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27th 「教皇選挙 開幕」

 早くも、伝説となりつつある、あのオークションから、あっと言う間に日が過ぎて、いよいよ明後日からついに教皇選挙(コンクラーベ)が始まる。


 俺達の陣営から、会場に入れるのは、俺とアコ、エルノスの三人と、その従者各一人ずつのみ。問題は、最大戦力の二人が中に入ってしまえば、残った陣営でやり繰りして不測の事態に対処してもらわねばならないという事である。

 例えば、外の嫁たちなんかを人質にされて俺達に圧力をかけてくる陣営だって無いとは言い切れないのだ。


 そこで、外と中で綿密に連携を取る為、俺達は、ある秘密兵器を解禁することにした。


 それは、PHS(ピッチ)である。携帯端末と、小型基地局のセットが朝日町で大量に手に入ったので、この数日、基地局を聖王都内の各地に展開している。最後に、俺達が基地局を投票所内に設置すれば、ほぼ首都内部では電波の届かない場所はなくなると見て間違いないであろう。そして、端末のほうは、俺達十三人と、キャプテン レイザー。ドメーヌの所の四人とダニエラさん。一応、三バカにも預けてそれぞれの端末の電話番号も登録して、いつでも連絡出来るようにしておいた。ダニエラさんから、しょっちゅう電話がかかるようになったのは本音、閉口しているが、まあ、テストしてると思えば腹も立たない程度だし、他には、武器、燃料、食糧の手配やらでてんてこ舞いである。


 そして、色々と揉めているのが、誰を従者として選抜するのか? である。

 俺の従者に立候補してきたのが、スー達嫁全員と、ダニエラさん、であるが、今回のような場面で選ぶとしたら、もう、一択である。

「アヤメ、従者頼む」

「承知!」

 間者として、戦闘要員として、相談相手としても、まぁ、適切かな。

 問題は、あと二人である。戦闘力のトップ3が中に入る以上、アイナには残ってもらわねば心配だし、

連れて行くのは、ある程度小器用に動ける、会場内で孤立した時でも単独で動ける人材でなければならない。

 そう、考えていると、テリーが、自分を売り込んできた。

「フッカー卿、俺、エルノスをサポートしたい。もちろんフッカー卿の命令は絶対守るから、お願い!」

 うーん、ちょっとは考えてたパターンではあるが、問題は、貴族、皇族バリバリの処に下町育ちの孤児が一人では、色々問題ありかなぁ? ここは師匠に聞いてみるか?

「どうだろう、スー。テリーはやっていかれるだろうか?」

「確かに、貴族と同じようには難しいと思いますが、従者なら出来ないこともないかと。ただし、残りの時間で特訓が必要ですわね」

「それでしたら、私にお任せくださいな。フッカー卿」

 と、立候補してくれたのは、ファビーさんである。

「マダムがご教授下さるなら百人力です。とりあえず、やってみるか? テリー」

「ありがとう、マダム。ありがとう、フッカー卿」

 こうして、中一日しかないが、テリーは特訓を受けることとなった。


 そうすると、枠は残り一つ。アコの従者だが、やはり、最後の枠を巡って熾烈な争いが繰り広げられた。しかし、一長一短。誰を連れて行っても不備は残るなぁ。ここは、あの人に聞いてみるか。


 と、いうわけであの人の所に来てみた。

「センジ様。頼っていただけるのは嬉しいのですが、一応選挙管理委員会のメンバーなのですよ。わたくしは。特定の集団に肩入れしてると思われるだけでもデメリットが大きい立場なのです」

「まあまあ、初めて選挙に参加する人の立場に立って投票しやすい様に尽力するのも選挙管理委員会の仕事でしょ?」

 エルフのシリーニ様が、僕のために意地の悪いドメーヌをこらしめてくれた。うれぴーっ!

