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ぼくらの空には銀の星が降る。  作者: 越流 涙
花の字を持つ女の子
5/5

#5 2014年 4月20日『病室』

「面白い流れになってきたな!!」


思わず叫んでしまった。

俺の大声に、びくりと身体を強ばらせた少年は、困ったような顔をして笑った。


「あなたロリコンですか?」


「ちげぇよ!でも、ずいぶんと青春してんだなと思って」


「小学1年生ですよ、性欲なんて…」


「わかってるよ」


こいつもこんな子供みたいな顔で笑ったりするんだな。

さっきから物憂いげに窓の外を眺めていたが、今は無邪気な少年のように声を出して笑っている。

その目は、いつかの景色をもう一度見ているかのように優しかった。


「そう言えば聞いてなかった、あんた名前なんていうんだ?」


「今更ですか…」


ああ、悪いかよ。

俺は元々人の話なんか真剣に聞くような人間じゃない。

この話は別だが…。


幹橋(くるはし) 珠璃(しゅり)です」


「綺麗な名前だな」


「なんですか、急に」


「んだよ、悪いか」


「いえ、別に」


「じゃあ続けてくれ」


小さくため息をひとつ。

困った顔で何かを思い出すように珠璃は話し出した。

俺はまだ知らなかったんだ。

彼、幹橋珠璃。

そして花の名を持つ少女、神原麗花。

ふたりの壮絶な人生と、身を裂かれるような悲哀の物語に。


病室から見える銀色の星が、鈍く弱く光っていた。








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