表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
砕球!!  作者: 河越横町
PR
52/54

ライフタイム


 耀が倒れてから三日。

 九十九学園の近くにある大病院の一室にて。


「……原因は超活性オーバーブレイク、ですか?」


 一人呼び出された剛羽は腑に落ちない様子でそう返した。


「そう、砕球やってる子なら聞いたことくらいはあるかな?」


 白髪の好好爺然とした医者は、落ち着いた声音で告げる。

 超活性。《心力》に秀でた者が力を解放したときの身体的変化を指す言葉だ。

 耀の髪が金茶色から紅色に変化したり、剛羽の目の瞳孔が十時に開いたりするのがそれである――が。


「その自分で言うのもアレですけど、超活性って要は才能の一つみたいなものですよね?」


「そうだね。君の言うとおり、超活性は「ゾーンに入る」とも言い換えられるよ。一時的に体内の《心力》を普段以上に引き出せるってことだね」


「だったら、今回神動が倒れたこととどんな関係が……?」


「普通は関係ないね。初めて超活性を体験した選手が興奮状態になるっていうのは、僕も聞いたことがあるけど」


 思い当たる節があるのか、剛羽は視線を泳がせる。


「でも、耀ちゃんの場合は少し話が違うみたいなんだ。簡単に言うなら自分の《心力ちから》に蝕まれている感じかな」


「それって、神動が未熟ってことですか?」


「君はそう思うかい?」


「……思いません」


 一ヶ月以上にも渡って行われた基礎練習の反復。

 訓練用人形との実践練習。

 大会での優勝。

 彼女はこの数カ月で十分過ぎるくらい積み上げてきた。文句なしの出来だ。


「そうだね。今回のケースは耀ちゃんの未熟さのせいじゃない。問題なのは彼女の中にある《心力》の方だ。彼女のそれ、強過ぎるんだよ」


「普通じゃ考えられないくらいってことですか?」


「天才を基準にしても考えられないくらいだ。力が強過ぎて器が壊れるなんてあり得ない。それくらい耀ちゃんの中で暴れている《心力》は――危険だ」


 危険。それは砕球というスポーツから遠く、関係のない言葉のはずだ。


「それで、神動の容体は?」


「こういうことは普通、本人とか家族にしか言わないんだけどね。君には……うん」


 そこで老人は一瞬間を置いてから辛そうに、しかし淡々と続ける。


「残念ながら回復の見込みはない。もってあと一ヶ月だ」


 ガタンと椅子を倒すほどの勢いで立ち上がる剛羽。

 目を見開き、爪が食い込んでぶるぶると震えるほど拳を握り締める。


「《心力》を消したり食ったりする人たちに治療してもらったんだ……多少荒いやつね。途中で僕、ゲロっちゃったよ」


 老人はコップを口元に運び、それからふうと深呼吸してから続ける。


「耀ちゃん、意識はもう戻ってるんだ。話相手になってあげなさい」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