八十五話 野宿予定地。
アレン達がリンベルクの街を出てから五時間ほどが経っていた。
リナリーとスービアが言い争ってだいぶ工程的に押していたが、何とか今日の野宿予定地であった場所にたどり着けた。
「へーここは」
アレンが周囲を見回しながら、呟いた。
野宿予定地であった場所は均等に切り分けられた白い石が並べられ積み上げられ、崩れているが家らしき跡があったり、石畳とされていたり人工的に作られたと思われる遺跡が広がっていた。
「おい、アレンもテントを張るの手伝え」
「あぁ」
テントの袋を持った、スービアがアレンに近づいてきた。
「アレ? リナリーとホップは?」
「なんだ、聞いていなかったのかよ。アイツらなら水汲みに行ってるよ」
「そうだったか。スービアと一緒に居るのを避けたんだろうな」
「んあ? なんか言ったか?」
「いや、なんでもない」
「ここら辺は水平か?」
スービアの問いかけに、アレンはしゃがんで手を置いて頷く。
「うん、いいんじゃないか?」
「じゃほらよ」
スービアがテントの袋から骨組みのパーツとテントの外皮の布を取り出す。そして、骨組みをアレンに渡して、テントの外皮の布を地面に広げた。
アレンはスービアとテントの設営しながら、口を開く。
「スービア、ここってどういう場所なのか分かる?」
「ん? ここか? 詳しくは知らねーな。ただ、かなり昔からあったらしいな。ここの辺りに巨大な街があったんじゃないかと言われているらしいぜ」
「そうなんだ……ここに街が」
「あーそれから、あと昔ここに強い魔物が封印されていたらしいぜ?」
「そうなのか? その魔物はもういないんだよね?」
「あぁ、確かに討伐されている。もう一つ言うと、ここで現れた魔物を討伐したのが今度行われる聖英祭で祭られているヤツ……名前なんつったかな? 忘れたな。その祭られている奴が魔物を討伐したんだってよ」
「へーそうなのか。スービアは物知りだな」
「ふん、そんなの街に何年か住んでりゃ、嫌でも耳に入ってくるぜ?」
「そうなんだ。まぁ何にせよ。教えてくれてありがとう」
アレンは無知な子供を装う様にニコリと笑って見せて礼を口にする。対して、それを見たスービアは照れたような表情になって少し早口になる。
「お、おう、まぁアレだ。お前、田舎村育ちのガキだな? 俺もそうだったんだよ。分からねーことがあったら何でも聞けよ?」
「スービアも田舎村育ちで……仕事を得るために出てきた口なんだ?」
「おう、そうだぜ。俺は王都であるリンベルクの街から二、三日ほど離れたレイップ村出身なんだが、何もない村でな。嫌になってこっちに出てきたんだ」
「そうなんだ。やっぱり大変だよね。言葉とかもさ……俺は図書館ですごく勉強したんだ」
「あぁ、そうだったぜ。大変だった。腕っぷしには自信があったけど、言葉や文字、金の計算は苦労したぜ」
過去を思い出したようにスービアは目を細めながら笑った。
「だよね。俺もまだ文字の読み書きには時間が掛かっちゃう」
「ハハ、お前くらい若くてそれだけ会話できればいいぜ。頭は悪くないんじゃねぇか? 俺なんて頭はよくなかったから、どんだけ図書館通ったかわかんねぇーよ? おう、そっち引っ張れ」
「わかった。そうなんだ。俺は今、子供の絵本が置いている場所で、司書の人に意味を聞きながらやっているところ。正直、俺も読み書きがちゃんとできるようになるまで、どれだけ図書館に通うことになるか……貸出して欲しい」
「ギャハハ、それな、俺も思ったことがあるぜ」
「写そうにも、インクも紙もそれなりに高いしね」
「だよな。なんだ、アレンお前、気に入った、今度飲み行くか?」
「本当? いいの?」
「おう。いいぜ。ってそういえば、お前何歳だっけか?」
「……十二歳だよ」
「そうか、酒はそんな飲んだことがねーよな? うまい店を知ってんだよ。田舎村の出身の先輩として酒と言うものをしっかり教えてやらねーとな」
スービアはそう言ってニヤリと笑みを浮かべて笑った。
ちなみにクリスト王国は地理的に寒い地域にあって、体を温めるために飲酒することがある。よって、飲酒に関する年齢制限はあいまいである。十歳以上ならば普通に飲酒が行われていた。




