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妹と兄、ぷらすあるふぁ  作者: 姫崎しう
いちねんめ
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通り道

 八月に入り夏休みも本番と言う気もしてきた昼下がり、あたしはリビングで宿題をしています。本当はあたしの部屋でやるところなのですが、わからない問題があったらお兄ちゃんかねぇねが教えてくれるということでリビングでやっています。


 とはいっても、難しい問題はありませんし、たまに横から覗いてくるねぇねに計算間違いや送り仮名の間違いを言われる程度で、見直しをする手間は省けますが教えてくれると言っているのに二人に少し申し訳ない気がします。


 ちょうど今終わったのが算数の問題。片方は信号のない道、もう片方は信号はあるけれど五分早く目的地にたどり着く道、信号で三分間に一度つかまり結局最大で五分時間を取られてしまう。その二通りの道のどちらを通った方がよいのかという問題です。


 考えるまでもなく――とはいっても最大で五分の所は計算しないといけませんでしたが――信号がある道の方を通った方がいいのですが、例えばこれが最大六分とか七分とかそれ以上ならばどうなるんでしょうか?


 ふと、そんなことを考えて、宿題には関係ないけれどお兄ちゃんたちに尋ねてみようと思い声をかけてみます。


「どうしたの妹ちゃん。わからない問題でもあった?」


 とすぐにねぇねが反応してくれましたが、あたしは一度首を振ってから口を開きます。


「この問題で、例えば信号につかまるのが最大で六分とか七分とかだとどうなると思いますか?」


 ねぇねは「ちょっと貸してね」と言ってあたしのノートを手に取ります。しばらく眺めてからそのノートをお兄ちゃんに手渡します。


「そうね。どんな風に信号待ちの時間が増えるかにもよるとは思うけれど、例えば信号の待ち時間が倍になったとしても信号のある道を通った方が早く着く上に、すべての信号に時間いっぱいまでつかまっても信号のない道よりも一分しか遅れないなんてこともあるんだけど……」


 ねぇねはそこまで言うとお兄ちゃんの方を向いて「貴方は信号のある道を通る? それとも信号のない道を通る?」とたずねます。


 お兄ちゃんはノートから目を離し顔をあげると「信号のある道だな」と答える。


「どうして?」


 とあたしが尋ねると、お兄ちゃんはためらうことなく口を開く。


「信号で足止め食うのはあまり苦じゃないしな。それだったら、早く着く可能性に掛けるのも面白いだろ?」


 あたしがうなずくより早くねぇねがうなずいて、そんなねぇねを見ていると自然と「ねぇねはどうなんですか?」とたずねていた。


「あたしは断然信号がない方。最初の問題の時点でもこっちを選ぶかな」


「どうしてですか?」


「不意に自分の行動を妨げられるのって好きじゃないからね」


 二人の話を聞いて、何となくどちらの意見もわからなくはないけれど、結局どちらがいいのかというのはまるでわかりませんでした。


 だから、あたしならどうするか少しだけ考えてみようと思います。

結局は好みなわけです。

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