名前を口にしていた。
「お母様……」




