101.ハイブリッドキック
ニリオン多重宇宙の空…
もはや「空」とは呼べない。
それはより暗いものへと変わっていた。
より深い。
より…歪んだ。
空間の亀裂はただ広がるだけでなく
動き出している。
まるで現実そのものが何かから…
逃げようとしているかのようだ。
そしてその「何か」は…
既に到着していた。
避けるには遅すぎた到来
ニリオン多重宇宙の最果てに
六人の存在が虚無の中に佇む。
炸裂するオーラもない。
荒れ狂う圧力もない。
それどころか…
あまりにも静かすぎる。
ノッドマン・ケイオスが
先頭に立っている。
彼の瞳は虚ろである。
だがその虚ろさの奥には…
限りない破滅が潜んでいる。
彼の側には
アスワッタマ・ストラッハ
スタージュン・アリババ
ニャルラトホテプ・アイ・アジル
パンスケ・ウィルギル
ダテルタ・ヘイロード
彼らは動かない。
動く必要はない。
なぜなら動かなくとも
彼らの存在だけで既に現実の掟が書き換えられ始めているからだ。
全てのハルモニウムの扉が覚醒する
ニリオン多重宇宙全体で
全ての扉番たちが即座に反応する。
ヴェルミラは鋭く目を覚ます。
ヴェルキラは即座に武器を掴む。
ザーネス、ヴァルガロン、さらにはザロメス…全員が同時に動き出す。
命令もない。
合図もない。
彼らは全て同じものを感じていた——
主に対する脅威を。
もう一方で
H.Y.D.A隊のメンバーたちが次々と現れる。
アルロ・アシュヴァレンは
一歩前に踏み出し、オーラは重苦しい。
ルーサス・リレスは剣を止める。
ヴォルサール・ザギは微かに笑む。
そして…
ヌメル・サジメはゆっくりと目を開く。
だが最も恐るべきは
ニヒロードの親衛隊B.O.S…も立ち上がったのだ。
ラニ。
ミナイ。
スフトフ。
フェヒム。
マイタ。
ワイナ。
キョンサル。
ステルラータ。
ロウリガクスタ。
ゼイナ。
十人の存在…
ニリオンの歴史にも滅多に姿を現さない者たちだ。
そして今
彼らは全員同じ戦場に佇んでいる。
数えることなく戦いが始まる
宣戦布告もない。
口火を切る言葉もない。
ブーン。
現実が崩れる。
ノッドマン・ケイオスは一歩踏み出す。
たった一歩だ。
それと同時に
三人の扉番が即座に粉々に吹き飛んだ。
攻撃によるのではない。
彼らの存在が認められなくなったからだ。
ヴェルキラは即座に攻撃を仕掛ける。
「時間を与えるな——!」
彼女の攻撃は空間を切り裂く。
だが
何にも届かなかった。
ノッドマンは…
回避もしていない。
その攻撃は…
存在しなかったのだ。
ヴェルキラは固まる。
「…な、何?」
物語の支配が始まる
後ろで
ニャルラトホテプ・アイ・アジルは笑う。
彼女は片手を上げる。
そして…世界が変わる。
「この物語の中では」と彼女はそっと言った,
「貴方たちは敗者だ」
静寂が訪れる。
突然
全ての扉番たちは同じものを感じた。
動きが遅くなる。
攻撃が外れる。
タイミングが…狂う。
まるで
物語そのものが彼らの勝利を拒否しているかのようだ。
ヌメルの抵抗
ヌメル・サジメは一歩前に踏み出す。
その眼差しは鋭い。
「なるほど…お前が作者か」
ニャルラトホテプは笑う。
「そして貴方は?小さな編集者か?」
ヌメルは手を上げる。
細い…だが鋭いエネルギーが宿る。
「ならば…お前の物語を断ち切る」
瞬く間に
ニャルラトホテプの周囲で現実が亀裂する。
束ねる物語が揺れ始める。
