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ラングレスト噴火

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ラングレストは地響きを立て、火口上部までマグマが上がってくるのが見える。黒煙が凄まじい勢いでモウモウと上がり、黒煙の内部には稲光だろうかチラチラと発光している様子がうかがえる。


「ヤバイ、ヤバイよ。ドーントレスはどうなってる」


ややパニックに陥りオタオタする俺に、エリシエルが冷めた声で言った。


「落ち着いてください。私達がここで騒いでいても何の解決にもなりません。とにかくラングレスト周辺の住人に避難を促さないといけません」

「そ、そうだな。エリシエル、噴火のシュミレートを行い最適な避難を行える様調べてくれ。そのデータはひとまず冒険者組合に送ればいいだろう。俺達は近くの村に行って、避難を手伝おう」


エリシエルに言われ、取り敢えず落ち着きを取り戻した。


「現状、噴火の初期状態です。噴火の規模が大きくなれば周辺の村や町などは、どうやっても避難が間に合わなくなります」

「ドーントレスがどれだけ早く噴火を鎮めることが出来るかだ。俺達は出来ることをやるしかない。後は神にでも祈っていろ」

「了解。でも、どの神に祈れば良いのですかね」

「さあな。ゼクトールが神の使いとか言っていたから、この世界には神がいるんだろう。その神にでも祈っておけ」

「なんか当てにならなさそうですが…」

「そだなw」


などと罰当たりな事を言いながら俺達は近くの町まで向かった。


いくつか村や町を回ると結構大騒ぎになっている。人々に避難経路や避難場所などを指示して、とにかくパニックにならない様に落ち着く様伝えて回る。

避難経路にある障害物の撤去、安全な避難場所の確保。やることは多かった。

冒険者組合からの人員もやってきたため、彼らに作業を任せることにして俺達はドーントレスに連絡を取ることにした。あれから数時間経っているが、ドーントレスからは全く連絡がない。地中深くまで潜っているので電波は届かないのだろう。せめて何処から潜ったか判れば穴に中継機を送れるのだが。

ヤキモキとしているうちにやがて夜になる。火山活動は徐々に活発化している様だ。ラングレストに最も近い村は既に土砂流と溶岩に覆われている。噴煙と火山灰で月も星も見えず、溶岩の赤い光と火口から飛び出す火山岩が赤く尾を引いて跳び出しているのが見えるだけだ。

避難している人々はさぞかし不安だろうと思う。

その不安な夜もやがて明け、朝日が差し昇る。噴煙と火山灰で澱んだ空でも夜明けは夜明けだ。


「景一、雪風から連絡が来ました」エリシエルから報告が上がる。

「良かった、雪風は無事だったのか。でもどうやってドーントレスから脱出したんだ?」

「だから、なんとかなるって言ったろう。景一さん」


見たことのないグライドが朝日を背にしてこちらに飛んでくるのが見える。


「雪風なのか?」

「ドーントレスに保管されていた、神威(カムイ)で脱出してきました。私自身の本体も神威(カムイ)に設置されたままなので置いて行くわけにはいかないですから」


俺達の前に神威(カムイ)はフワリと着地し、そのまま膝をつく様にして倒れた。


「お、おい大丈夫なのか」

「元々ボロボロの機体ですからね。ここまで飛んでくるだけでやっとでしたよ」


雪風は苦笑すると機体をドックまで運んでくれる様に言った。


「わかった。それで噴火の方はなんとかなったのか?」

「ドーントレスを火山脈に打ち込んできたのでラングレストの噴火は治ったはずです。ですが応急処置みたいなものですからねえ、しばらくの間は大丈夫だと思いますが結局ラングレスト周辺を固める工事は行わないといけないですね」

「そうか」


俺はラングレストの方を見た。心なしか噴煙が治まってきている様だ。


「ゼクトールにでも工事は押し付けますよ。若干にせよ噴火したので火口内の圧力が下がって、工事自体の規模もそれほど大きくしないで済みそうですから。でも、被災した人達の復興の手伝いもしないといけないし、そっちをゼクトールに任せたほうがいいかなあ」


「それじゃ一度、ドーントレスのドックに戻ろうか。あ〜、もうドーントレスがないのにドーントレスのドックって言い方は変だな。なんて呼ぼうか?」

「そうですねえ、ドーントレスの名は残してドーントレス基地(仮)では」雪風が言う。

「なんか長いなあ。秘密基地(仮)でいいや」

「なんか投げやりですねえ」とエリシエル。

「名前なんて後でゆっくり考えればいいさ」

「自分が、なんて呼ぼうか。とか言い出したのに」雪風が文句タラタラだ。

「あはは、済まない。ユリーシアも待ってるんだろう」

「ユリーシア、怒っていましたよ」

「あ〜、なんか帰りたくなくなった」


シュバルツがこちらに飛んで来た。ギオルギーネも復調した様だ。


「しめた、神威(カムイ)の搬送はシュバルツに任せよう。おーいギオルギーネ、神威(カムイ)を秘密基地(仮)まで運んでくれ」

「ん?なんだ秘密基地(仮)って?それに、この機体は?」ギオルギーネが訝しげに聞いてくる。

「シュバルツ、アーメスを押さえ込んで。景一さんが逃げない様に」

「なんだかよくわからんが景一を逃さなければ良いのだな。了解した」

「なんで、そこだけ直ぐ了解できるんだ。ギオルギーネ」

「どうせ、また何かやらかしたんだろう」

「普段の行いですねえ」エリシエルはいつも通り他人事の様に言った。



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