苦言を…
「あたしは、いつもやる気のなさそうなあーにぃに苦言を呈します」
平日学校から帰ってきたあたしはリビングでテレビを見ていたお兄ちゃんに言い放ちます。
「やる気はあるんだがな、妹よ」
お兄ちゃんがやる気がなさそうに返してきたので、ビシッと指差してから
「そういうやる気のなさに苦言を呈します」
もう一度言います。
「それは性格だ、諦めてくれ」
「だって、あーにぃ頑張ってるのに損している気がするんだもん」
あたしが肩を落として少し不機嫌気味に言うとお兄ちゃんは考える仕草を見せてから口を開きます。
「もし、お兄ちゃんが頑張りを誇示するようなら多分それはもう今のお兄ちゃんじゃないわけだ」
言葉は難しいですが、お兄ちゃんが謙虚なことを言っている気がします。
でも、納得はいかなかったので「でも……」と視線を落としました。
「なあ、妹よ」
不意にお兄ちゃんに呼ばれ視線を上げます。
「どうしていきなりそんなこと言い出したんだ?」
あたしはギクリとして一瞬目を見開いてしまいましたが、お兄ちゃんにばれないように出来るだけいつものようにを心掛けて言います。
「だ……だって、あーにぃが……」
と言ったところでお兄ちゃんに口を挟まれます。
「『苦言を呈す』って使いたかっただけなんだな」
「あう……」
図星をつかれてなにも言えなくなってしまいます。
「妹もまだまだ子供だな」
お兄ちゃんにそう言われて、顔が真っ赤になっていくのがわかりました。