ヴェルミラは再び動けるようになる。
ザーネスは再び攻撃を仕掛ける。
一瞬だが
彼らは逆襲できた。
ニャルラトホテプは小さく笑う。
「面白い」
そして
彼女は指を鳴らす。
全てが再び逆転する
物語は再び書き換えられる。
より強く。
より深く。
ヌメルは一歩後ずさる。
初めて
彼の顔には力が入る。
「彼女…単なる作者ではない…」
ニャルラトホテプは彼を見つめる。
「そうだ」
「私こそ…物語そのものだ」
敗北が感じ始める
一つひとつと
扉番たちは敗れ始める。
ヴェルミラは吹き飛ばされる。
ヴェルザカールはひざまずく。
ゼイノアはエネルギーの姿を失う。
ルーサス・リレスは手荒く攻撃を仕掛けるが
彼の身体は突然攻撃の最中に止まった。
「…動け…ない?」
ヴォルサール・ザギは空間を切ろうとするが
彼の剣は…効果を生まない。
アルロ・アシュヴァレン…さえも前に踏み出せない。
全てが…
敗北を強いられている。
ラニとミナイは同時に攻撃を仕掛ける。
彼女たちの攻撃は現実の層を破壊するが…
ノッドマンはただ手を上げただけだ。
攻撃は…消え去った。
フェヒムとワイナは異なる次元から攻撃を試みるが
かえって元の位置に戻ってしまう。
まるで
彼らが動いたことのないかのようだ。
ステルラータはそっと囁く
「…これは戦いじゃない…」
「…これは処刑だ」
混沌の中で
ニメロスは立ち尽くす。
息遣いは荒い。
彼の眼は六人の存在を見つめている。
「…彼らの目的は…」
彼は気づいた。
遅すぎたが。
彼らは戦いに来たのではない。
彼らは奪いに
来たのだ。
ノッドマンは手を上げる。
そして突然
全ての扉番たちからエネルギーが引き寄せられ始める。
ヴェルキラは叫ぶ。
「やめろ——!!」
ヴェルミラは抵抗しようとするが
彼女の身体は亀裂し始める。
ザーネスは…一部が消え去る。
B.O.Sたちも後ろへ押し戻される。
ヌメルは再び物語を断ち切ろうとするが
今回は…
成功しなかった。
ニャルラトホテプは彼を見つめる。
「この物語は…もう終わりだ」
最後の瞬間
ニメロスはひざまずく。
彼の身体は浮き上がり始める。
「…主よ…」
初めて
彼は恐怖を感じた。
自分自身のためではない。
彼らが守り続けてきた
世界のためだ。
全ての扉番たちは
一つひとつと姿を消し始める。
彼らのエネルギーは…
引き寄せられる。
吸収される。
消去される。
その時——
ブーーーーン!!!!!!!!!
全戦場が震える。
物語が…亀裂した。
ニャルラトホテプは振り向く。
初めて
彼女の表情が変わった。
「…え?」
ヴェルドラ到着
空間の裂け目から
一匹の黒竜が現れる。
その暗いオーラは…
全戦場を圧倒する。
彼の瞳は燃え上がっている。
「おい…」
声は低く
重かった。
「…遊びすぎだぞ」
ニメロスは言葉を失う。
ヴェルキラは…見つめる。
ヴェルミラは…意識が朦朧としているが
まだ見えている。
希望は…まだ絶えていない。
ヴェルドラは一歩前に踏み出す。
オーラが炸裂する。
「他の星の修理で忙しかったんだが…」
彼は微かに笑う。
「…でもこっちの方が面白そうだ」
ノッドマン・ケイオスは彼を見つめる。
恐れもない。
怒りもない。
ただ…
認めている。
「新たな標的を検知した」
ニャルラトホテプは笑う。
「いいね」
「物語は…ますます面白くなる」
そして初めて
本当の戦いが…始まった。
「次回更新: 4月 3日 21:00」




