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1. 呆気ない終わり


「じゃあ由莉奈、また明日ねー。」

「うん、またね。」


 夏休みももうすぐそばに近づいてきて、あと少し学校に行ったら楽しい夏休みだー!って浮かれてた気分もあったのかも知れない。


 高校からの帰り道、友達と別れて自宅方面へと歩いている時、ふと遠く離れた位置にこちら側の車道に車が停車しているのが目に入った。


 段々とその場所に近づいてきた時、路肩に停車している車の前方を通って、小学生の小さな男の子が道路の反対側へ渡ろうとしていた。


 同じ車線を少し向こうから結構なスピードで車が近づいてきている。


 きっと停車中の車の影から子どもが飛び出そうとしているなどと思いも寄らないだろう。


「待って!危ない!」


 私は咄嗟に走り出したけれど、男の子は右手から迫り来る車に気付いておらず車道の真ん中辺りまで進んでいる。


 男の子のランドセルを力一杯に引っ張って、車道の真ん中辺りより随分手前に男の子が尻餅をついて転んだのを見たのが最後。


「あー、痛かったかな。ごめんね。」


 しかし私自身はその場から動けずに、スローモーションで時が過ぎる中を、驚いた顔の運転手と目が合って以降の記憶はなくなった。


 次に気づいた時には痛みも何も感じないまま真っ暗な空間に放り出されて。


「ここ、何?私の目開いてる?」


 目が開いているのかどうかすら分からないような漆黒の闇の中で不安感がどんどん増す。


「もしかしてさっき私、死んだ?」


 どこからも返事はなく、それどころか耳が痛いような感覚さえする静寂の中で小さく独りごちた。


 そのうち様々な色の光の帯が乱反射するような景色に変わって、猛烈な吐き気やぐるぐると目が回るような感覚とともに胸の真ん中が熱く痛んだ。


 もう訳も分からないまま、吐き気と不快感を堪えるしかなくて、そのまま意識を手放した。


 


 


 

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