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LOVERSコード  作者: 蒼貴みかげ


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code04:vision05 聴取室の扉

「たぶん、これが最後の聴取だよ」


 奈守への恐怖がおのずと滲む。

 気丈に目は向けるが、落ち込む肩。

 知った事か。


「協力してもらったモンタージュだけど――

あれ、嘘だよな」


「…………」


「班員たちが聞き込みに行った。

若者の集団が、仲間にまで聞いて確認してくれた。

お前が供述した、

この『画像の男2人』が駐車場に行ったという事実は、ない」


「…………」


「スマホに残ってたスクショ、見せてもらったよ。

『4月19日 PM23:45 月岡町第2パーキング』。

集合場所のことだろ? あんたは、それに遅れた。

だから直接エージェント裏へ行った。

街で声かけられたってのも、嘘だよな」


 大城は黙秘を決め込んでいる。

 いいかげん、腹に据えかねる。

 

「大城さん」


 机に身を乗り出し、奈守は賭けた。

 

「こういうスクショがあるって事は、

事前に参加が決まってたってことでしょう。

指示役がいるんじゃないですか?

うっかり遅れたから、目撃されてしまい、我々に捕まった。

つい嘘を言って『偶然』犯行に参加したように装った

――どこか、間違っていますか?」

 

 話さない。

 顔が青いのが、薄暗い照明でも見える。


「夜は長いですからね、

じっくり行きたいところではありますが。

こっちも早く帰りたいんでね。

教えてもらえますか。真相を」


「…………」


「そうですか。

つまり、こういうことでしょうかね。

――誰かに脅されていると」


 平静を装っていたいだろう。

 けど残念、口の端が動いたよ。


 ゆっくり立って、文字通り。

 すぐ横に立って、追い詰めた。


「犯行を口外しないこと、そもそも捕まらないこと。

捕まっても、吐かないこと。これらが守られない場合……

もしかして報復でも、あるんじゃないですか」

 

「…………」


「あなた、彼女いましたよね。

お宅の前でお会いしたんですからね、彼女の。

まさか? 自供したら彼女に危害が及ぶ、とか?

そんな話があるんですかね?」


 答えない。

 奈守にとって『沈黙は肯定』だ。


「確信を突いたみたいですね」


 うつむいたまま唇を噛んでいる。

 

「大城さん。明日には検察へ送られます、身柄が」


 頼む――と。

 奈守は言葉を待ったが。


「自供が”ある”のと”ない”ので待遇が変わるって……言いましたよね?」


 返答がないのが、リミットだった。

 致し方なかった。


「聞いてんのか!」


 胸ぐらをつかみ、一気に引き立たせた。

 取り乱し「おいっ」と叫び、怯えている。

 壁に押し付け、腕で首元を締め上げた。

 

 今夜は高桐は見ていない。


「ここでの話は今夜が最後なんだよ!

話してくれないと、また犠牲者が出る!

お前、責任取れんのか!?

彼女はこっちで守ってやるよ! 話せよ、ここで!」


 突き刺すように睨みつけた。

 大城の目が震えている。

 額に本当に汗がにじんでいる。

 だが結局、その口が開くことはなかった。


「わかったよ」


 奈守は胸倉を掴んでいた手を離し。

 力なく、一歩下がった。

 

「吐く気がないなら、終了でいいよ。

どうせ何年も出られない。――また、会いに行きますよ」


 大城はズルズルと滑り落ち。

 

 奈守は――。

 思いざま扉を開けて、部屋を出た。

『LOVERSコード』および関連作品に掲載されている文章・画像・動画・ロゴ・キャラクター・設定等の権利は、作者・蒼貴みかげに帰属します。

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