「いっそ、シリーニ様、従者をやってくれませんか?」

「シリーニは、わたくしの、わたくしの、従者ですっ! 大事な事なので二回言いました!」

「では、誰が適切かアドバイスをお願いします。あと、センジ様言うな!」

「うーん、そう言われると適切な子が居ないわねぇ。スーなら無難でしょうけど、それゆえ陥るスキも大きいでしょうし」

「いっそ、あの子ならどうかしら? 色々と鼻も効くし」

「ああ、いいわね」

「なるほど、来てよかった。このお礼は、いずれ。ありがとう。シリーニ様」

「わたくしは~?」


 と、いうわけで、えらばれた娘は、

「アナ。そういう訳で、宜しく頼むよ」

「ありがとうございます~ 一所懸命にがんばりま~す♡」


 彼女にした理由は、三つ。

 一つ、クーシー族の彼女は犬のように鼻も耳も、人族の数千倍効くのだ。これにより、毒物なども、他の者より先に気が付く。以前ドメーヌ様も、この超感覚に助けられたことがあったとか。まず、他では得られない素晴らしい能力だ。

 いまひとつは、彼女のおっぱい。これから男達の集団の中、いつまで続くとも判らない長期間の雪隠詰(せっちんづめ)の中で、周囲の男達も、ささくれ立つこと請け合いの劣悪な環境になる。その中で、周囲への癒し効果と、別の意味で威圧効果を期待できる。

 そして、最後に、彼女が亜人であること。人間相手には完璧な猫を被っている奴でも、こと亜人相手だと化けの皮が剥がれる可能性もある。いわば、リトマス試験紙の役割をしてもらうのだ。結果的に彼女が嫌な思いをして傷つく恐れもあるが、そこは、俺がしっかりとケアしてあげれば良いことだ。うひひ。


 こうして、遂に布陣も決定した。後は、持ち込む物の準備と、残留チームへの指示である。

 特に、スー達は、曲がりなりにも冒険者である。いざ、という時の覚悟はいろいろしてもらわないと困る。例えば、本人たちへの攻撃や、誘拐。または、孤児院の子供たちへの誘拐など、危険はいくつでも想定できるのだ。これらの危険に際して、どのように動くのか、ドメーヌの所の残留部隊と協力して、対処して欲しい。


 朗報もあった。シュガーレイの後続組が聖王都に到着したのだ。

 マカンに着くまでの間にダニエラさんに置いてきぼりにされた五人は、追いつく事を諦め、先回りして聖王都に向かうことにしたのだ。で、先にこちらに来てダニエラさんが到着した頃には、すでに俺と仲良くなって、ダニエラさんを悔しがらせようとしていたらしい。真っ先に俺のところに来た五人は、俺からダニエラさんが既にドメーヌと一緒に王都に到着していることを聞き愕然としていた。ロサから飛空船の定期便をつかってまで急いだのに、ごくろーさんなことだ。まぁ、彼女らには悪いが、俺たち的には、戦力増強は嬉しい誤算だ。


 それから、神聖帝国大金貨の両替をしてきた。先日の男がまた店の前にいたが、俺の顔を見た途端さっと、居なくなったので、問題なく両替できた。十三枚あった大金貨のうち、三枚残し、十枚分が、計千三百万ドロップで両替できた。また少し上がったようだ。


 こうして、着々と準備は整い、いよいよ、明日から選挙が始まる。最後に着ていく衣装あわせだ。俺は、貴族としての正装で、いつもの一張羅で良いし、アコも、シスター服の下も着用して、スパッツを隠しただけであるが、アナとアヤメ、テリーの衣装は、ファビーさんから借りた貫頭衣である。下は常識の範囲で良いとのことだが、テリーの普段着がやはり問題となった。

