表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
伯爵令息転生女子  作者: くるみ
第4章
203/229

23 脱出(エド王子視点)

王城の塔に幽閉されていた俺は、

ベンジャミンに、この塔から出してくれるよう頼んでいた。


この数日、王都北部から感じる異様な気配。

あれは学園の辺りから感じる。


王族として、強くなった者として、ここは表に出るべき場面だと思う。

たとえ親に止められたとしても。



考えていたベンジャミンが口を開いた。

「王族としての考え方。それは立派だと思う。私も賛成よ。

協力しないこともないけど、エド様を外に出してしまった場合、

私は仕事をクビになるぐらいじゃ済まないのよ」


脱走させた俺に何かあった場合は、ベンジャミンが罪に問われることになる。

母上のお気に入りだというベンジャミンだが、

そういう後盾は確実に失うことになるのだろう。


「じゃあ、お前に行く場所がなくなっていたら、

俺がお前を引き立ててやる。約束する」



俺は、ベンジャミンの後ろ盾となることを約束した。


それだけじゃ足りないからと、いくつか条件も付けられた。

必ず戻ってくること。

1人で行動しないこと。

ガイアを連れて行くようにと言われた。


ガイアには特殊な能力があるらしい。

独特な気配があったのはそのせいなのか。



ベンジャミンに、塔の警備の魔法を緩めてもらい、

自力で脱出したように見せかけることにした。

ベンジャミンを突破して逃げたことにするのだ。


まずドアの鍵を、周囲に防音の結界を張り音が漏れないようにしてから爆破。


その後はベンジャミンを手加減して殴り、縄で縛る。


「エド様…もっとキツく縛られても平気よ?」


寒気がした。

いくら美形な男でも、縛って、結果興奮されてもゾッとするだけだ。


でも、出られるだけでありがたい。

気を取り直して、


「済まないな」

声をかけると、


「どうぞご無事で」


そう返事が返ってきた。


仕上げに猿ぐつわを噛ませる。

微妙にうっとりしている気配が感じられ、またゾッとしてしまった。

でも気にしたら負けだ。



こいつのためにも、無事で戻って来ないとな。

学園の辺りには、相当強い魔物がいるのだろう。


塔から降りていき、見張りの兵士数人を眠らせると同時に記憶を消した。

どうやら、見張りの兵士はいつもより少ないようだ。

移動しながら風魔法で人の声を拾った。


『ドラゴン』という言葉が聞き取れる。


竜か。

王都にドラゴンが出るとは。

2年前の記憶が蘇る。

王都に向かっていたドラゴン。


あの時レベッカに、コリンを引き止めるように言われたな。

今思えば、あれがヒナタだったんだよな。

レベッカはあの時からドラゴンを倒せるほどの力があった。

今はコリンも俺も、そのレベルに近づきつつある。

行けば何か役に立てるだろう。

でも、その俺を塔に閉じ込めるとは一体どういうことなのか。

どういう状況なのか。


念話が使える範囲に移動して、ヒナタと風子に念話をかけてみたが、

着信拒否されてしまった。

忙しいのか、話したくないのか。

話せない状況にあるのか?

俺は苛立った。



城の塀を目立たない場所から越えられる穴場へ向かっていると、

アイリスとばったり出会った。


「お兄様」


「ああ、なんだ…これは王族として必要なことでだな…」


「やっぱり行ってしまうんですね。

せめてこれを着けていってください」


黄色い宝石のついたペンダントだった。

なんでも鑑定する習慣があるから聞かなくてもわかった。

即死回避のような効果がかかっている。


「ああ…」


受け取ると首から下げた。


「途中でアルバートさんと合流してください。必ず」


「わかった」


アイリスの真剣な顔を見ていたら、危険な何かがあるんだなと思った。




そうして城の外で、ベンジャミンから呼ばれていたガイアと、

念話でアルバートとも待ち合わせて合流することができた。

馬車で学園に近づけるだけ近くに行って、途中からは歩いた。


「エド様!あれは何でしょう?」

ガイアが叫ぶ。

学園から大きな黒い影が二体飛び去るのが遠目に見えた。


「ドラゴンか?」


「もう学園に危ないものはないのでは?」

ガイアは楽観的だ。


アルバートはさっきから

「地竜と戦うな」の一点張りだったが。

考え込んでいる感じだ。



学園にあるいくつかの門の周りには、騎士が立って見張っていた。

俺たちは学園の北東の人がいない部分から塀を乗り越え、敷地に侵入した。



その時、レベッカに似た気配がした。

微かだが。

地下から感じる。


「お前らは、そこにある入り口から地下に潜れ。

瀕死の状態で倒れているやつがいる。

アルはガイアを援護しろ。

俺はやらなければいけないことがある」


「え?エド様?」

戸惑ったようなガイアの声が聞こえた。


俺は本能的に、自分が向かうべき所はここではないとわかっていた。

何故だかはわからない。

風子から、ここがゲームの世界だと聞いたが、

そのルールに沿った流れのように、自然と別の方向に足が向かっていったのだ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