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頑張りすぎた俺たちは、今度こそ異世界でのんびり暮らしたい!  作者: 花藤 歩


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新たな人生

「俺は何のために生きてきたんだろう」


 疲労や睡眠不足で満身創痍の中、ダンジョンの深層にやってきた俺、速水《はやみ》 勇斗《ゆうと》は気付けばモンスターから致命傷を食らっていた。

 油断していたのかどうかもわからないぐらい頭が働いていないが、いつかはこうなることが分かっていた。

 目の前が霞み、剣を握る右手はもう力が入らない。


 俺は今、薄れゆく意識の中で走馬灯を見ていた。


 何のために生きて、何処で間違えたのか。考えれば考えるほど自分の人生はつまらない人生だったと思う。


 間違えたのは、剣を学び上手いと褒められた時?

 それとも魔法を学び才能があると言われた時?

 魔王を倒すためと毎日ダンジョンで戦闘訓練をすることになった時?


 ……いや、全ては勇者として生まれた時か。


 ここ現代日本ではダンジョンやスキルが当たり前にある世界で、生まれたばかりの子供は義務としてステータスを確認される。

 最初からいいスキルや職業を持ってる子供を国で囲うためだ。


 そんな世界に俺は勇者として生まれてしまった。

 幸い両親と離れることは無かったが、国で管理された場所で行動を全て管理され、制限される生活を送る羽目になった。


 大人たちから魔王に対抗するためと洗脳のように言われ続けたが、俺は大人になるにつれて疑問に思うようになっていく。

 いつ魔王が現れるのか、誰が魔王など居ると言ったのか、俺はいつまで居もしない魔王のために訓練すればいいのか。


 そう思ったところで俺に何か行動を起こすことは許されてなく、意味はなかったのだが。

しかしそんな生活ももう終わりだ。これでゆっくり休める。


 こうして俺の20年という人生はあっけなく終わってしまった。




 ◆◆◆




 あれ……?俺は死んだと思ったのだが、ここは死後の世界だろうか?

 真っ白な空間で目覚めた俺は自分の身体に致命傷の傷がないことを確認した。


「勇斗さんお疲れ様でした」


 ふと、どこからかそんな声が聞こえる。


 振り返ると神々しい綺麗な女性が立っていて、俺はこの方が女神様なのだと直感で納得してしていた。


「ありがとうございます。何も成し遂げられませんでしたが……」


「貴方はとてもよく頑張っていましたよ。いえ、頑張りすぎたぐらいです」


「俺はこの後どうなるのでしょうか?悪いことはしていないと思うので、出来ることなら天国だと嬉しいのですが……」


 死んだ後ぐらいはせめて、穏やかに過ごさせてほしい。


「勇斗さん、1つ提案なのですが新しい世界で人生をやり直しませんか」


 新しい世界?そんなものがあるならとても魅力的な提案だが、俺はまた誰かに都合よく使われるぐらいならこのまま終わらせたい。


「勇斗さんの心配はわかります。ですがその世界にはまだ住民は1人もいないのです」


 しれっと俺の心の声を読まれているが、人が1人もいない世界……


「どうしてその世界に俺を?」


「そうですね……この宇宙にはたくさんの世界とたくさんの神がいて、時々神同士で集まることがあるのですが、どの世界にも悲しい出来事が多くあったのです」


「悲しい出来事?」


「ええ。心の優しい者ほど自分を犠牲にして命を落としてしまうことです」


「………」


「そんな者たちのために神々は決めたのです。せめて死後ぐらいは新しい世界で人生をやり直してもいいのではないか、今度こそは幸せになってもいいのではないかと。そんな世界の1人目の住民になりませんか」


 俺と同じような人が他の世界にもたくさんいる。それだけで俺の気持ちは揺らいでいる。


「俺はその世界でもまた誰かのために戦うのですか?」


「いいえ。誰かを救う義務もありませんし、魔王を倒す必要もありません」


 それなら今度は好きなように生きて、同じように来た住民たちと頑張りすぎない毎日を過ごせるのか。


「どうやら決まったようですね。貴方のステータスや持ち物はそのままで、私から一つだけ念話スキルをプレゼントさせて頂きます」


「念話?」


「今後、新しい住民がそちらの世界に降り立つ時に私から念話で連絡を差し上げます」


「わかりました。何から何までありがとうございます」


「それでは勇斗さん。新しい世界で今度こそ幸せに生きるのですよ」


 そうして眩しい光が俺を包み込み、次に俺が目を覚ました時には新しい世界に降り立っていた。


 そこにはこの世界のシンボルであるかのような1本の巨木が広大な平原の中央にそびえ立ち、優しい風が吹いている。


 まるで世界そのものが俺を歓迎しているみたいだった。






────────────────────


新作始めました!


よければブクマ、レビュー、コメントを頂けると励みになります。


よろしくお願いします☺︎

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