表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/72

1.楽しみを求めて

これは物語ではない。


なぜなら物語となるためには、

時間、順序、意味が必要であり、

そのいずれもが許されていないからだ。

故にここに記されるものは……


ありえなかった何かの

残骸に過ぎない。


宇宙に形がある前。

時間が流れる前。

次元構造が「存在する」と言われる前。

「虚無」「空白」さらには「不在」という概念に意味がある前


現実はまだ存在していなかった。

その時、意思などなかった。


法則もない。

実体もない。


ただ三つの太古の現象があった。


それらは世界を必要としなかった。

だが世界は、その存在を理解するために形が必要だった。


そこで振幅を下げた

犠牲としてではなく、

実験としてだ。


生き物でも、思考でも、原因でもない。

ただ起こっていただけだ。


《古びた赤い流れ》――意味も目的もないエネルギーの流れ。


《絶対の闇》――あらゆる定義を拒絶するもの。


《逆さまの稲妻》――静寂を引き裂いた最初の振動。


三者は何も創り出さなかった。


だが無意味な引き合いと拒絶の中から、


誕生とは呼べない何かが現れた。


物質でもなく、

世界でもなく、

存在でもない。


ただパターンだ。

概念以前の歪み


概念が自らを認識する前に現れた周波数の刻みだ。


この歪みに名前はなかった。


なぜなら「名前」などありえなかったからだ。


あるのはただ七つの虚無主義のシンボル

文字でも、言語でも、意味でもない。

ただ最小限の存在機能に過ぎない。


Z

B

R

I

S

A

A


この七つのシンボルは力を表すものではない。


それらは、何かが「存在する」と呼ばれるための条件なのだ

存在の最初のシンボル

存在の否定のシンボル

自我のシンボル

自我の不在のシンボル

連続性のシンボル

崩壊のシンボル

絶対安定のシンボル


一つひとりでは成立しない。


分断されれば、「不在」以前の状態へと崩れ戻る。


だが七つのシンボルが最も安定した共振を得た時


意思は生まれず、

生き物でもなく、

ただ受動的な意識が生まれた。

「生きている」からではなく、


現実がそれを認めざるを得なかったからだ。

その共振に名前はなかった。


不在がもはや安定を保てなくなった時、

最小限の機能は互いにロックされた。


誕生としてではなく、

消滅し損ねた結果としてだ。


新たな名前が世界に形が備わった後ずっと経ってから現れる。

空間や構造の概念が現れ始めた時、

この共振は最も中立で安定した容器を選んだ


ヒューマノイドの形だ。


人間になりたいからではなく、

現実が崩れることなく受け入れられるからだ。


だがその姿でさえ、その存在はあまりにも重かった。


そこで十二本の虚無の角が現れた

七本はシンボルの構造を守り、

五本は存在の安定化システムとなった。


それがなければ、それが存在するだけでどんな世界も崩壊するだろう。


多次元の記録には、

初期の実体たちはこう呼んでいる


《原始虚無主義》

《渕の支配者》

《空白の王》


だがそれらの名前は彼のものではない。


ただ彼らの恐怖に過ぎない。

世界が言語を知った後、

七つの虚無主義のシンボルはついに音の形を得た。


Z・A・R・A・B・I・S


ザラビス。


多重宇宙の構造が彼を中心に形成され、

彼の存在がニリオンに形を与えた。


彼は悪魔と竜の混血の生き物を数多く創り出した。


彼は構造、法則、限界を与えた。


彼は全てが設計図通りに進むのを見守った。


そしてまさにそのために


「完全な理解=経験の空白」


あらゆるものが努力なしに理解できる。


驚きもない。

失敗もない。

感情もない。


長い眠りから目覚めた後、


ザラビスは自ら創り上げた王国と、同時に多重宇宙を守る番人たちを残して旅立った。


