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「じゃ、ノーマルスタイルに戻ってくるから」
マラソン選手顔負けの速度で駆け抜け、古書店の近くの茂みに入ったジョセフは黒装束から普段の古書店の主の井出立ちに替わっていた。
茂みに飛び込んでからものの数秒で古書店員スタイルになって現れたジョセフに対し、百合亜は驚きの表情でのけぞった。
「は、早変わり……びっくりしましたわ」
「とりあえず、このスタイルんときは一徹って名前で通ってる。で、お嬢んち、門限は結構厳しいよな? これ以上はヤバいか?」
ジョセフの質問に対し、百合亜は首を横に振った。
「まあ、それなり……ですけど、わたしが我が家の稼ぎ頭ですから、文句は言わせませんわ」
堂々たる笑みに、ジョセフはふっと笑う。
「思った以上に逞しいお嬢だな。冗談抜きにレオンに似合いかもしんねえ」
「わたしが千蔵さまに相応しい相手であることは言うまでもありませんけれど……一応、誉め言葉として受け取っておきますわね」
――なんつーか、華族のお嬢らしくないっつ~のか、俺らとそう馴染まない感じがしないんだよな。ハッキリ言って異質。
百合亜がかなり変わり者のお嬢様であることは否めない。
――没落華族の逞しさっつ~のかな……。
ジョセフは閉店した自身が経営する古書店へ、彼女を招き入れた。




