戯言士さまのお金
〖500円の価値〗
少年は迷っていた。
綺麗事に拘るべきか手を汚すべきか。
正直なところ汚らわしいものに触れたくはない。しかし、それさえ得られればこの厳しい状況を乗り越えることはできるであろう。
人としての尊厳と現実への対応を秤に掛ける。
滴る汗。漲る渇望。
春先に似合わぬ強い日射しに唾を呑む。
「無理だーっ!」
伸ばしかけていたその手は寸前で勢いよく引き戻された。
陽光に照らされた硬質な光の誘惑。
されどそれは茶褐色のバリアに被われており……。
少年は結局諦めた。
高々500円玉一つのために犬の糞に触れる気にはなれない。
せめてどこかに公園があれば、手洗い場があればこんなことで迷うこともなかったのであろうか。
一瞬そんなことを思いながらも本質的なことに思い至る。
「それならば端っからその水を飲めばいいんだよな」
少年はその場を去っていった。
そして大人がそれを迷わず拾い上げた。
[後書き]
とある作品に釣られてしまいました。(笑)
こんなふざけたものではありますが、それでも一応はヒューマンドラマってことになるのかなぁ……?
もらったお釣りが500円多くて、それを返しに行くか行かないかの話かと思いました。ちなみに私は千円で払ったら九千円以上お釣りが返ってきて、返しに行ったことあります(偉い?)
「それならば端っからその水を飲めばいいんだよな」の意味がよくわからない……。バカだから?




