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悪役令嬢ルートに入りました~今世は私がヒロインのようです~  作者: 春乃りぜ(ましゅぺちーの)


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81/81

81 選択失敗

午前の部の店番が終わり、いよいよ出し物を回る時間となった。

シーラは男子生徒の群れの中で、一人ポツンと立ち尽くしていた。



(こ、これは一体どういうこと……?)



シーラは茫然としたまま、目の前で争いを繰り広げる男子生徒たちを眺めていた。



「アンダーソン令嬢、ぜひ午後は僕と一緒に行きましょう」

「いやいや、令嬢は俺と過ごすんだ」

「あんなヤツら相手にする必要はありません。ぜひ私と」



誘惑の香水をつけているせいか、今日のシーラはやけに異性人気が高かった。彼女にアプローチをかけている男子の中には、聞こえるようにシーラに陰口を言っていた者もいる。



一年に一度の大イベントを女性と過ごしたいというのはわからなくもないが、ハッキリ言って迷惑だ。



「すみません、私用事があるので失礼しますね」

「れ、令嬢!どちらへ行かれるのですか!」



シーラは男子生徒たちを無視し、そのまま走り出した。

当然、彼らはシーラの後を追いかける。しかし、シーラは上手く教室に隠れることで何とかやり過ごした。

今日は外から多くの人が来ているせいで、あらゆるところで人だかりができている。



そのことが功を奏し、シーラは上手く逃げることができた。

空き教室でゆっくりしていた彼女はあることに気が付き、我に返った。



「というか、もう始まってない!?このままだと前世と同じになっちゃうわ!」



シーラは慌てて教室から出ると、そのまま人々が集まるほうへ駆け出した。



「あら、クレア!」

「シーラ?」



彼女が教室を抜け出て最初に出会ったのは、第一王子と一緒にいたクレアだった。

彼女は普段から仲の良いアルヴィンやダミアンたちと過ごすことなく、婚約者である第一王子殿下と回っているようだ。



「第一王子殿下にご挨拶申し上げます」

「顔を上げてくれ、シーラ嬢。今日は王子として来ていないから、楽にしていいよ」

「ありがとうございます、殿下」



シーラは礼を言い、顔を上げた。

クレアの婚約者である第一王子は、穏やかで優しい人だ。彼は二つ下のクレアをとても可愛がっている。今も、彼女が人混みではぐれてしまわないように、しっかりと腰を抱いている。



第一王子はクレアの腰を抱いたまま、シーラにそっと耳打ちをした。



「ところで、今日はアイツもここに来てるんだ。君に会うのをとても楽しみにしていたよ」

「アイツ……?」



一体誰のことを言っているのか、シーラにはわからなかった。



「じゃあ、俺たちはそろそろ行くよ。ちょうど会いたい後輩もいるしな」

「あ、はい!また機会があれば!」



シーラは軽くお辞儀をしながら、去って行く第一王子とクレアを見送った。

相変わらずいつ見てもお似合いで仲の良い二人だ。



しばらく彼らの後ろ姿を見つめていたシーラは、再び我に返った。



「大変!早く行かないと!時間が無くなっちゃう!」



その瞬間、彼女の前に久々の選択肢が現れた。



――『選択してください!どこに行く?

   一、近くにあるお化け屋敷

   二、少し遠くにあるカフェ   』



同時に、五からのカウントが始まる。

既に何度も経験していることだからか、今さら混乱することもない。



「お化け屋敷なんて楽しそうね!一にしましょう!」



シーラは深く考えることもなく、一のお化け屋敷を選択した。

ちょうどすぐ傍にあったし、カフェはどこにでもあるからわざわざ行くまでもない。



シーラはすぐ傍にあるお化け屋敷ブースに駆け寄った。

奇跡というべきか、人が全く並んでいなかった。毎年お化け屋敷は一時間待ちも普通なくらい混んでいる。



「私、入りまーす!」



シーラはウキウキした気分で、真っ暗な入口の中へ入って行った。

その瞬間、彼女のいた場所に画面が出現したが、浮かれていたシーラは気付かなかった。



――『選択に失敗したようです』




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