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妹と兄、ぷらすあるふぁ  作者: 姫崎しう
いちねんめ
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時間

 日曜日の夜。この二日間、つまりお休みのことを思い出してあたしは溜め息をつきます。


「どうした、妹よ」


 あたしのため息を見てかお兄ちゃんが少し心配そうに声をかけてきます。


「このお休みの間になにもできなかったなって思って……」


 朝起きて、朝食を作って、何しようか考えているうちにお昼になって、お昼ご飯作って。


 それから、お洗濯して買い物に行って夕ご飯作って、土曜日が終わって。


 日曜日はお洗濯がお掃除に変わったくらい。


「お休みって長くて予定がないと退屈しちゃう……」


 あたしが呟くと、お兄ちゃんは


「休みを長く感じられるうちが華だぞ」


 とだけ言います。


「あーにぃどういうこと?」


「妹は今お小遣いいくら残ってる?」


 急にそんなことを聞かれ少し何だろうと思いますが、お財布の中身を思い出します。


「えっと、千円」


「じゃあ、百円をくれ」


 お兄ちゃんはお金に困っているのでしょうか?


 それなら、少しくらいあげてもいいかな。という気持ちになります。


 でも、百円です。駄菓子屋さんに行けば満足できるくらいのお金です。


 少し悩んだ末、財布を持ってきて恐る恐る百円玉をお兄ちゃんに差し出します。


「あー…妹よ。とりあえずその百円玉を仕舞ってくれまいか」


 お兄ちゃんが困った顔でそう言ってきたので、不思議に思いましたが百円玉を財布に戻しました。


 お兄ちゃんはそれをみて「あー…ゴホン」と咳払いをすると話し始めます。


「例えばだ。今千円くれと言ったらくれるか?」


「あーにぃがどうしてもって言うなら」


 お兄ちゃんは考える仕草を見せます。何か悪いことでもしてしまったのでしょうか?


「でも、あまり嬉しいものじゃないだろう?」


 確かにお小遣いが減るのは嫌だけれど、それでお兄ちゃんが喜んでくれたらあたしは満足なのです。


 でも、お兄ちゃんは多分「そうだね」といってほしいのだと思うのでそう言います。


「もし、妹が百万円持っているとして、千円くれと言ったら今と比べてどうだ?」


「うーん……今あげるよりは、あげやすいかな?」


 少し考えてそう答えます。


「でも、千円は千円だよね?」


 あたしがそういうとお兄ちゃんは難しい顔をします。それから


「それもそうだな」


 と腑に落ちない感じでいいます。


「ねえ、あーにぃ」


 ふと、あたしはお兄ちゃんに話しかけます。


「何の話をしていたんだっけ?」


 あたしの質問にお兄ちゃんは笑うだけで何も答えてくれませんでした。

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