みんな見てる? 配信でも本田さんがあれやるってよ!
「こんユーナ♪ 見ユーナ聞ユーナんなことユーナ! 異世界クラウンルートラボラトリー学園所属、KAWAIIケモノ系ライバー、セイノ☆ユーナニャンよぉ↑~」
本当になんか始まったよ…。
「ちょっとお久しぶり! 告知したけど今日はゲリラで、おなじみAHOやってくにゃぁ!」
言ってる間にも、目まぐるしく手を振ったり手を胸の前に持ってってフルフルしてみたり、手慣れている。
「今日はドカドカに殴って荒稼ぎしちゃうにゃんよぉ↑~!」
「強いのか、もしかして」
「ここの二人に引っ張ってもらって!」
「…ふぁ!?」
何言いやがった!?
配信スタッフになった覚えはさすがにないが!?
「…と、いうことでいつもの殴り系プリのアイちゃんと、期待の臨時枠、本田さんにゃあ↑~!」
うそだろう!?
「あー、はいはーいよろしくー」
あ、小石ちゃんまた別の口調のキャラになって愛想売ってる。
たしかに、ちょっとおもしろいな、わかるぞマジ。
「本田さん、何か意気込みお願いしますにゃあ」
「……えぇと、放送コード大丈夫そう…?」
なにかweb中継的なもの流されているところ、私はそういえば全裸土下座の状態のままずっとやってたのをやっとさっき気づいた。
「まぁ録画にはモザイクかけるにゃ~↓…」
私のその扱い!
「みんなよろこべ! この配信になかったお色気要素がついに来たニャ! シチョーリツ、シビルド〇上りニャ!」
「そこをメインで注目させるように言うなっつってんだろ!」
元気担当、カマトト担当、モザイク担当のイカれた三人でお送りします。
おかあさん、何が悪かったわけじゃないけど、先に言っとく…ごめんなさい。
「と、いうわけで今日は荒稼ぎに奮発して、ルーレットで即死城にきたニャンねぇ↑~! 怖いニャンねえ↑~!」
「……小石ちゃん、装備大丈夫…?」
「一応、対アンデットついてるのは持ってきたよ」
進行のナレーションの横で、小声で確認を取る。
そうじゃねえんだ…本当は、なくなっても大丈夫なものつけてるのか、と言いたい。
このケダモノも、わかっててやってるんだよな…?
数あるダンジョンから、行った経験のあるダンジョンを選んだのは、ちょっと幸運なのか。
少なくとも、私も強さと傾向だけはわかる。
実際の戦闘の細かい作業は知らないままだが、持ってくアイテムなどは知識がちょっとはある。
まぁ、全部ネタバレだと興ざめだろうから、休憩だの裏で会話できるとこを用意されたら話すことにしよう。
なかった。
即突入だった。
甘かった…。
私はアイテムロストを気にして、ほぼアイテム欄はカラの回復だけ持ってるくらい。
まずい、まずいよ。
ガチ編成の上級者が行って即死城と呼ばれてるのがこの三人は。
「さて開始にゃー↑~!」
「「ぉぉ~↓」」
「テンションちょっと低いニャンねぇ、あと何か、入った瞬間頭についたニャンよ?」
「デバフだよ…一階で問答無用でステ半分以下にされて、フラグのキーアイテムでデバフ軽減か階層の開放かアイテムか選ぶんだ」
「そんなの初めて聞くニャ↑~! おぬし見かけによらず知将の才覚があるニャ!」
「見かけ通りだろうが!」
「……おっぱいは脳の栄養を吸い取って大きくなると獣人の村に伝わってるニャ……」
「潰せそんな村!」
まったく、人を見ればすぐそういうキャラにしようとする。
しかし、思い出してきた。
このキーアイテムが入場者全体ではなくプレイヤーごとの固定入手判定で、限られた数で配分を決めなくてはならない。
デバフ全解除すれば次へは進めず、ただ進むだけでは旨味もないので計画性もいる。
