海へ行く4人
朝食を食べながら俺たちは今日やることについて話し合っていた。
「いつもならエルの家を造ろうと言いたいところなんだが、さすがにそろそろ肉ばかりは飽きた。海に行って魚を取ってこないか?」
「ふむ、それもそうだな。だが、どこに海があるのかわかるのか?」
「それは問題ない。このスマホでマップが見れるからな」
もし今エルの家が完成すると夜には1人になって、色々と思い詰めて考えてしまうだろう。
今はまだ一緒に寝るぐらいが丁度いい。
それよりも問題は海には誰が行くのかってことだ。
時間経過なしのインベントリが使える俺は行くとして、一人で何かあったら危険だからもう1人は欲しい。そうなると前衛のオズかエルがいいのだが……
「我も行こう」
でもそうするとここで何かあった時イリスの面倒をエル1人で見させることになる。困ったな。
「……僕がここに残りますか?」
「よし、イリスも連れて4人で行くか。それが1番いい」
最初から悩まずにそうすればよかったんだ。
イリスにはちょっと大変かもしれないがみんなで散歩と思えば丁度いい。
「ちょっと、私だけここに残るのはだめなの?前に木を切りに行った時は1人でここに居たわよ?」
「森は片道30分ぐらいの距離でイリスに何かあっても俺たちが感知出来るし、すぐに駆けつけることが出来るからよかったが海は片道1時間はかかる。少し遅れるかもしれないがそれでもいいなら1人で残るか?」
何もないとは思うがここは一応未開の地だから用心するに越したことはない。
イリスも渋々ながら行くことが決まり、みんなで海に行くことが決まった。
「この世界ではどんな魚が捕れるんだろう」
「我の国は近くに海がなくてな、そもそも魚が少なかったぞ」
「私のところはピンク色の魚がよく捕れていたわね」
「……それ食べられるのですか?」
「絶対毒があるやつの色だしな」
やはり世界によって捕れる魚も種類が違うみたいで面白い。
しかしピンク色の魚とはこれまた凄い色だが、本当に毒や呪いは大丈夫なのだろうか?
「あっ、イリスが浄化したら毒も呪いも関係ないということか」
「うむ、役に立つではないか」
「いつもは役に立っていないみたいな言い方ね」
「「「…………」」」
答えは沈黙である。
そうこうしているうちに俺たち4人は海に到着していた。
さっそく魚を捕る気満々のオズを引き止め、俺は3人を横一列に並ばせる。
「む、勇斗よ。魚を捕りに行かないのか?」
海に入る前といえばやることは1つだけ。
そう、準備体操である。
「海は危険だからな、準備体操をする。みんなは俺の後に真似して動いてくれ。それじゃあ始めるぞ、いーちにーさーんしー」
「いーちにーさーんしー」
「いい調子だ。ごーろーくしーちはーち」
「ごーろーくしーちはーち!」
「これ私もやる必要があったのかしら」
海に入る予定はないイリスもなぜか一緒に準備体操をやっていた。
「よし、これで準備体操は終わりだ」
「待ちわびた魚捕りの時間というわけだな!?」
「……ところでどうやって捕るのですか?」
ここまでは順調だったが故に、すっかり捕る手段について失念していた。
インベントリに容量があるからいいのだが、雷魔法を使うと海の魚がほとんど死んでしまうからそれは避けたい。
「やっぱり信じるものは己のみ!」
「うむ、潜って手で捕まえればどうということはない!泳ぐ事によって体力もつくぞ!」
相変わらず考えることは脳筋である。
「エル、あのバカ2人に着いていく必要はないわよ。ここで一緒に待っていればいいわ」
「……いえ、僕も泳いでみたいです」
「お、エルは泳ぐのが初めてか。よし、このライフジャケットとビート板を使うといい!」
あれはいつだっただろうか。
トレーニングのために海へ行って一応ライフジャケットやビート板を買ったのに、結局海で泳ぐ暇があったらダンジョンでモンスターと戦わせた方がいいと言われてそれ以来海へ連れて行ってもらえなくなったのは。
嫌な記憶ではあるがどこか懐かしくも感じ、俺もそれ以来の海ではあるが問題なく泳げるはずだ。
そしてエルの様子を見ながら魚を捕り、久しぶりの海を楽しもう。
結局俺は久しぶりに海を楽しみたかっただけなのかもしれない。




