王の花嫁探し1
王都の宿はどこも満室だった。高位貴族が泊まる超高級ホテルから、場末の酒場の上にある毛布とベッドという名の木の台の寝床まで。更に貸家も満室で、家を貸し出す為に旅行に出た人物もいた。
街道沿いの宿や王都の近隣の村も同様である。
それもこれも若き国王ルーク・スタイン・ハーの花嫁探しの舞踏会が開かれるせいだった。
ルーク・スタイン・ハーは言った。
「この国の貴族の血を引く独身女性全員、舞踏会に参加すること。病気などで来られなかった場合は、後日出頭すること」
貴族の血を引く独身女性全員を強制参加とした前代未聞の舞踏会は何日にもわたって開かれるが、参加できるのは1日だけ。その一日で王の目に留まれば、貴族の血さえ引いていれば誰でも王妃になれるのである。その為に離婚する者、庶出の娘を慌てて認知する者などが出たとか出なかったとか・・・。
王家と親戚になり、権力を願う者もいるだろうが、それは毎年王都に家族で滞在出来るだけの余裕がある家くらいで、大半の家では旅費を気にしていた。
貴族といっても、本家におんぶに抱っこという形か、本家すら余裕がなく職に就かざるをえない、ピンキリの世界である。実家への援助と引き換えに商家などに嫁ぐ場合や、逆に商家から嫁を貰う場合もある。
貴族の血を引くと一概に言っても、このように外に出てしまった血まであるのだから、王の花嫁候補の対象者は膨大だった。




