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虚無王ザラビスは退屈している  作者: 釘宮・連
ザラビスの起源に関する注釈
99/101

100.静寂を破る異界の支配者

マルチバース・ナイリオン……もはや「世界」と呼ぶにはふさわしくない。


まるで……ゆっくりとひび割れていくもののようだ。


突然崩壊するのでもない。


大爆発が起きるのでもない。


まるで巨大なガラスが……内側から砕け始めているように。


アルマゲドン全て沈黙の門


創られて以来初めて……


26人の門番は動かない。


攻撃もしない。


言葉も発さない。


彼らは……ただ感じているのだ。


ヴェルミラはそっと手を握りしめる。


普段は落ち着いているが……今回は声がいつもより低い。


「これは単なる脅威ではない」


ヴェルキラは顔を向け、鋭く目を細める。


「……我々が今まで知らなかった何かだ」


一方で、ザーネスとヴァルガロンは目を見合わせる。


彼らほど強力な存在も……慌てる様子はない。


しかし……


警戒している。


ニメロスは一番前に立っている。


瞳は虚ろに見えるが……知らないからではない。


むしろ彼は……あまりにも多くを知っているからだ。


「このオーラは……」と彼はそっとつぶやく。


「ナイリオンのものではない……」


全員が瞬く間に静まり返る。


タイタンたちのマルチバース層が動き出す


別の空間で……


H.Y.D.A.8のタイタンたちはついに傍観をやめた。


アルロ・アシュヴァレンはゆっくり目を開ける。


周囲の空間は瞬く間に……震えるのを止めた。


崩壊が止まったからではない。


まるで彼を恐れているかのように。


「……そうか、これが言われていたものか」


ルーサズ・リレスは剣を虚無の空間に打ちつける。


周囲のひび割れは瞬く間に二つに裂ける。


「気に入らない」


ウォルサー・ザギは……薄笑いを浮かべる。


長らくないが初めて……


その笑いは安らぎを帯びていない。


「もしこれが敵ではないのなら……それはもっと悪い」


ヌメル・サジメは次元の外まで遠くを見つめる。


「まるで……何かが我々を見ているようだ」


その言葉で場の空気は一気に険悪になる。


寒い。


風が吹いているからではない。


気づかされているから……寒いのだ。


マルチバース・センブリゴン 星ヌルヴァガナ


もう一方の側で……


星ヌルヴァガナはゆっくりと回復し始めている。


大地のひび割れは癒える。


以前傷ついていた大気も……安定し始める。


その中で


ヴェルドラは悠然と立っている。


手を上げ、濃い黒いエネルギーが荒れ狂う川のように流れているが……コントロールされている。


「まあ……これでもいいか」と彼は悠然と言う。


フェルダはそこから遠くない場所に立っている。


瞳は相変わらず冷たいが……今回は敵対心を抱いていない。


「漫然と対処するのはやめろ」と彼女は平板な声で言う。


「この星の構造は単なる物理的なものではない」


ヴェルドラはちらりと視線を送る。


「分かってる分かってる……」


だが笑顔は……消えない。


しかし


突然……


彼の動きは止まった。


何かが変わる


ヌルヴァガナの空は……


ひび割れることもない。


暗くなることもない。


しかし……


違うと感じられる。


ヴェルドラは目を細める。


「……ふん」


手のエネルギーの流れは止まる。


フェルダは即座に気づく。


「どうした?」


ヴェルドラはすぐに答えない。


先ほどの大戦以来初めて……


彼は真剣な表情だ。


「これは……ここのものではない」


フェルダは即座に身構える。


「説明しろ」


ヴェルドラはそっとため息をつく。


「……今すぐここを去りたい」


その言葉にフェルダは驚く。


「本気か?」


ヴェルドラは小さく笑う。


「問題は……」


彼は空を見上げる。


「……今去ったら、お前の星はまた崩壊する可能性があるんだ」


フェルダは歯を食いしばる。


彼女はそれが真実であることを知っている。


しかし……


彼女も何かを感じ始めている。


そしてそれは……無視できない。


ナイリオン、ミジャルンに戻る


マルチバースの虚無の中で……


