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妹と兄、ぷらすあるふぁ  作者: 姫崎しう
いちねんめ
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 ねぇねが居るときはそうでもないですが、どうしようもないくらいに暑い時を除いて家はクーラーを付けずに窓を開けて過ごします。


 これは意識して省エネをしているというわけではなく、あたしがまだ小学校に入る前によく冷房病になっていたからで、その習慣が未だに抜けていないといった感じです。


 それで快適かと聞かれたら困ってしまいますが、それで吹き込んでくる風はとても気持ちがいいです。


 今日も窓を開けてお兄ちゃんはリビングで勉強をしています。あたしはその様子を見ながら本を読みお兄ちゃんの勉強がひと段落したと思うタイミングで飲み物やお菓子を持って行って一緒に食べたり飲んだりしようと待ち構えています。


 ちょうどあたしが本を読み終わったところでお兄ちゃんも勉強がひと段落したらしく、両手をあげて背伸びをしていました。


 あたしは冷蔵庫の中に準備していた麦茶とすでにお盆の上に置いてあるお菓子を持ってお兄ちゃんの所に向かいます。


「はい、あーにぃ」


 そういってテーブルの上に持ってきたものを置くと、お兄ちゃんからお礼を言ってもらえました。


 コップに麦茶を入れて、一目見ただけではわかりにくいですが、もうすでに少しだけ曇っているコップを手に持った時、セミの鳴き声に紛れて風鈴がチリンとなりました。


 その音とほぼ同時に部屋の中に風が吹き込んできて、


「夏が一番風の気持ちよさを感じ取れるな」


 とお兄ちゃんが外を見ながらつぶやきました。あたしも視線を外に移して「そうだね」と小さく返しました。




 それとはまた別の日、ねぇねと一緒に外を歩いているとどこからともなく、気持ちの良い風が吹いてきました。


 それに伴って、暑さでぐったりしていたねぇねが少しだけ元気になって口を開きます。


「こう、風が吹いてくれるとまだいいんだけど……」


 あたしはねぇねが何を言いたいの解らず首をかしげます。


「それ以上に日差しが暑くて、風の恩恵が無に帰しているわね」


 それを聞いて、ふとお兄ちゃんとのやり取りを思い出したあたしはただただ困った笑いを浮かべることしかできませんでした。

夏になると早く冬になってほしくなり、冬になると早く夏になってほしくなります

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