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私たちは、あなたの輝かしい過去を一冊の本にし、夢を通してお見せします。  作者: 夢乃めちあ


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31/45

31話 "黒の書き手"

★主な登場人物★


・ベル (本名 ???)

現代人。鈍感な本の書き手/164cm


・来栖恭介

未来人。爽やかな医者/177cm


・百目鬼弓月

未来人。真面目な護衛兼リーダー/185cm


・七彩七海

未来人。チート級つよつよギャルの護衛/155cm


・服部半蔵

過去人。純粋な心の忍者。護衛/172cm


、若王子王子

未来人。七海の兄。自称天才・実際天才/167cm

 私のステッキが命中して、早送りを解除した瞬間――黒羽フリルから洪水のような涙が流れて、ライブのスピーカーの真横にいるような音量で声を上げて泣いてた。


「うわああああああああああああんっひどいですわっ! 痛いのですーーーーーーーっ!」


 佐山の時の爆弾解除と同じように、黒羽フリルはピンクの光に包まれてから、心臓の辺りから小さな光が浮かび上がって――弾けて無くなった。


 それを見たナナは、たったったって走って来た。泣いているのを無視して――手錠で手を拘束し、小さくてもちもちのおててで、しっかりぎゅっ! ぎゅっ! と、足を縄で縛った。それはそれは丁寧にしっかりと縛った。


「ナイスっスベルっち! 転送しようっス」


 周りにお花を咲かせながら、白い八重歯が見えるくらいの笑顔で私に言ってくれる。


「うん!」


 私もにっこり笑って返事した。

 怪しい敵を、やっつけたぞっ!


 でも、泣いてるから罪悪感があるよう……。


 王子くんたちが慌てて走ってきた。足おっそ!

服部さん、ユヅさん、キョウ、王子くんの順で到着する。


「転送したらだめだよ! 聞いてなかったの?」


「聞いてたっスよ?」


 ナナも私もきょとんとして一緒に首を傾げる。


「なんか話してたけど、五倍速にしてたし、みんなを守るのに集中してまして……」


 キョウは私の頭をぽん、として手を乗せたまま教えてくれる。


「あのな、ベル、言いにくいんだけどな……その子、助けを求めてたんだ」


 ナナが猫の目でギロリとキョウを睨んだ。こわかわいい。


「そんなの嘘っスよ。キョウ兄は騙されちゃダメっス」


 ナナがきっぱり言って、キョウの白衣を掴んで揺らす。揺らさないでー!


「助けてくださいませっ! わーーーーーーーーーんっ」


 びっっくりしたあ! 声でかっ‼︎


「嘘泣きっス。だってコイツムカつく顔してるんスもん」


 理由が理不尽! ねえっ誰かツッコミ役やってよー! 私だけじゃ追いつかないようう!


 王子くんはどこからか飴を取り出して、ぽんっと軽く投げた。


「うにゃんっ!」ナナが飛びつく。


「ユヅくん!」


 ユヅさんは王子くんの意図を瞬時に理解して、ナナを捕まえた。


「あぎゃにゃにゃにゃーッ! ユヅパイセン! アイツっ! 超殴りたいっス!」


 ナナはユヅさんの腕の中で猫耳をとしっぽを立てて暴れてた。


「どうした? 七海らしくないな」


 ユヅさんがキャッチした飴を開けて、ナナに食べさせてあげると一旦落ち着いたんだけど、また戦闘モードに入っちゃった。


「んー……ナナちゃんは勘がいいからね。あの子、いやあの女性は右山の妹だから」


「なんだと!? それで七海の怒りのセンサーが働いたのか……」


 そういえば、ナナってわけわかんないところで怒ったりする。自分より胸が大きいとか、そんな理由で突発的な感じなところがある。


「ちな、ナナちゃんより二個年上。オレの計算外の動きをしてたけど、能力は無かったし非戦闘員だから、問題視してなかったんだ。――まさか、直前に『時間停止無効化』の能力を身につけてくるとは思わなかったなあ」


「えっ!? 情報過多すぎる! わかんない!」


 わかんない、わかんないわかんないーっ!


