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浮浪の不老者  作者: ポリ 外丸
第7章
209/260

第209話 自爆攻撃

大分時間が空いてしまいました。読んで下さっている方申し訳ありません。

出来る限り投稿するように頑張ります。これからも読んで頂けるとありがたいです。

「………………ティノの奴、やっぱりいたみたいだな?」


 ティノの大規模な魔法を見て、冷や汗をかきながらもヴィーゴはダルマツィオに話しかけていた。


「…………その様ですね」


 今までヴィーゴやチリアーコから聞いていただけだったのだが、今回の大爆発を目の当たりにしてようやくダルマツィオもティノの恐ろしさを理解した。

 ヴィーゴの問いかけに、驚きと共に短く言葉を返す事しか出来ないでいた。


「これからどうなさいますか?」


 ミョーワの軍にティノが参加している可能性がある事はヴィーゴによって推測されていたのだが、流石にあそこまでの化け物では奴隷兵だけでは荷が重いように感じられる。

 場合によっては今まで温存していた帝国軍の本体をぶつける必要があるかもしれない。

 ここで無理に帝国軍の人数を減らすくらいなら、撤退も視野に入れておくべきなのではないかと言う思いも込めてダルマツィオはヴィーゴに問いかけた。


「そうだな……、奴隷兵の戦力を編成する必要があるな」


「編成ですか?」


 集めた奴隷兵は、部下に指示を出して戦力が平均になるように20個程の部隊に編成したつもりである。

 その編成を変えるというヴィーゴの言葉に、ダルマツィオは首を傾げたのだった。


「なるべく戦力にならなそうな兵を幾つかに分けて突っ込ませろ。ティノが幾ら化け物でもあれほどの魔法を何発も打てるとは思えん」


 ヴィーゴは、思いついた作戦を地図を使って説明をし始めた。


「元冒険者などの戦闘経験のある人間の部隊を作り、ティノの魔力切れが来た後に特攻をさせて打撃を与えれば、ティノ頼みの弱り切ったミョーワ軍は砦を捨てて撤退するしかあるまい」


 ティノの立場を推測すると確かにその通りである。

 元々帝国がルディチに攻め込む隙を与えない為に、ティノはミョーワに助力しているに過ぎない。

 ティノも本当に自身の身が危険になった場合は、ミョーワがどうなろうと知ったこっちゃないから転移でもして逃走するつもりでいる。

 帝国は、場合によっては無理やり市民を奴隷にして、兵として利用すれば数は幾らでも補充できる。

 長期戦になろうとも勝利を得られれば構わないスタンスである。


「なるほど……、元々ミョーワを救うために命を懸けるメリットの無いティノは、魔力が切れたらミョーワ軍と共に逃走するのを狙うわけですね?」


「あぁ……、出来れば今回の内にティノを消しておきたい所だが、そこまで望むのは高望みのし過ぎだろう」


 生まれて初めてこの世で勝てない人間が存在する事を悟ったヴィーゴだったが、ティノを倒さなければ父から受け継いだ大陸制圧の悲願は叶わない。

 その為、ヴィーゴがティノを倒すためにはどうしたら良いか思案した結果、導き出したのは今回の作戦であった。


「ヴィーゴ様にしては消極的ではあるとは思いますが、あんな強力な魔法をぶっ放つ化け物を相手にするのなら最適だと思います」


「だろ? 所詮ティノが強かろうとも、強力な魔獣を相手にするのと同じだ。数で力を削って行けば仕留める事だって不可能ではない」


 本人がいない所でティノを魔獣扱いしながら、ヴィーゴとダルマツィオは奴隷兵の編成を始めたのだった。


◆◆◆◆◆


「チッ! やっぱり対策を取って来たか……」


 帝国が兵の編成を変えて来た事にティノはすぐに気付き、そのやり口に苛立ち、ティノは思わず舌打ちをした。

 数はそれほど変わっていないが、編成された兵の様子が変わっていた。

 同じ奴隷兵でも素人同然の部隊と、戦闘経験がある事が動きから見て分かる部隊が交互にミョーワ軍がいる砦に襲いかかって来た。


“ズドーーーーーン!!”


「転移する魔力を残しても、あと2、3発撃ったら終わりだな……」


 元々無理をするつもりのないティノは、数発目の大規模魔法を放ち、自身の魔力の残りを計算していた。

 動きが素人だからと言ってミョーワの兵に戦わせれば、帝国の奴隷兵はミョーワの兵に接近した瞬間自爆してくる。

 ティノ自身が剣で数を減らしに行きたいが、奴隷兵の後方からティノがそうした瞬間奴隷兵もろとも吹き飛ばそうと帝国の魔法部隊が待機しているのが見える。

 恐らく魔法によってだとは分かるが、人を人とも思わない帝国側のやり口には苛立ちが増える一方である。

 魔法部隊を潰せばいいかと言えば、これまた魔法が使える奴隷兵を利用して多重防壁魔法を発動させているので、流石のティノでも面倒だし危険だ。

 結局安全に敵の数を減らすには、今まで道理魔法を放っているしか方法がない。


“ボンッ!”


 ティノの大規模魔法でも全ての敵兵を殲滅する事は出来ない。

 魔法を免れた敵兵は、ミョーワ兵に近寄り自爆する。

 今も敵の奴隷兵の特攻によってミョーワ兵が爆死した。

 ティノから少し離れた場所とは言え、少なくないミョーワ兵の遺体が転がっている。

 他にも爆発によって手足を失った兵も出ている。

 しかも相手は無理やり奴隷にさせられた人間で、命令に抗う事が出来ず自ら死にに向かって来る。

 ミョーワの兵の中には敵兵とは言え、涙を流しながら自爆しに向かって来る事に躊躇った所を戦闘経験のあるような敵の奴隷兵に殺害される者もいる。


「これだから奴隷兵の自爆攻撃は面倒なんだよ」


 大量の奴隷兵を吹き飛ばしても後から後から攻めてくる。

 ティノでも体力よりも精神に来る戦いに愚痴が出る。

 それでも自分のやるべき事をするべく、ティノは殲滅魔法を放つのだった。


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