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私たちは、あなたの輝かしい過去を一冊の本にし、夢を通してお見せします。  作者: 夢歌環めちあ


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27話 夢

★主な登場人物★


・ベル (本名 ???)

現代人。鈍感な本の書き手/164cm

・来栖恭介

未来人。爽やかな医者/177cm

・百目鬼弓月

未来人。真面目な護衛兼リーダー/185cm

・七彩七海

未来人。チート級つよつよギャルの護衛/155cm

・服部半蔵

過去人。???/172cm

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 パパとママが来てくれる日はとくべつ。

 たんびょう日にチョコをくれた。


 ふかふかの、かわいいくまのぬいぐるみ。


 今まで、いっぱいパパもママもプレゼントをくれたけど、チョコはレナのお友だちになってくれた。


 パパとママはいなくなっちゃったけどチョコがいる。じいじは泣いてた。


 さいしょ、じいじはレナにパパとママが死んじゃったことをかくした。



 それはやさしさって言うの、レナは知った。



 かなしいけど、ぽかぽかした。チョコの手をにぎったら、「うん」って言ってた。



 じいじとこたおじちゃんが、来てくれるようになった。いつもごめんなさいを言うからかなしいけど、来てくれるの、うれしい。


 チョコはいつもレナを助けてくれるから、リボンをプレゼントしたくておねだりした。



 おねだりしたのに、こたおじちゃんは笑ってくれた。

 うれしかった。甘えても良いの、びっくりした。



 チョコにおんがえしができる。


 こたおじちゃんがきれいに結んでくれて、チョコがうれしそうにしてた。



 レナが死んだらチョコが一人になる。

 レナ、死んじゃだめ。



 じいじとこたおじちゃんは、いつもはげましをしてくれる。


 レナは知ってる。

 じいじとこたおじちゃんとチョコがいる。



 それはきせきって言う。



 チョコがうれしいと、レナもうれしい。


 レナは生きたい。チョコと生きたい。


- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -


「これは……本当にレナの記憶なんじゃな?」


 総理が信じられない、という顔をしてる。



***



 私は五時間も寝てたみたいで……起きてすぐ、「レナさんに夢を見せたい」ってキョウにせがんだ。


「無理してるだろ? 調子が悪くなった時に俺の言うことを聞くならいいぞ」


 こうして主治医の先生の許可を得たのであるっ!


 ユヅさんも賛成してくれた。夢をお見せするまで私は落ち着かないだろうから――って。性格バレてるな〜……。


 「ベルっちのこと全力で支えるっス」ってナナが気合いを入れてくれて、すごくすごく助かった。



***



 それで今! 右手をキョウが握ってて、左側にはナナが抱きついていて、ようやく総理と琥太郎氏に"本"のチェックをしてもらってるところ。


 ナナずっとぎゅーしてくれてる! そこまでしなくてもいいよ……? あいらびゅーナナ!



 護衛の服部さんは、スーツを頂いたみたいで、着こなしてた。似合ってる! かっこいー!


 あれ……よく見たら泣いて、る?

 レナさんの本で感動してくれたのかな?

 そうだったらいいな。


 胸いっぱいの私の代わりに、キョウが話してくれる。


「はい。実は、記憶域で俺達はレナさんと話しましたんです。奇跡の意味も、レナさんはこう解釈してらっしゃいましたよ」


 総理は「そうじゃったのか……」と言って泣き崩れた。服部さんが倒れないように優しく支える。


 琥太郎氏は眼鏡の反射で、目が見えない。


「では、夢を通して本をお見せしてもいいですか?」


 キョウが確認する。どうやって見せるんだろう?


「ああ、頼んだぞ皆の者」


「ベル、今レナさんは眠っているから、本を頭の側に置いてくれ」


 本を置くと、鍵がガチャリって開いた音がした。


 本からピンク色の文字が浮かび上がって、チョコさんの周りを一周してから、レナさんの鍵穴に入っていく。


 まるで、チョコさんにも本を読んでもらってるみたい!