「ベル、落ち着いてくれ。一つ目、助けを求めてたが事実かどうか不明だ。二つ目、右山の妹。三つ目、今ベルは時間停止させているが、それがあの人には効かない。わかったか? 大丈夫だから落ち着いてくれ」


「わかった、もう大丈……」


「大丈夫じゃないのですーーーーーー! ひーーーーーーーん!」


 わわっ洪水のように涙が出てる!

 声もすごっ!!!!!


 ナナの猫耳がピクンと動いた。あ、赤い怒ってるマークがついてる!


「この女ッッ! うざいっス! 黙るっス! うに"ゃ"ーーーッッ!!」


 ナナが猫を超えて、獣のような咆哮を出した。いや、放った。黒羽フリルは石になったかのように動きが止まり、当然のごとく黙り、涙も止まってる。


「オレの妹やば……。キョウくん、一回ベルちゃんとフリルちゃんを落ち着かせたいな。ナナちゃんもね。"黒の書き手"は寿命や体の一部が引き換えに"本"を書くから、助けを求める人も少なくないんだ。男のオレらより、ベルちゃんが話してくれると助かるんだけど……いいかな? ナナちゃんは無理っぽいし……」


「落ち着いたら、多分、話せるし、なんなら悪気があったかどうか見抜けると思うけど、今は上手くできないと思う。動揺してて……ごめんなさい」


 ユヅさんは、ため息をついた後、「謝るな」って言いながら近づいて来てくれた。抱っこされたナナが私の三つ編みを掴んで、遊ぶようにみょんみょん動かしてる。


「ベルっち〜三つ編みかわいいっスね!」

「えへへ、でしょ?」


 ああ、この空気だ。ナナの全く関係ないことを言ったり、してくれる空気が好き。安心してきた……。


「結果はどうあれ、ベルがこうしてなかったら誰かが彼女に触れて爆発していたかもしれないんだ。――派手ではあったが能力も解除できて僕達も黒羽さんもみんな生きてる。ベル、誇りに思ってくれ」


「うん。ユヅさん、ありがとう……」


「キョウ兄〜〜? パイセンに良いところ持ってかれていいんスか?」


 ユヅさんに拘束……いや、抱っこされてるナナは猫の目で促した。にゃふん! と何かを期待してる。


「そーだよキョウくん! 半蔵くんも応援してあげてっ」


 服部さんは突発的に飛んできた指名に「キョウ殿……」としか言えなかった。声出してくれるだけでいいよ!


「俺は……なにをすればいいんだ……」


 キョウは頭を抱えてしまった。いや、両手で頭を掴んでる! そこまでしなくていいよ!


「愛を込めて唇を……きゃーっス!」

「せめてハグくらいしたらどうだ?」

「ねーっここでプロポーズはどうかなっ?」

「キョウうさ殿でよしよし作戦でござる」


「それだっ! 服部さん! ベル、『キョウうさ』借りるな?」


 キョウは、私のベルトからキョウうさを外して、自分の白衣からベルうさを出した。


 私にベルうさを持たせてくれて、キョウうさはキョウが持った。


 優しい手つきだったけど、緊張してるみたい……。


 それから――キョウは、ベルうさの口に、キョウうさの口をくっつけて、すぐ離した。


「本当は、本当にしたいが……今の俺にはできなくてごめんな。俺達を守ってくれてありがとう。その……お嫁さんとか大切な話は、もう少し俺達が一緒に過ごしてから話そう……いいか?」


 その、落ち着いたか? って私だけにしか出してくれない甘くて包み込むような声が、混乱してた私の心の糸を解いてくれて、同時にときめいて心臓が内側から叩かれる。


「落ち着いたけど、ドキドキしてる……」


「そのドキドキは良いドキドキだね♪」


「うん、王子くん。でも、キョウは使い果たしちゃったみたい」


 キョウは、体育座りになってベルうさを抱きしめてた。


 頑張ってくれてありがとう。将来のこと、ゆっくり考えようね!