崩壊もなく、宣言もなく。


彼は全てを知ることを拒否した。

理解するのではなく、経験することを選んだ。

異なる世界を旅し、


感情、絆、幸せといった抽象的な概念を探し求めている


力を全うに使うことなく。


ザラビスは勇者ではない。


敵でもない。


世界が彼にしたように、彼も世界に応えるだけだ。


「記録されたことすらないもの」さえ消し去ることのできる存在の裏には、


彼が望むものは依然として単純だ


安らぎ。

そしてもしかしたら……

友だち。

異世界編


三十億年という果てしない眠りから、彼――ザラビスは目を覚ました。


その瞬間、十三の門を護る十三人の守護者たちが、主の帰還を歓喜をもって迎えた。

最古の守護者であるヴェルドラは第一の門を守っていたが、守護者たちの長は第十三の門を統べるヴェルザカルであった。

彼らは「王」と「創造主」であるザラビスの帰還を、永遠にも思える時を待ち続けていたのだ。


目覚めたザラビスは、かつて自らの手で創り出した「妹」――ミジャルンの存在を思い出す。

しかし彼は、彼女に「感情」を与えるのを忘れていたことに気付き、己の愚かさに深く頭を抱える。


ザラビスは彼女に「明るさ」「冷静さ」「慈しみ」、

ただし――**『ザラビスを侮辱する者には決して許しを与えない』**という強烈な感情を与えた。

ミジャルンは人間とほとんど変わらぬ感情表現を持つようになり、表情豊かに微笑んだ。


本来、ザラビスは笑うことも泣くこともない存在だったはずなのに。



---


現代の時代に興味を持ったザラビスは、力を0.000005%まで封印する。

さらに絶対能力を65,000種、超越絶対能力を7,000種、対存在概念語を399語封印し、

ただの「静かな旅人」として歩むことを選んだ。


そして彼は、自ら創造した**多元宇宙ナイリオン**を離れ、

無数の宇宙と次元を渡り歩きながら、生命の気配を求めて旅を続ける。


ついに辿り着いたのは――緑と青の星、地球。


しかし富士山に着地しようとした瞬間、

彼のわずかな力でさえ惑星の構造を揺らし――

地球は爆ぜ滅びた。


「……あ。」


ザラビスは静かに全時空を巻き戻し、頭をポンと叩いた。


「さすがに…これはやり過ぎたな。」



---


今度は力を**0.00000001%**まで抑え、再び地球へ降り立つ――

が、着地に失敗し、路地裏の金属製ゴミ箱に上半身から突き刺さる形で落ちた。


「……ぐ、ぐるるる……!? この器、我を拒むか……!」


通りかかった子供が叫ぶ。


「ママー! ゴミ箱が笑ってる!!」


「近づいちゃだめよ! きっと落ちぶれたインフルエンサーよ!」


……ザラビスは深く傷ついた。


ゴミ箱を爆散させつつ厳かに立ち上がり叫ぶ。


「人間たちよ! 我は帰還した! 友を求めてきた!!」


しかし返事したのは清掃員の青年だった。


「兄さん、コスプレは家でやってな。」


風が吹いた。


ザラビスは空を見上げて呟く。


「……塵の神ですら、我を見放すのか。」



---


その夜、彼は人間の姿へと姿を変えた。

黒髪、落ち着いた肌色、自由に変えられる瞳。

名を レイジ・レン と名乗ることにした。


深夜の東京を歩く中で、彼は一人の少女とすれ違う。


名は――ユカ・ナイチ。

十六歳。B級勇者。


だが、ザラビスは知らなかった。

その出会いを、遠くの闇から見つめる“何か”がいたことを――。


ここまで読んでくださり、ありがとうございます。


この物語は、圧倒的な存在であるザラビスが、

「力」ではなく「日常」や「繋がり」を求めて歩む物語です。


更新はできる限り丁寧に進めていきますので、

気に入っていただけたら、ブックマークや評価をしていただけると嬉しいです。


どうか、最後まで見守ってください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