33 テントを解体する
「ユウタ、このテントって奴は持ち運べるって言っていたが、このままだと持ち運ぶには大きすぎると思うぞ」
「そうっすね、これだと木に引っ掛かって大変っすよ」
レオンとザガンが、持ち運びに関して異を唱える。
「これは、このまま持ち運ぶわけじゃないんだ。
一寸、待っていてくれ」
インナーテントの中に置きっぱなしにしてあった、シュラフなどの中の物を洞窟の隅へと追いやった。
そして、空っぽの状態になった事を確認して、ファスナーを締めて纏めやすいようにする。
「良いか、よく見ていろよ」
インナーテントの手前の隅へ行き、しゃがみこんだ。
「そっちの方に飛ぶかもしれないから、飛んで来たら避けるんだぞ」
勿論、そんなへまをするつもりは無い。
だが、万が一と言う事もあるので、注意喚起はしておく。
隅の穴に差し込まれたポールを、反発力にに負けない程度の力を籠めながらゆっくり抜き取る。
「おい、テントが壊れたぞ。
大丈夫なのか?」
リーナが声を荒げていた。
今晩の自分達の寝床が壊されれてしまったと思ったのだろう、無理もない。
「これで良いんだよ。
もう少しで終わるから」
まだポールが差し込まれたままの隅へ行き、慎重にポールを穴から抜き取る。
そして、インナーテントを吊り下げていたスリーブからポールを外した。
「これで、テントを立てていたんだけど……」
ポールの継ぎ目を次々と引き抜いて、50cmぐらいに折り畳んだ。
「1本の棒に見えたかも知れないけれど、こんな風に短く出来るんだ」
折り畳んでポールを横へ置いて、インナーテントを畳み始める。
大きく広げて、半分、また半分に折り畳み、ポールと一緒に丸める。
フライがあると一緒に巻かないといけないのだが、フライは水袋としてその生を全うしている所である。
畳むことを考えたらフライが無い方が遥かに楽なのだが、インナーテントだけでは雨が降るとテントの中が水浸しになってしまう。
洞窟の中だからこそ可能な事だ。
「あとは、これをこの袋に入れれば……これで、簡単に持ち歩けるって事だ」
全て自分の手柄の様に宣っていたが、地球の先人達の創意工夫の結晶だと言う事は重々承知している。
今、一時だけの賞賛と栄誉を我が身に賜りたいだけなんだ。
「これは、魔法で小さくしたわけでは無いですよね?」
「こんなに小さくなって、可愛いです」
「おいユウタ、今日の寝床、どうしてくれるんだよ」
「棒を折ってしまったら、2度と使えないっすよ」
「これがあれば、寝床に困らなくて済む……のか?」
勇者御一行の反応は、三者三様……いや5人居るから五者五様で、しかも期待していた賞賛を得ることができなかった。