「なんて美しいんじゃ……」

「これが皆様のお力なのですね」


 私も綺麗って思った。光ってる桜の花びらが整列して、踊っているみたいなんだもん。


 くるくると、時にひらりひらりと文字が踊って、全てが入っていくと、最後に私の名前が表示されて、ガチャリと鍵の音がした。


 ――レナさんは、微笑みながら涙を溢した。


「レナっ!」


「夢を見終えたみたいです。しばらく様子を見――」


 キョウが言い終える前に、レナさんはチョコさんを手繰り寄せて抱きしめた。


 寝てるのかな、起きてるのかな?


「チョコ……ずっといっしょ」


「良い夢だと思って頂けたらいいな……」


「ベル様。レナのこんな幸せに満ちた寝顔を見たことがありません」


「そうじゃ……嬉しいのじゃろう。――時に最後の名は、書き手のお嬢さんの名かの?」


 ユヅさんが代わって説明してくれた。


「"本"を書く為には、ペンネームではなく本名の表記が不可欠でして……しかし、ベルの命に関わる公表できない理由があるのです。どうか内密にして下さい、お願い致します」


「わかりました。このジジイにも絶対に言わせません。ベル様らしい美しいお名前ですね」


「ありがとうございます!」


 うわあああありがとうございます!


 本名は絶対絶対言っちゃだめらしいから、褒められると嬉しい!



 キョウ曰く、レナさんはまた寝ちゃったみたいだし、私の調子も良くないから、明日改めてお伺いすることになった。


 早くまた来たいな……。


 安心してまた力が抜けちゃった私は、キョウにおんぶしてもらっちゃった。


「無理してごめんなさい……」


「いいよ、今回はリミットもあったからプレッシャーだったろ?」


 実はキョウの言う通りで、レナさんに何かあったらどうしようって気持ちがずっとあった。


 ――だって、"死"は突然、襲うように来る。


 未来で確定していても、私は未来を信じれなくて急いでしまったの。


「ベルっち頑張ったっス! "本"の文字が魔法みたいでかわいかったっスね」


「うん! 書いてる時もあんな感じだったんだって? 見たかったなぁ」


「集中していたからそれどころではなかったんだろう。執筆中も幻想的で綺麗だったぞ。それはそうと……今回は比較的短い"本"に仕上がったから良かったものの――今後は対策が必要だな。恭介、練っておけ」


「はい、ベルとよく話します」

「うん、一緒に考えるよ!」


 私は"本"を書き終えて倒れた後、起きてすぐお手洗いに駆け込んで、ペコペコのお腹にゼリー飲料とラーメンを流し込んだ。しかもアイス付き。


 あんな恥ずかしいこともうしたくなーいっ!


 ナナが急に「にゃふん」とにやにやし始めた。

 なになに、ちょっと怖い顔してる!


「キョウ兄からご褒美はもらったっスか?」


「ナナ……何を言ってるんだ」

「えっ? もらったよ。ね?」

「おっ覚えてるのか?」

「うん。嬉しかった……キョウが私に」


 おんぶしてる私の体を揺らして、言うな言うなって必死でする。


「やっとか。恭介頑張ったじゃないか」

「やる時はやるんスね〜!」


 ユヅさんとナナがにやにやする。あ、駐車場に着いた。


「ちがっ勘違いしてるぞ!多分違う! だよなベル!」


「二人が何考えてるかわかんないけど大胆だったなぁ……ふふっ」


 私は薬指の感覚を思い出してた。嬉しかったなぁ。


「ああっ誤解をさらに招く!」


 ナナが「大胆なことしたんスね!」ってキョウに詰め寄る。


「ちがっ……本当に違うからホテル戻ろうって……」


「わかった。落ち着け。七海。もういじめてやるな」


「しょうがないっスねぇ……。後でベルっちにこっそり聞くっス」


「聞くなぁぁ!」


 キョウは、ぱぱーっとクロストレックに私を乗せてくれた。顔を覆ってる。やだっ恭介くんったら恋する乙女みたい!


