④-5
俺の部屋より若干広い、ももてぃんの部屋。8畳くらいの洋室だった。
白い清潔な壁に、ピンク(桃色)のカーペット。
奥には、天蓋のついたお姫様のようなベッドまで!!
住んでいる本人のように、とてもかわいらしくて清潔な部屋だった。
ももてぃんは…とても少女趣味のようだ。バラのいい香りもするしな!
手前にある2人がけのソファに案内されて、俺はそこに座る。
目の前のテーブルには唐揚げやてんぷらといったオードブルが並べられていた。
なんと…俺の好きな、シーザーサラダまであるではないか!!
ももてぃんは「お酒は、ワインでいいかな?」と言って、ワイン瓶を持って、俺の隣に腰掛ける。ソファがももてぃんの重みで、たわんだ。
ラブチェアっていうんかいな、これって……。
恋人同士が座っていちゃいちゃするんかいな、これって…。
「う、うん」
緊張しつつも、俺は答えた。
「よかった…」にっこりほほ笑んだももてぃんは、しゅぽんっとコルクを外し、
とぽとぽと、赤ワインをグラスに入れる。
「どうぞ」
「う、うん」
俺はグラスを手に持って、もじもじしてしまう。
「…………」
「…………」
沈黙が2人の間をただよう。
何か、話をしなければ! でも何を……!
ももてぃんが沈黙に耐えきれなくなったのか、赤ワインのグラスをあおった。
ふうっと声が漏れる。
その声が艶やかでねっとりとしていて、俺はたまらず横を向いた。
すると、俺を見ていたももてぃんと目が合った。潤んでいる。
「や、やだ。見ないで。酔っぱらちゃってるから」
俺は我慢ができず、ももてぃんの両手をつかみ、俺の胸へ体ごと押し付けた。
「ももてぃん! 好きだ!」
赤ワインを飲んでいないはずなのに、俺も酔っぱらっているようだ。
ももてぃんという名の極上のワインに…!(クサいな…)
そして…この流れでは、キ、キスまでいっちゃっていいんだよな。
俺は胸に押し当る、ももてぃんのおっぱいの弾力に名残を惜しみつつも、
いったん離れた。
そして、顔ごと、ももてぃんの唇へ近づいていく。
俺の初キスは、車の教習所のAED講習の、あの人形だった…!!
しかも男だ!!
事故に遭ったというアイツに、呼びかけて肩を揺らし、胸をしゅぽしゅぽ鳴らしながら、マウストゥマウスをしたわけだ!!
あれ……でも、最近……なんか……俺誰かとキスしなかったっけ?
杏奈とは……未遂で終わったんだっけ。あれ?
ぶちゅっと唇が当たった先は、なぜかゴツゴツしていた。
それがももてぃんの指だとわかったのは、つぶっていた目を開けたからだ。
驚いて、目の前を見ると、下を向いて申し訳なさそうに、俺の唇に両手を押し当てているももてぃんの姿があった。
ガーン……俺、拒否られた?!
「ごめん……持田くん。言ってなかったね。私、キスすると……」
ももてぃんの口から、ひっくひっくと嗚咽が漏れている。
泣いてるのか?
でも泣きたいのはこっちの方なんだけどな!(泣)
「1万円借金が増えちゃうの……」
そう言って顔を上げたももてぃんの目には光るものが。
「私もキスしたいの……」
俺はソファから下りて、体育座りをしてふてくされた。
「だったら、なんで俺をこの家に連れてきたんだよ。こうなること、わかってたんじゃないの?」
「……うん」
「俺は…好きな子とキスしたいし、もちろんそれ以上のこともしたいよ!
なのに…1万円借金するとか、なんか意味わかんないこと言われて…俺、ちょっと…傷ついた」
「そうだよね…ごめんね」
ももてぃんも、ソファから下りて俺の隣に座る。
「……あんまり、近くに寄らないで。俺、何するかわかんないし」
俺は、ももてぃんに背を向けた。
「ねえ、そのままでいいから、私の話、いや、闇闇ガールズの結成に至った話を聞いてくれるかな?」
「…………」
「今夜、持田くんに全部話したいと思ったの! 私のすべてを。初めての彼氏に、全部…捧げたいの……」
だから…そういう誤解されるセリフをなんで言うかな(泣)
ももてぃんは、天然なのか?
そこまで言われて俺もうなずかざるを得ない。
「わかった……でもその前に…食事にしようか」
ももてぃんはほっとした表情を浮かべて「うん!」と言って、
支度をし始めた。
食事を終えてから……ももてぃんの話を聞く。
何を聞いても驚かないように、まずは腹ごしらえをするのだ!
でも、ももてぃんの秘密……俺に耐えきれるだろうか。




