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伯爵令息転生女子  作者: くるみ
第4章
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24 心境の変化

私は、乙女ゲームの流れのように、エド王子に庇われてしまった。

エド王子と私の目の前に地竜が迫る。


《ビキン》


私は、危機を感じた時の条件反射で、硬く丈夫な結界を張った。

その結界を地竜が鋭い爪で執拗に攻撃してくる。

でも、結界にはヒビ一つ入らなかった。


しばらく大丈夫だろう。


私はエド王子の様子を見た。

顔色は悪く、辛そうだ。


「エド様…」


「いや〜…ドジったわ…」

彼の顔が苦しげに歪む。


注意深く見ると、彼の背中に真っ赤な染みができている。


「いやっ……」



私を庇ったことで大怪我をさせてしまった。

私は闇属性の治癒魔法を発動した。


「ううっ…」


更に具合が悪そうになって、彼は気を失ってしまった。


どうしよう、どうしよう…。

私はパニックになっていた。


相変わらず、地竜は結界を引っ掻いてみたり、

地震を起こしてくる。


これが乙女ゲームなの?

この状況は現実となると辛い。


「エド様。エド様…起きてくださいよ。

このまま起きないなんてことないですよね?」

私は彼を揺さぶった。

彼の目は開かなかった。


心細さで涙が溢れてくる。


どうしよう。私を庇ったせいでこんな目に遭わせてしまった。

その上、まだ地竜に狙われているんだ。

地竜は怖い。到底戦えない。


私はしばらく泣きながら呆然と佇んでいた。


エド王子は苦しそうな表情だ。

治癒魔法で治し切れていないのだろうか?

私は彼の服の破れた所から傷の状態を確認してみた。


服は、背中の部分が血だらけで裂けていた。

「…っ…」

攻撃された衝撃がどれだけ酷かったのかが伺える。

治癒魔法は効いているのか、傷は塞がっているようだ。


そうだ。

治癒魔法は丁寧にかければ苦痛をそれほど感じなくすることもできるらしい。

私は集中し、もう一度丁寧に魔法をかけ直した。

彼の表情は先程に比べれば柔らいだように見える。

でも、声をかけても目を覚ますことはなかった。



相変わらず地竜からの攻撃は続いていた。

ヒナタに念話をかけてみたが、繋がらなかった。


私はこんな時、いつも泣いてばかりで、

誰かが何とかしてくれるのを待っていたんだ。

だからバチが当たったのかな。


本物のヒロインだったらこういう時にどうするんだろう?

ヒーローが現れて助けてくれるのかな?


乙女ゲームの中では、騎士団や魔導師団が現れて地竜を退治することになっていた。

エド王子がこんな大けがをしている場面も出てこなかった。

ゲームにはそもそも、さっきのドラゴンは出てきていなかった。


あのドラゴンを先生とヒナタで対処して、騎士団や魔導師団は学園の外で待機している。

戦える人たちが外で待機しているのはレベッカがドラゴンを倒すことになっていたからだ。

イベントのドラゴンが地竜のことだと思っていないので、助けは来ない。

レベッカが対処すると言っておいて、助けてくださいとも言えない。


ヒナタは戻ってこない。

最近の会話では、強い魔物が出てきたら、戦わないで連絡をするように言われていたっけ。

だけど、連絡はつかない。

それにヒナタはもう一頭のドラゴンの対処をしていて忙しいのだ。



私は…学園を卒業する時には、コリンに戻ろうと思っていたんだよね。

そして、男であるコリンは、もともと騎士団に入りたかった。

ヒナタのおかげでレベルも上がり、魔法も上達しているから、

魔導師団に入るのもいいだろう。



それを思うと、レベッカという強い身体を持っていながらこんな風に逃げ隠れしていていいのだろうか?

いや、いいはずないよね。

今後男として生きていくのなら、なおさら、もっと強くあらねばならないはずだ。

泣いていてもどうにもならない。


これがエド王子のイベントだとすれば、

私は彼とのエンディングは迎えられないのだろう。

本当はヒロインじゃないけれど、そういう立ち位置だと考えるのが自然だ。

なんだか寂しいけど……でも、今ここで彼を助けられる人間でありたい。

守られているだけじゃなくて。



さっきからだいぶ時間も経ってきて、薄々感じ始めていた。

地竜はそんなにスピードも速くないし、

私の結界を壊すほどのパワーも持ち合わせていない。

レベッカである私の方が強いんじゃないか……って。




私は、予備のローブに風魔法をかけて、エド王子の身体を包んだ。

宙に浮かせることで、これ以上のダメージを受けにくくする。


地竜の攻撃してきていない一瞬の隙に結界を新たに張り直した。

この結界は後ろに小さい出口を作った。

この結界は、ランプ型の魔道具で固定した。

魔力はあらかじめ貯めてあったので、しばらく結界を保つことができるだろう。



「………」


私は、自分の首にかかっているペンダントを外し、エド王子の首にかけた。

いつもつけている、緑の石の即死回避のペンダントだ。


彼の首にはすでに、黄色っぽい石のついたペンダントがかかっており、

石はひび割れていた。

これがなかったら死んでいたかもしれないということだろうか?

あらためて考えてゾッとしてしまった。


私はカバンから、指輪の入ったケースを出した。

そこからヒナタからもらった黒い石の指輪を取り出し、自分の指にはめた。


そして、結界の後ろに作った出口から外に出た。

地竜を倒すために。

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