きみに呪いの花束を
「ど田舎からの汽車旅、本当にご苦労だったね。引き篭もり、世間知らず、嫁ぎ遅れの三拍子が揃った君には、大層な負担だったんじゃないかい?」
周囲を不幸にする呪いを宿した貴族の一人娘、シズク・ヤヨイ。呪いを恐れた人々に社交界から弾き出された彼女は、恋も結婚も諦めて領地でひっそりと暮らしていた。しかしある日、国の守りを司る壁将、レイ・ツクモリから縁談の話を持ちかけられる。
シズクは人々から忌み嫌われる禍子《まがつのこ》。外見もパッとしない嫁ぎ遅れの25歳。
対して、レイ・ツクモリは社交界で絶大な人気を誇る絶世の美少年。領民の信頼厚い名君であり、15歳の若さで壁将を任された天才剣士。
あまりの釣り合わなさに強い劣等感を感じながらも、僅かな期待を抱いてツクモリの地へ赴いたシズク。だが、実物のレイ・ツクモリは、人の嫌がることをするのが大好きな最低野郎だった。そして、絶対に周囲に明かしてはならない秘密があって……。
呪われた姫と呪われた地を守る若当主。似ているようで似ていない人生を歩んできた二人の出会いが、呪いの国を血塗られた戦いに巻き込んでいく。
「若干和風」の異世界恋愛ファンタジーです。