52 イモの確認(3)
「ユウタ、お前、これを食べたって言っていたよな?」
「あぁ、そうだけど……食べちゃいけないものだったか?」
ザガンの言葉に、急に不安が広がった。
リーナとの間でやり取りする時の軽い口調ではなく、どうみても真剣モードの言葉に少し怯んでしまった。
「ユウタが食べて、何ともなかったのなら大丈夫なのだろうけど……これは新種だと思うぞ」
「そうなのか?」
「あぁ、味はどうだった?」
「味は俺の知っているイモに近いなと思ったんだけど、此方のイモと比べて同じかどうか分からない。
何せ、未だに此方のイモを食べたことが無いからな」
「イモなら、昨日の晩飯に入っていたぞ?」
「そうなのか?」
昨日の晩御飯はスープだった。
固形物は入っていない様に思ったのだが……
「あぁ、原形を留めない程に煮崩していたけどな」
あれはイモのスープだったのか……それまで、青草のスープが殆どだったから、それとは違う途轍もなく美味しいスープという喜びが先行していた。
その結果、味の方が何によるものとか何に近いとかは全く考えていなかった。
只々、美味しいスープだなぁ……と。
「ごめん、昨日のスープの味に近いのか良く分からない。
昨日のスープは味を確かめるより先に、『美味しいスープ』って事で頭が一杯になっていたんだ」
「作った身としては嬉しい言葉だが……まぁ、今日の食事にこいつも使ってみるか。
そうすれば、はっきりするだろうしな。
弱っているユウタが食って何ともないって言うんだから、大丈夫なのは間違いないだろうしな」
「済まないな」
「気にするなって、俺としては嬉しい言葉が聞けたしな」
「ザガンは料理人なのか?」
「いいや、ポーターが本職だけど料理をしたりするのも仕事の内だ。
例え本職で無くとも仕事を評価してもらえたのなら、嬉しくなるのも当然だろ?」
出会ってまだ1日も経っていないが、勇者パーティーのメンバーは誰か1人が欠けても成り立たない様に思う。
実際の戦いに於いて、ガレスはそれ程役に立つとは思えない。
俺よりは戦う事が出来るかもしれないが、アレスやリーナに比べたら微々たるものでしかないだろう。
だけど、戦闘以外の面ではガレス抜きには語れないはずだ。
アレス達は戦闘を支える目立たない仕事の大切さを見定めている様で、間違ってもガレスを見下したりしないだろう。
それは、パーティーメンバー同士の会話やお互いの話す時の視線を見ていると良く分かる。
(戦闘中は何をしても華やかだからそっちに目が行きがちだけど、本当に大切なことは戦闘の前段階なんだよな)
何事も、準備の段階で結果が決まってくる。




