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JKたちは『AHO』なことをしています  作者: 畑楽 繰間


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マスコットの流儀 ~プロフェッショナルの仕事~

「…コノタビハ……ソノ………マコトニ、カナシイ事態ニ発展シテシマイマシタ…コトヲ……真摯ニウケトメ…」

「そういう話を聞きたいんじゃないの」

「……イカンニオモイマス……ゴメンナサイ……」


 全裸土下座である。


 ゲーム上無理なところは無理とはいえ、この健全なMMOで全裸土下座が発生するとは思わなかった。

 いや、やってるの自分じゃねえか!



 あの後、メンテは定時に終わらず2時間延長してくれやがりました。

 詫びポーションよこせよと公式掲示板に投げつけたりして待つこと2時間。

 その時間になると、メンテ明け直後のログインをする人も当然増えている。

 時間帯の問題もあるし、ずっと待ってる人も毎日それくらいの時間にプレイしている人も…と、雪だるま的な要素で増加するからだ。


 失念だった。


 見事なくらい、入るのが同時、居るのがわずか誤差5キャラ分程度。

 ほかに障害物もありゃしない。


 そんな中で、ログインの瞬間「ヤツ」がいた。

 逃げ続けたいと思っていたヤツが。


 小石ちゃんが。


 逃げられないよねえ。

 そりゃねえ。

 

 安全なログアウト先で、このギルドの本拠の家の庭にしたの、気を許しすぎたな…。

 だって生産ギルドの受付ど真ん中でログアウトしにくいし、近いし…。


「なんで、マジといい感じにすぐ距離感近くなってるのか…理由だけ聞いたら、何もしないよ別に」

「ナニモシナイ? ホントニ?」

「……たぶんね」


 何されるんだろう。

 絶対すごい致命的なことされる予感がする。

 雰囲気が何よりヤバイ。

 こっちの手札死んでるのに、後攻で相手が十二獣の展開完成させてきたのを見ている気持ちに似ている。


 てなわけで。

 何を取り繕う余裕もなく、ぺらぺらと洗いざらい内容をぶちまけていく本田さん。

 たまに素…というよりも奥底の闇がにじんでいる「ぉア?」みたいな返しが来るのが怖い。

 絵面は動かないが、小学生は泣き出すだろう、くらい怖い。

 それらをだいたい話したうえで、私に気はないことを念押しして何度か執拗に挟むことで、なんとか殺害対象からは引く気配にはなった気がする。

 昔見た、大魔神の破壊シーンからの顔をすっと変える、ああいうシーンが私の中で展開している。


「でね…でね、一応理由らしい情報はゲットしたんだよ私も頑張って」

「ほオ?」


 いや怖いんだ…言葉の奥に何かがこもってるんだ、いちいち。


「…こ、小石ちゃん、ずっと中身男性のキャラだと思われてる…ヨ……」

「なんで!?」

「わかるかよ!」


 しまった。

 つい身内ノリで突っ込んでしまった。


「…いや本当になんでさ? 私はつつましく、パーティ必須の回復サポートしてるんだけどさ!?」

「さが多いね…」

「自分で言うのもなんだけど、天使みたいじゃない!?」

「自分で言うのは本当にどうかと思う」


 恐怖は去った。

 こうなれば、話題を私の責任論から可能な限りずらそう。

 そうしてしばらく…。


 気が付くと、対マジくん攻略対策本部ができていた。


 なんでやねん。


 計画自体は成功だが、これまでの行動や経緯をさらに小石ちゃんから聞くことになり、狩りも採取もできそうにはない。

 そこはまぁ、腹をくくろう。


 で。


 出てくる、いろんなエピソードたちを元に「何が悪くて回復職に頼る要素と惚れる要素が足りてないか」を読み解く。

 まぁ、どれにしても、片方から話を聞いているからわかるが、結果で言うと…。

 接点を探る、近づくのに奥手すぎる。

 相手が興味を持ってないか、気まずいと思ってた部分はあるが、何もしてない。

 結果、何かのきっかけで中の人は男認定である。


 どう打開しろと。


「わかっちゃいたけど、まぁ↑~進まないニャンねぇ~」

「だよねぇ、もう今の状況楽しんで満足してるだろこれ」

「そんなことあるわけないじゃないさ!」

「いやぁ↑、見てる側からは確実に楽しいニャンですがにゃ~」

「にゃー」


 にゃー。

 なんか釣られているが、安易な語尾は使うの難しいよな。

 キャラに合うか、貫けるかが…。

 ……って?


「誰だそのニャア!?」

「おそいにゃ~……RTAの配信で解説の台本が去年の記録使ってタイムスケジュール組んでたくらい遅いにゃあ」

「そんなにか…」

「そんなにゃぁ」


 誰だ。

 会話にひょっこり挟まってくる、ちっこい獣人がいた。

 いつからいたのだ。


「ごきげんよう、セイちゃん」

「アイちゃん久しぶりニャ↑~」


 知り合いらしい。


「こっちは本田さん初めてよね、うちのギルドのマスコットのセイちゃん」


 まだいるけど今紹介できない、と、前にサブマスの人に言われてた人がいた気はする。

 なるほど、その枠か。

 ボイチェンありだろうけど、生のボイチャでエモート入れながらしっかりニャンの語尾入れだよ…。

 熟練の腕を感じる。

 リアルタイムのニャンの語尾付きとしゃべるの初めてかもしれん。


「んでセイちゃん、こっちうちの加入承認待ちの本田さん」


 !?


 そんなことになってたの?

 本人未確認で加入を頼み込んだみてえになってたの?

 知らないの私だけでもう入ってた、になるところだった?

 もしかして。


「…なんかやらしいことする枠」

「納得にゃぁ↑~」

「するな!」


 やっぱり幾分は根に持ってるな!

 本田さんはあきらめても、それ目的で遊んでると思われるのは困るぞ。

 マスコット、こっちの身体を見て納得したような目でニヤついたエモートするな。

 あと、広めないようにな、頼むから。

 

 そんなこんなで。

 いきなり来たマスコット枠が恋愛対策本部に加入。

 ズカズカした物言いで、かわいい系マスコットでは明らかにないことを知らしめる。


「…なかなかいいセンスしてるニャねぇ↑~」

「オマエもいい根性してるマスコットだよ…」


 こう…攻撃的な球団マスコットとか、〇クダヨ〇的な枠なのを確信した。

 私もだが、即攻略の手段やドッキリレベルの突拍子もない飛躍からの攻略を出しすぎて小石ちゃんからは全却下。

 諦めの空気になってきているので、さすがに引っ張らない空気読みは二人ともできそうだ。

 とりあえず、近寄らんとこ…と、このギルドの人に認定されてないことに実際ほっとしている。

 むしろ気に入られてる雰囲気だし、頼らせてくれることだろう。

 おかねください。

 それにしても、このマスコットは徹底してる。

 プロだ。

 課金ばっちぱちなの確定だろ。

 最小の身長ともこもこした獣人のかわいげな姿とカラフルな装備スキンなど、細部までかなり「やってる」。


 こだわりもあるしつぎ込みぶりも…頼れる感じがするのだ。


「……ということでなのにゃあ」

「はいな」

「合意と認可を得たということで、じゃあ配信開始するニャアよ↑~!」

「………は?」


 は?????


「はいセット完了、3…2…1…!」

「は!?」


 聞いてねえが!

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