31. 二度目の人生は充実してました
――アレクとの出会いからもう随分と月日が経った。
このアリスティア公国でジャンはシワシワのおじいちゃんになってとっくに三人も孫がいるし、私とアレクにもこの度可愛らしい孫娘が生まれた。
ただ、私とアレクの外見は昔とほとんど変わらなくて。
私の転生で半分になってしまったけど、本来のアレクの寿命が関係しているのかも知れない。
あの後この世界は私だけでなく色々な人の知恵によって様々な変化を遂げた。
今ではアレクの魔法はアレク自身が使いたいときに使っている。
もう無理難題を押し付けられたりしない。
マルシャル王国は、ティエリー司祭が枢機卿となり更により良い国づくりができるよう教会が力を持って王室を支えているという。
今でもティエリー枢機卿はマルシャル王国の民の暮らしや内情を知らせるために私とアレクに手紙をくれる。
あのオジサン陛下はとっくに亡くなって、それでも私とアレクがした約束は、あの王室内で恐ろしい呪いのようにきちんと受け継がれているらしい。
「ユリナ、こっちへ……。」
「うん。」
私とアレクは夫婦の寝台の上に手を繋いで横になった。
「もうすぐなの?」
「そうだな。」
「後悔してない?」
「するわけない。」
――『「ユリナ、ユリナは俺の運命の相手だ。だから俺は寿命を半分無くしたとしてもユリナを転生させたし、心臓を分け与えた。心臓を分け与えるということは、俺のいた世界では誓いのようなものだ。」
「誓い?」
「そう、片方が死ねば片方も死ぬ。同じだけ時を生きるようにという誓約だ。」』――
あの日に交わした会話はもう随分昔だけど、私もアレクもこの世界で(マルシャル王国でもそれなりに)とても幸せに過ごせたし、もうそろそろ旅立ちの時間が近づいていた。
「アレク、私を探してくれて見守ってくれて転生させてくれてありがとう。」
「俺にとっては異世界のユリナの存在が、この退屈だった世界の彩りだった。あの時、ユリナの身体が一度死んだことを今では喜んでいるんだ。許せ。」
隣で私の手を握り、本当に優しく微笑む彼はストーカー気質で嫉妬深い旦那様だけど、最高の伴侶だった。
「「愛してる。」」
とてもゆっくりと睡魔が襲ってきて、アレクとのこの幸せな時間の終わりを告げた。
――コンコンコン……
「母さん?父さん?夕食だけど……寝てるのか?」
「あなた、二人とも気持ちよく寝てるみたいよ。」
「手繋いで寝るなんて、相変わらず仲がいいよな。」
「今日はこのまま寝させてあげましょうよ。最近なんだか忙しそうにされてたからきっと疲れたのよ。」
「そうだな。おやすみ、母さん父さん。いい夢を。」
〜fin〜




