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願ったのは、愛されること
それは、ひどく静かな終わりだった。
暗いオフィス。点滅するモニター。
「あと……一行……バグを……」
カタ、とキーボードを叩く指が止まる。
それが、前世の私の最後の記憶だ。
30代、独身。IT企業のシステムエンジニア。
納期に追われ、誰かに頼られることはあっても、誰かに無条件で愛される時間はなかった。
薄れゆく意識の中で、私はぼんやりと願った。
(……次は、もっとゆっくりした時間がいいな。誰かに、死ぬほど可愛がってもらえる……そんな人生が、いいな……)
意識が消えゆく中で、私は最後の一息でそう願った。
すると、真っ暗な視界の中に、淡い光の文字が浮かび上がる。
《確認完了。個体名:佐藤結衣の『究極の愛欲求』を確認しました。》
《適合する転生先を選別……。大陸最強の血統、グランヴェル公爵家がヒットしました。》
《特典スキルとして、愛を可視化する【慈愛の眼】を付与します。》
(マスター……アナライズ? なにそれ、かっこいい……けど、今は、眠い……)