 で、ホテルに着いたらキョウはソファにうつ伏せになってしまった。ありゃま。


「おい、医者が重症だぞ。どうしたらいいんだ」

「キョウ兄ごめんっス」

「キョウ、今は触っちゃダメな時、かな……?」


 キョウはうつ伏せのまま、首を縦に振る。為す術なしかぁ……。


「ベル、ちょっといいか」

「? うん」


 ナナもてくてくとついてくると、ユヅさんがナナの頭に手を乗せた。


「七海は恭介の護衛だ。隙だらけだからな」


「ハイっス!」


 ユヅさんは、部屋の入り口で止まると、キョウが心配してたことや、"本"を書いてる私が別人に思えたみたいだったこと、どこにも行かないでくれって言ってたことを打ち明けてくれた。


「今はスキンシップよりも言葉だと僕は思う」

「そっか。わかった! 言ってみる……」

「ああ。頼んだぞ」


 ベル、ってユヅさんが手を出した。え、なに?


「恭介とよくやるんだ。ハイタッチだよ」


 そういえば総理のお屋敷でやってた! 青春って感じで羨ましかったんだよね。


「ユヅさん! ありがと」

「ああ。どういたしまして」


 私はパンっと手を叩く。青春した〜!

 もやもやが吹っ切れた気がする。



 ――私の気持ちを伝えたらそのまま良いんだ!



 とはいえ、ちょっぴり緊張しながらキョウのところに戻ったら、ナナは木刀を素振りしてた。


 お見事! 早くて見えないよっ! てか持ってたの!?


 ユヅさんは連絡があるからしばらくここにいるって部屋の前に残ったままだ。


「こそこそ何話してたんスか?」

「内緒。ごめんね」

「えー! 後でパイセンに聞いて良いっスか……」


 ナナは切なそうにうるうるしちゃった。


「そうだよね、大好きなユヅさんと私に秘密があると嫌だよね」


「嫌っス……」


「ナナ、いっといで?」


「ベルっち……! ウチはベルっちも大好きなんスよ! 忘れないでほしいっス。ちゅーしちゃうっス!」


 わ。何っ!?


 ナナは不意にほっぺにやわらかいものをつん、とくっつけて、走って行った。

 やだ! 好き! かわいさ上限突破してるっ!


「ナナになにされたっ!?」


 キョウが起き上がって私はびくっっとする。


 私は無言でほっぺを指さすと、「俺もまだしてないのに……」って体育座りで縮まっちゃった。


「キョウ、あのね、私、キョウから離れないよ……? 離れなくても良い?」


 なんか、今言うのは違うかもけど、早く伝えたかった。


「べる……。離れないでくれ……」


「うん……離れないよ」


 伝えてもキョウは縮こまったままだった。気に入らない、悔しいっていう顔をしてる。妬いてくれてるんだ。


 そうだ、妬いてるならナナと同じことしたら――戻ってくれるよね!



 ……ちょっと恥ずかしいけど、えいやっ!



 ナナがしたことを私はキョウにする。


「離れないことを誓います」


 結構真剣に言ったのに、キョウはまたうつ伏せになってしまった。



***



「ベル、何故口にしなかった」

「それはまだ恥ずかしくて……」

「お前ら本当に進まないな……」

「そうっス。うちとベルっちの方があんなことやこんなことをしてるのにっスよ」


「ベルに何したんだナナ!」


「キョウ兄が覚醒したっス!!!!! 何もしてないっスようう……わーん! ベルっち〜〜」

「キョウっナナを泣かせないの!」

「あんまり七海をいじめるなよ」


「いじめられてるのは俺だーッ!」



お星様にて応援頂けますと嬉しいです!


読んでくださった皆様にハイタッチ!です!

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