「じゃあ……黒羽フリルさんに話しかけていいですか……?」


 みんなが頷いた。殴ってしまったし、縛ってるし、責任を感じてるもん。


 私は昔から感情が読めちゃうし、この役目はしっかり引き受けよう!


「私は"書き手"のベルです。さっきは殴ってしまってごめんなさい。私とピンクの猫耳のお兄さんの『王子くん』の質問に答えてくれますか?」


 あれっぼうっとしてきた……これから大事なこと、するのに……。


 震えながらも黒羽フリルさんは答えてくれた。


「ひゃ、ひゃいですの……」


「はい、これ、食べる? チョコ好き?」


 王子くんはポケットからチョコを出して渡した。黒羽フリルさんは目を輝かせてる。お菓子好きなのかも。


 王子くんもお菓子持ち歩いてるんだ……。もしかして、ナナにあげるためなのかも。


 黒羽フリルさんは受け取ろうとするけど、手錠を後ろにしたままだったのを忘れてた。


「ベルちゃん、フリルちゃんにあーんってして食べさせてあげ……。あれっベルちゃん!」


 王子くんの声で気がついたけど、動悸がしてきた。


 あ……能力を使ったからまた疲れたんだ。服部さんが私を支えに来てくれて、さらに「キョウ殿!」って呼んでくれた。


 照れ照れモードからお医者さんモードに切り替わる。この真面目で責任感があるのが私の尊敬する来栖恭介なんだ。


「王子くん、質問を急いでくれ。ベルが疲弊してる。無理をさせてしまうが……栄養剤を打とう。未来特製の良く効くものだ。何日か寝込むだろうが、いいか……?」


 私はキョウの白衣を握ってお願いした。


「いまっ、今ねっ……みんなを守れなかったら……意味ないから……お願い……なんでも、する……なんでも、したい……」


 ユヅさんは考え込んでから恐る恐る王子くんに提案した。


「危険を伴うかもしれないが、黒羽さんを拘束したまま山神のところに移動してしまおう。車は定員オーバーだが……」


「いーねっソレ♪ ベルちゃんが休めるじゃん!」


「拙者は屋根を借りるでござる。車内の会話は盗聴器で聞くでござるよ」


 盗聴器!? こんな時便利になると思わなかったよ!


「じゃあ情報共有も大丈夫だねん♪ そのプランでいこーっ!」


 私たちはクロストレックに再び乗ることになった。


 運転席はユヅさん。助手席には王子くん。そして王子くんのお膝の上には超不服なナナ。

 後部座席に私とキョウ。私は未来の特別な点滴中! ぐったりでへにゃへにゃ。ぴったりキョウにもたれかかっちゃっていた……。


 でも即効性があって元気になってきたかもしれない。お薬すごい!


 そして、問題の黒羽フリルさんが、さらに手錠をかけられて車に乗せられている。車に乗せたのはナナ。もう力業だった。


 私の診察の後、パニックになってて診察できなかった黒羽フリルさんの頭に怪我がないか診たけど、大丈夫だったみたい。


 服部さんは屋根の上です。すごいね!


 王子くんが黒羽フリルさんに話しかけてる。一生懸命落ち着かせるぞー! 私が悪人か善人かなんでもないかを見抜くぞー! 


 私だけじゃなくて、キョウが脈拍測定器をつけてくれたから、嘘を言ったらドキドキしちゃう嘘発見機もあるの。


 ユヅさんも服部さんも話を聞いてて、みんなで判断するって感じ。


 ナナは「顔がキライっス! アニキと一緒に座るのが嫌っス!」って言ってて超機嫌悪い! 