「貫頭衣の下はスカートでなければいけません」

 と、ファビーさんに言われて後悔したテリーであったが、諦めて本邦初公開となるスカート姿になった。もちろん、スー達におもちゃにされ、色々と魔改造されたテリーは、

「「「すっげーかわいい♡」」」

 男たちのツボを刺激しまくった正統派美少女になっちゃった。やや、短かすぎる感じの金髪も、リボンでコーディネイトすると、ホントに美少女って感じだし、履きなれないスカートに恥じらう所なんか、もー辛抱たまらんっ! ってマジ思うもの。

「改めて、僕のお嫁さんになってくれ!」

 と、エルノスが言い出した時は、チョーびっくりのサプライズだったが、

「はい」

 と、短く答えたテリーは正にお姫様のような可愛さだった。

 まあ、新婚旅行がコンクラーベでは、色気も糞もないが。




 なんにせよ、これで、全ての準備が整った。PHSの電池も満タンだし、食糧や、小道具も完璧である。期間中は、外からの持ち込み、持ち出しは禁止されているが、いざとなったら、俺にはアポートもある。他の陣営よりも圧倒的に有利なのだ。そう思うと余裕もでてきた。

「さあ、ショータイムだ!」

「「「「「「「「「「おーっ!」」」」」」」」」」




 明けて翌日、AM6:00 遂に教皇選挙(コンクラーベ)が開幕となった。



 長蛇の列に並び、俺たちは、会場入りの順番を待っている。ドメーヌ達は、既に会場入りして、一般入場者を一人ひとり確認しているらしい。

 今回、出馬した者は、自薦、他薦問わず、153名。

 そして、それを審査する投票員が3846名、選挙管理委員が、256人、これに、現存する11名の教皇が加わり、総勢4263名。これに、同数の従者が加わり計8526名の人間が、教皇選挙の終了まで監禁されるというのだ。

 まず、入場するだけでも大事である。

「あなた、みんなも、本当に体だけは気を付けて♡」

「ありがとう、スー。みんなも。俺達は心配ないから、君らこそ気を付けて」

 見送りに来ていたみんなにも声をかける。いよいよ、しばしのお別れだ。この別れのどさくさに、もう一人のメンバーを送り込む。そういう計画だ。そう、アフである。最初は、鞄の中に詰めていくかと思っていたが、手荷物は検められるとのことなので、彼には、勝手に入ってもらうことにした。そうすれば、オバQ並に神出鬼没な彼らのこと、特に咎められることもないと、過去の判例にもあったので、その作戦でいくことにした。

 幸いなことに、ほぼ全ての人員がこの正面入り口付近に集結している今の時間帯、壁面からなら何処でも入り放題である。一度入ってしまえば、基本、秘密保持のため、追い出されることはない。

 俺たちが入場して定められた控室へ入ると、既に彼はそこにいた。

「おつかれさまんさー」

 よし、準備すべてOKだ。


 このあとは、早速一次投票があり、ここで残ったものが議場で出馬表明をする手はずになっている。つまり、一次投票にも残れない者には、名乗りを上げる権利すらないのだ。

「ヒッジョーに、きびしーっ!」

 俺とアフが完全にユニゾンでやっていたのを、アコとアナ、アヤメがぽかーんとして見ていた。

 ちなみに、エルノスとテリーは、出馬側なので別室である。小さい子二人で大丈夫か? とも思ったが、シリーニさんがサポート役になってくれるそうなので一安心だ。落選すれば、こちらと合流もできるし、ま、心配はないだろう。


「間もなく、一次投票が開始されます。お手数ですが、議場の方へお集まり下さい」

 呼び出されたため、アフを置いて議場へと移動する。その間は、アフには議場以外の処をぶらついてもらうことになっている。


「よーし、みんな、作戦開始だ!」







 次回予告


 こうして始まった教皇選挙。

 だが、俺達の予測を超えて

 次々と異常な事態が起こっている!?

 そして、遂にあの男が、そのベールを脱ぐ。


 どうする、どうなる、陰謀合戦


 次回 「Bloody Land」


 エルノス、どこまで勝ち進むのー!?










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 現在百一位近辺。

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