結果、私が加入していたパーティでやったことは…。
デバフすべて被ったままの要員を用意すること、で、攻略する手に出た。
私だ。
私のフラグはすべてエリア開放とメイン回復のデバフ解除に。
私はキーの提供とステには関わらない固定回復のポーション係として雑務をする。
初心者特権として、ここでの復活可能回数制限もスルー出来るらしいので半端に動きが鈍い中級者より使い勝手がいい。
これが、主に私が友人とここ攻略の上級者に混じれた理由でもあった。
これらを、ネタバレで楽しみを削ぐ形を回避してどう伝えるか。
なお、その状態でザコやエリアボスは当然デバフなどないので、やり方レクチャーがないと装備など整えてもズタボロだ。
キーで開放しないと付けた属性や特殊永続効果、魔法によるバフに職業ステボーナスまで無効食らうのに死んで気づく。
これが、ここが即死城と呼ばれるゆえんである。
キーアイテムの話を初めて聞くなら、マジで知らないだろうな…他二人…。
と、思っていたが。
「はぁい、マジカルクラッシャー大回転!炸裂ニャア↑~!」
「神罰覿面ッッッ!!!」
「挑発、クールタイムカット、ロッティングウェポンセット!」
想像よりもぜんぜん雑魚戦、戦えている。
何よりケダモノが強い。
デバフあるはずなのに、ずいぶん範囲攻撃を高いダメージで叩き込んでいる。
あと、ずっと猫被ってたのだろう、小石ちゃん。
スキルだいぶ攻撃に振ってたんだな…。
アンデット用のスキルを次から次に叩き込む。
実際には特攻ボーナスなどついていないのだが、それにしては戦え過ぎている。
「好調にゃぁ↑~! われわれこんなとこでも勝てるニャンねぇ↑~!」
「なんでやれてるの…その武器がすごいの?」
思わず信じられなくてケダモノに聞く。
小柄なキャラメイクに派手な衣装と、飛び切り目立つのは、斧である。
身長より高そうな、斧。
おそらくは戦士系の近接職なのだろうが…。
「あー、これイベントスキンだから、使ってるのは内部的には両手ナイフニャよ?」
「にゃんと!?」
「セイちゃんは全員で全力狩りのときに美味しいものよく上乗せしてくれるのよねぇ、盗みのスキルとかで」
「……シーフなの!?」
見た目でわからんて!
「で、にゃんか入ったときにパッシブスキルでオートアイテムスティールしたにゃんねぇ」
「そんなのあるんだ…」
「何かしらない十字架だったけど、視聴者コメントで使えっていうから使って呪い解除したにゃ」
「有識者やるな!?」
「君ら、このおっぱいに褒められてご満悦にゃんねぇ↑~?」
「そこが喋ってるわけじゃねえからな!?」
このケダモノの視聴者、いったいどんな空気でいるのだろう。
……後から調べて確認しとこうかな…。
に、してもだ。
言わなくてもキーアイテム使えて、しかも、私が知らない入手もできる。
これ…1階層で満足して帰還する流れにすれば、もしかして生きて帰れ…。
「いやぁ、ボスの移動範囲、あんな広いとはねえ」
「あーれは卑怯にゃぁ…↓ あんな物量呼ぶの邪悪にゃあよねぇ」
「…お嫁にいけないかもしれない…」
広場を足早に横切っていく三人。
見た目が…。
全員、装備全部なし。
三人とも裸同然でギルドの家屋に歩いていく。
いやあ、一階ボスの行動も予定外だったし、シランレベルに強かったし、まさかアイテムロスト…というか、ボス能力で負けたら強制装備没収なんてあると思わなかった。
そいつに勝てば無傷で帰ってくるらしいけど。
怖がられるのも、むやみに突っ込むやつが少ないのもやっとすべてを理解できた気分。
ばっちり三人とも配信モザイク行きですわ。
絶対リベンジしてやるからな!
生き恥はずっと残るけどな!




