第8話 真相
呼び出した子を空き教室に連れてきた。
「あのさぁ、何が聞きたいのか予想つく?」
「……たぶん」
「それじゃあ、話してくれる?」
「え~っと……いじめの……件なんだよね?」
「そうだよ。知ってる事だけでいいからさ……」
「うん……分かった……」
彼女が一つ大きな深呼吸をして話し出した。
「私達のグループの礼乃が……急に寺田さんを無視しだしたの。初めは些細な事だったんだけど。でも日を追う毎にイジメがエスカレートしていって……それに加わる人数も増えて……何度か声をかけてみたけど睨まれてアンタが代わりになるの?って言われて誰も礼乃に逆らえなくなっちゃった。だって……次は自分かもって思ったら……。そんな時、いつものように寺田さんをイジメてる最中に椙野さんが通りかかってしまったの。そして寺田さんが[椙野さん、助けて]って言ったら椙野さんがその場から動けなくなってしまって礼乃に捕まってしまって椙野さんまでイジメを受けるようになった。椙野さんは何かを言ったわけでもないのに……ただその場に遭遇した不運というか……」
「ありがとう。そこまででいいよ……」
涙を流しながら「ごめんなさい」と謝るこの娘も被害者の一人。
◇◇◇◇◇◇
俺は主犯格の礼乃が、動き始めるのを待つことにした。こういう事をするヤツは、ターゲットが変わったからってその行動自体を止めるわけじゃない。次のターゲットを見つけてまた始めるだろう。
ただ楽しいから……それだけの感覚でしかない。
――なら俺はその場を押さえる。その時が決着の時だ。




