53 イモの確認(4)
「ユウタが食べて大丈夫だったと言うのなら、俺達が食べても問題無いだろう。
ただ、掘り返すのが大変だから、食料が心許無くなってきた時以外には足を止める必要は無いと思う」
ザガンの言い分は、的を得ていると思う。
アレス達の目的は魔王を倒すための旅だ。
それも、出来る限り早く倒さなければいけないのだろう。
食料が無くなるのは問題だが、今はその様な状態ではない様子だし、それならば食料の事に対して貴重な時間を割いている場合ではない。
「折角掘り出したんだから、入れられる余裕があるのならば持って行ってくれ。
これだけでも、多少は違うだろうからさ」
「分かった。
持たせてもらうとしよう」
ザガンは、掘り出したイモをストレージの中に仕舞いこんだ。
「さて、戻って飯にしようか。
今日は同じイモか確かめてくれよ」
「分かったよ。
分かる範囲で確認してみるよ」
俺の拙い味覚センサーで、何処まで判別できるか甚だ疑問ではあるが、出来る限りは協力しよう。
美味い飯を食わせてもらったし……
ザガン、レオンと一緒に洞窟前へと戻ってきた。
丁度その時、洞窟の中からリーナとナターシャも出てきて、俺を含めた皆と朝の挨拶を交わした。
ザガンは挨拶もそこそこに、皆へと食事を配り始めた。
「あれ? ザガン、何か入っているぞ?」
昨日の液体だけのスープとは違い、何か細かく切り刻まれた物がスープの中に点在していた。
「あぁ、昨日のスープの中に少しだけ肉を入れたんだ。
身体に良くないから、沢山は入れられないけれど、その位ならば大丈夫だろう。
細かく刻んであるから、身体に取り込みやすいだろうしな」
最後に肉を食べたのは何時だったか? 思い出せないくらい前の筈だ。
細かすぎて何の肉かは想像もつかないが、この際、肉ならば何でも良い。
何の肉であるかという事より、肉であることが重要なんだ。
「肉、食べられなかったか?」
俺が『肉』という単語によって言葉を失くしていた事により、ザガンに勘違いさせてしまった様だ。
自分を取り戻した俺は、その言葉を慌てて否定する。
「いや、そんな事はない、そんな事は絶対にない。
肉を食べるのが久し振りすぎて、ちょっとトリップしていただけだ」
「トリップ? の意味は分からないが、食べられるのなら良かった」
微かな肉の入ったスープに口を付ける。
山草ばかり食べていたので僅かな肉でも獣臭さを感じられたのだが、今はそれさえも美味しく感じる。
(これだよ、これ)
昨日のスープとは違う旨味を感じながら、最後の1滴までをも飲み干さんばかりに口の中へとスープを流し込んだ。
勿論ながら、スープを飲んでいる最中にイモの味を確認する事など頭の片隅にも無かった。