小さな光が素早く動いている。


爆発でもない。


強大な力でもない。


しかし……


的確だ。


ミジャルン。


彼の体はそっと震えている。


恐怖からではない。


圧力を感じているからだ。


「早く……」と彼は囁く。


彼には彼らほどの力はない。


銀河を壊すこともできない。


ヴェルドラのような存在と戦うこともできない。


しかし


彼には誰もが敬うものが一つある。


地位。


つながり。


そしてそれ以上に深い何か。


彼が入る時


ミジャルンがついにマルチバース・ナイリオンに入った瞬間――


全てが……


即座に感じられる。


ボーン


爆発ではない。


まるで……


現実が息を吸い込んだかのようだ。


全員が気づく


ニメロスは即座に顔を上げる。


「……彼が来た」


ヴェルキラは身構える。


「ミジャルン……」


ザーネスは即座に片膝をつく。


他の者たちも……


ついていく。


命令もなく。


迷いもなく。


タイタンたちも静まる


アルロ・アシュヴァレンは同じ方向を見つめる。


「……ご主人様の弟様」


ルーサズ・リレスは即座に剣を抜く。


攻撃するためではない。


敬意を表すしるしだ。


ウォルサー・ザギは……小さく笑い出す。


「まあ……やっと入ってきたか」


ミジャルンが現れる


彼は爆発を伴って現れるわけではない。


ドラマチックな様子でもない。


ただ……


そこにいる。


ひび割れた空間の中心に。


やや苦しそうな息遣いで。


瞳は周囲を見回す。


そして……


彼が見たものは……


胸を締め付けるようだ。


「これは……」と彼はそっと声を出す。


「……すごくひどい」


全員が待つ


誰も話さない。


誰も動かない。


全員が……


待っている。


ミジャルンは手を握りしめる。


彼は支配者でもない。


王でもない。


最上位の存在でもない。


しかしここでは……


彼の声は力を持つ。


「……全てを止めろ」


その言葉は簡素だ。


しかし


マルチバース全体に響き渡る。


効果


ひび割れはすぐに消えない。


戦いはすぐに止まらない。


しかし


全員が自制する。


まるで世界が……次の決断を待っているかのようだ。


しかし……


まだ終わっていない。


なぜなら同時に


遠く……


非常に遠く……


知られた全ての構造の外で……


何かが……目を開けたのだ。


物理的な目ではない。


形でもない。


しかし何かが……自覚している。


六人の存在。


話さない。


動かない。


しかし……


存在している。


そして彼らがナイリオンを「見つめた」瞬間


現実全体が……わずかに沈み込む。


ナイリオンに戻る


ニメロスは突然震える。


初めてのことだ。


「……いや……」


ヴェルミラは即座に顔を向ける。


「また何か?!」


ニメロスは虚ろに虚無を見つめる。


「……我々は一人きりではない」


ミジャルンも感じる


彼も動きを止める。


瞳が大きく開く。


「……あれは……」


理解できない。


しかし一つだけ知っている。


それはいつも通りに対処できるものではないと。


ヌルヴァガナで


ヴェルドラは小さく笑う。


「……やっと本格的な問題が来たな」


フェルダは鋭く彼を見つめる。


「あれが何か分かるのか?」


ヴェルドラは悠然と答える。


だが瞳は真剣だ。


「分からない……」


彼はマルチバースの外を見つめる。


「……だがあれは普通の敵じゃない」


マルチバース・ナイリオン……


もはや内側からの崩壊だけではない。


今では……


外から何かがやってきた。


つながりもなく。


理由もなく。


彼らとの歴史もない。


それこそが一番危険なのだ。


ミジャルンはひび割れた空間の中心に立つ。


全ての強大な存在が……彼の決断を待っている。


しかし初めて


彼自身も……


自信がない。


外には……


六人の存在は攻撃もしない。


話すこともない。


何もしない。


彼らはただ……


観察している。


それこそが遥かに恐ろしい。

「次回更新: 4月 1日 21:00」

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