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浮浪の不老者  作者: ポリ 外丸
第4章
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第98話 お礼

「…………?」


 ティノの発言を聞いて、セコンドは言葉を失った。


「この大陸では無いけれど、他の大陸ではそう言った国は存在しているぞ」


 全大陸を浮浪してきたティノは、そう言った国を幾つか見てきた。


「……その国はどう言ったシステムなんだ?」


 ティノの提案に興味を持ったセコンドは、その国の詳しい説明を求めてきた。


「その国は、国のトップと地域毎の代表を市民の投票で決めるんだ。そしてその国のルールとかを作る場合その代表達の多数決で決める事になっている」


 ティノはセコンドに、ザックリとした説明をした。


「……それだと、生まれた身分に関係なく国を良くできると言うことか?」


 セコンドはティノの話を聞いて、感銘を受けたような表情になり、昔のような体制の国家では考えられない事が、自分でも出来るのではないかと思い始めていた。


「その通り、その国のトップは農民の生まれだった時もあった」


 ティノが見たその国とは、モーホク大陸の北東にある小さな国の話である。

 全ての種族が差別なく投票し、代表を決める姿を見て、当時のティノも驚きを持った事を覚えている。

 その後、ティノは知る限りその国のシステムをセコンドに話した。


「……面白い。そのようなシステムならミョーワも再建国出来るだろう」


 それからセコンドは、ブツブツと再建国に向けてのどうするべきかを考え始め、ティノの存在を忘れているようだった。


「……なんか、兄がすいません」


 セコンドに放って置かれるティノに、謝りながらリリアーナは紅茶を出してきた。


「イヤ、まぁ、しょうがないだろ……」


 ティノは、出された紅茶を飲みつつ呟いた。


「……あの!」


「ん!?」


 紅茶を持ってきたリリアーナは、ティノの側に立ったままでいた。

 そして意を決したように、ティノに話しかけてきた。


「遅くなって申し訳ないのですが、先日はありがとうございました。お陰で助かりました。」


 リリアーナは先日の件に関して、ティノに頭を下げてきた。


「あぁ、別に気にしなくていい……、気分で助けただけだから……」


 リリアーナに対して、ティノは素っ気ない態度で返事を返した。


「……そうだ! ティノ! 俺からも礼を言う。妹を救ってくれてありがとう」


 ティノとリリアーナが話している内容が耳に入ったセコンドは、思考の渦から脱したのかリリアーナ同様頭を下げてきた。


「……イヤ、だから良いって……」


 それに対して、ティノは少し面倒くさそうに返した。


「どうやらこれ以上話すことも無いようだし、帰らせてもらうよ」


 セコンドもどうやら国の再建の道が見えたようなので、ティノは用事が済んだので帰ることにした。

 リリアーナが、少し名残惜しそうな顔をしていたように感じたが、ティノは気にせずトウダイに帰っていった。






────────────────────


“ボンッ!”“ボンッ!”“ボンッ!”


 マルチェッラはが沢山の魔法を放ち、マルコは躱しているが少しずつ闘技場の壁際に追い込まれていった。


「どうしたの? このままだと私に勝てないわよ!」


 魔法を放ちつつ、マルチェッラはマルコの事を煽ってきた。


「…………」


 しかしマルコは特に相手にせず、魔法を躱すことに集中した。


“トンッ!”


「!?」


 しかし、とうとうマルコは闘技場の壁に触れるほどに追い込まれていた。


「思っていたより早く勝負が着いたわね?」


 そう言ってマルチェッラは、今まで以上の数の火の玉を作り、マルコの逃げ場がないように放って来た。


「…………、仕方ないな……」


“フッ!”


“ボボボボボンッ!!!!!”


「!!?」


 マルコが小声で呟いたすぐ後、一瞬のうちにその場から離れて、戦闘開始線の位置に立っていた。

 マルコが消えた後で、その場に着弾した火の玉が虚しく音を立てていた。

 距離があった為、マルチェッラには見えていたが、急速に上がったマルコの速度に驚きを隠せなかった。


「……もしかして今まで身体強化してなかったの?」


「ええ、まぁ……」


 冷や汗をかきつつマルチェッラが問いかけると、マルコは事も無げに返事を返した。


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