 んー空気最悪だねえ。


「えっと、私ね、人の感情にとても敏感なの」


「……」


 黒羽フリルさんは黙ったままだった。


 助手席から軽快な声が聞こえてくる。でも、棘がなくて柔らかくて、王子くんの声はふわふわしてるなって思った。


「オレは若王子王子! 王子くんって呼んでねん♪ ベルちゃんの横にいるのがお医者さんのキョウくんで、運転してるのがユヅくん! 屋根にいるのは半蔵くんで、膝にいるかわいい女の子はオレの妹のナナちゃんでっす♪」


 なんか既視感がある紹介だなぁ……。ナナが初めて私にキョウたちを紹介してくれた時みたい。


「はあ」


「あっ。さっき渡せなかったチョコ食べる⁈」


「はいですの!」


「ナナちゃん、あーんして食べさせてあげて?」


 ナナはぷいっとして自分で食べちゃった。

その代わり、もっと大きくて食べやすいチョコバーをポケットから出して、黒羽フリルさんへ差し出した。キョウが手錠を一旦外して、長いものへ取り替えた。これで食べれるはず!


「こっちの方がビタミン入ってるっ……ス」

「ええ……」


「かわいいでしょ!? オレの妹」

「ナナ、かわいいよね」


 ナナは、にゃっふーん! ってドヤ顔してた黒羽フリルさんを見た。いや、睨んだ。


「なんですのその態度! そのお猿さんと比べるなんて失礼の極みですわね。ワタクシの方が美人で知的ですの」


「なっこのアマにゃぁぁぁッッ!」


 ナナが途中まで食べてたチョコバーを取って自分でむしゃむしゃにゃー! と食べると、黒羽フリルさんはすごく残念そうにしてた。


 ユヅさんがナナを落ち着かせるために赤信号で頭を撫でると、ナナがしがみついた。


 これだけ話せるなら黒羽フリルさんって落ち着いて、るんじゃ、ない……?


「うわっやっぱりナナちゃんとそーゆー関係だよね……ユヅくん」

「そうだ。でも今はそれどころじゃないぞ王子くん……いや、お兄さん」

「ふーくーざーつー!」


「もう。なんて騒がしいの? いたいけな女性に対してこんなことをして良いと思って? 解放して下さる?」


 ナナが振り返らないで黒羽フリルさんを責めた。


「自分で都合良く助けを求めておいてそれはないんじゃないっスか! ウチらを信用させてみろっス!」


「なっ、ナナが正論言ってるぞ! ベルっ聞いたか?」

「偉いぞ七海。よく言った」

「流石オレのナナちゃ、あいたっ」


 王子くんが頭突きくらってる!


「あのね、黒羽フリルさん……私たちもあなたを信頼したいの。どうして助けを求めたの? 教えてくれる?」


 私が覗き込むと「ベル様……」と吐息を漏らすように呼んだ。うわ、綺麗! お人形が話してるみたい!


「ワタクシは生きる術がなくて"黒の書き手"にされたのです。それはワタクシの意思ではございません。お金を稼ぐために寿命を売ったのですわ。お姉様も裏の仕事に手を染めてしまってそれきり。お姉様は――裏社会の人間になって、大切なものを失ってしまってワタクシ達姉妹は絶縁していますの」


「じゃあ、右山……さんとはもう関係ないの?」


 おっといけない、呼び捨てにするところだった。また泣かれたら大変なことになる!


「寧ろ敵ですのよ。あんな行いは認めませんわ! ワタクシは書くのをやめていましたが、ベル様に反対している組織がいまして、再び無理矢理"黒の書き手"にされてしまって……怖くなって未来から逃げて来たんですの」


