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見合い相手は殺し屋でした⁉ 幸せを掴むスリリングなメソッド。  作者: 八波琴音


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「ジョセフ、最初チケットのタイトルを見たときは何かの冗談かと思った」

 翌日、ジョセフの店を尋ねるや否や、不機嫌というよりはやや困惑したような表情で、レオンが言った。

「冗談なんかじゃねえよ。デートはうまくいったろ?」

「――一見したところでは、ああいうものが好みだとは判断できなかった……『調査』した上で選んでくれた、ということになるのか?」

「いや、なんとなく……俺のド鋭い勘の成果っつ~のかな。でも結果、俺が選んだチケットで正解だったろ? 何をそんな浮かない顔してんだよ」

「……いや、常識的に……ああいう発想には至らなかったからな」

 どこか納得いっていないような表情のレオンに、ジョセフは「ポルノ映画のチケットってわけじゃあるまいし、非常識みたいに言われてもな」と苦笑混じりに返した。

「ぽ、ポル……⁉」

 顔を赤らめながら、レオンは後ずさった。

「ああいっそ、そういうののほうが良かったか? 盛り上がってそのまま――って」

「バカを言うなっ! そんなものを忍ばせていたら、絶交していた」

「ムキになるなよ、マジで冗談通ねえなあ」

 ジョセフはハタキで彼の頭を叩きながら、呆れたようにため息を吐いた。

「しかし、しっかりと調査もせずに選んだにしては、随分……意外性があったというか」

「おまえよりは俺に『人を見る目』が備わってるってこったろ?」

「だとしても……」

「そんなことより、デートの最中に仕事をこなしたってのは本当か?」

 これ以上喋っていては、個人的に百合亜に接したことがバレてしまうと、ジョセフは話題を変えた。

 レオンはさらに渋い表情になる。

「――成功したとはいえないがな」

「どういうこった?」

「……死体(ロク)が上がってない。逃げられた可能性がある。おかげでタダ働きだ」

「おまえさんらしくねえな」

「仕方ないだろう。逢引の最中に仕事をさせる方に問題がある」

「……にしてもさ」

 ジョセフはハタキを振り回しながら、天井を見上げた。

――お嬢を優先した結果、ってことなんだろうな。それがなけりゃ、とことんまで追跡してただろ。

「ま、今後はしっかりやるこったな」

「言われなくても分かっている」

 レオンの表情は冴えないながらも、デートの様子に満足していることは伝わってきて、ジョセフはふっと笑った。

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