「そっか……ようこそ。っておかしいかな。フリルさんって呼んでも良い? あっでも本名ってバレたらダメなんだよね……」


「ペンネームですから大丈夫ですの。ベル様、貴女はワタクシを信じてくれたんですの……?」


「んー、本当はわかんないけど、フリルさんは嘘ついてない気がするかな」


「話している間、脈拍も安定してたな。王子くん、判断を任せたい」


 ナナがあのクッキー缶を取り出して食べてて、王子くんも一緒に食べてた。


「一旦保留かなあー? 計算外のことも起きるからねん♪ フリルちゃんを保護するのは、山神を未来に転送するまでの間で良いよね?」


 フリルさんはまた泣き出しそうなったけど、ぎゅっと手を握ってこらえてた。何かを訴えようとしてた。


「そっ……そんな……ワタクシ! あの!」


「うにゃーーーっ! アニキ! ウチのクッキーっス!」


「ひぃぃッ」


 ナナの叫び声に怯えて黙ってしまった。さっきのすんんんごい「にゃー!」って声、怖かったよね……!



 王子くんがクッキー缶を私に回してくれた。私は「どうぞっ」フリルさんにお気に入りの二枚を渡してみる。


「美味しそうですの……」 


 キラキラしてクッキーを見て、一気に頬張った。


 あ、緊張感がほぐれたって顔してる!

 良かった〜〜〜! やっぱりお菓子好きなんだね。


 私は五枚食べちゃお。お腹空いてきたぁ!

 キョウにもあーんすると、意外にも照れながら食べてくれた。


「一気に五枚は多いぞ」


 くすくす笑ってる。キョウの笑顔、だいす――


 あれ、キョウの顔が見えにくくなってきた……?


 どうして? 元気に戻ったのに……。


「フリルちゃん! 改めて言うけどさー。オレら、反対派を潰すからもう大丈夫っしょ♪ それに――意図しなかったといっても、君は"黒の書き手"だからね? 今もベルちゃんを、みんなを脅かしてる。君の存在自体が脅威そのものなの。これが最大の譲歩。いーい?」


「はあ……警護対象が増えたな。ところで――もうすぐ警察署につくがどうする?」


「乗り込もうか。山神を転送しよう!」


 血の気が引いてるのがわかる。急に、さーってすごく嫌な、一気に弱っていくような波みたいなのが来た。


「待ってくれ、ベルの脈拍が早いんだ….顔が真っ青じゃないか! 今治すからな、任せとけ」


 こめかみを叩く音が聞こえた。キョウが私の体を診てくれてるんだ……。


「ごめんねベルちゃん。みんな――今、ベルちゃんは日本の時間を全て止めてるんだ。海外から日本の領土に入っても、その時点で時は止まるからね。そうお願いしたんだ……」


「王子くん! ベルにそんなことさせてたのか!」


「王子くんを責めるな! 落ち着け、恭介! 僕達の命が助かる選択をしてくれたんだぞ! 医者だろう? まずはベルの不調に向き合え!」


 キョウすぐに脈拍を図る。機械じゃなくて、直接首元に触れて、直接私を診てくれる。


「キョウ……」

「怒鳴ってごめんな……」


 心配かけちゃってごめんね。私が無理したから、王子くんからの頼みを断れなかったから怒ってくれたんだよね。


 でも、みんなで生きるためだから、ね。


 それにしても具合が悪いよう……キョウにぐったり体を預けちゃってる。


 おかしいな、さっきはすごい元気になったって思ったのに。


 ステッキを握る力もいよいよ無くなって、落としてしまった。


「みんな急ぐっス!」


 ナナが除菌シートでステッキを綺麗にふきふきして、じゃーん! と見せてくれる。


「ステッキはベルっちと離れないようにウチが持っておくっス! たまにステッキをなでなでして、かわいいかわいいってするっスからね」


 ナナに、ありがとう、って言いたいのに……声が出ない。


 でも能力だけは、絶対解除しない……!


 キョウが点滴を外して、注射をしてくれた。それから私をまたお姫様抱っこして降りようとしたその時――。


 フリルさんが必死に訴えた。


「ワタクシ、ベル様を助けられますわ! 禁書を幾つか頂戴してきましたの! ベル様っ使ってくださいませ!」




ベルがノリでクッキーを五枚(五枚⁈)あーんしてみたら

恭介が頑張って全部口に入れました。ベルのためならなんでもします。根性です。


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