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砕球!!  作者: 河越横町
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試合解説


『試合終了ぉおおおおお! 勝者、チーム閑花! ギリッギリで逃げ切った! 

 最後の最後まで三チームに勝つ可能性があった好ゲームでした! 選手の皆さん、お疲れ様! 観客の皆様、お手元の携帯端末各種からこの試合で最も活躍したと思う選手にご投票ください! 九十九学園砕球部のホームページからです! 

 ではでは、集計と並行しながら早速この試合の解説をして頂きましょう。九十九先輩、お願いします』


『この試合を観た人の中には「砕球なのに球がそんなに割られてないじゃん」って思った人がいると思うけど、これは普通にあることだね。

 なんて言ったって、球は一個二点だから。各チームは球を割られないようにと気を使っていたはずだよ。まあ流石に全部どっかに置いてきちゃったってのは驚きだけどね』


『あれ、もし置いてきた球を壊されてしまったら……』


『まあ、普通にフクロだよね――いやいやいやいやいや、冗談だよ冗談。いや、ほんとだって。信じて清森さん』


『へえ、そうですか』


『はい、次の解説行こうか。

 いやーそれにしても、今回は各チームの動手がまるで機能してなかったね。いいからさっさと働けよって感じだよ』


『序盤・中盤でほとんどの動手登録の選手が戦死しましたね。最後の一人はランチャーさんですか、そうですか』


『蓮選手に吸い寄せられ過ぎたよね。まあ、彼を倒せる――いや、少しでも傷を付けられる受験生がいたら文句なしで合格だけどさ。皆もういい年してるんだから、自分と相手の実力くらい測れないと』


『うわ、ばっさり……ん? 時間押してる? はい、分かりました……では、九十九先輩、最後に最後の場面を振り返ってみてください』


『蓮選手、山伏選手、木礎選手の三つ巴が始まった時点での各チームスコアは、チーム閑花が十一点、チーム山伏が十点、チーム木礎が六点だね。

 蓮選手としては木礎選手が山伏選手にやられるのが一番困る展開。片や、木礎選手にとっては蓮選手が落ちると山伏選手の人海戦術に呑まれてしまう状況だね。そして最後に山伏選手は、木礎選手とその球を狙うって感じか』


『最終決戦で鍵を握ったのは木礎選手ということですか?』


『う~ん、半分正解。球操手が一人になる状況を俗に「はだか」っていうんだけど、はだか状態の木礎選手は球を三個も持ってたから、他のチームもその重要性には気付いていたと思うよ』


『確かに、山伏選手が戦死する前に木礎選手の球を一個でも破壊していれば逆転してましたからね。それでは残りの半分は……?』


『四分の一はチーム山伏の球操手、鞍馬与一選手だね』


『あ、弓使ってた女の子ですね! 小動物っぽい感じの!』


『そ、そう、その子……で、最後の戦いで一番厳しい状況に置かれていたのは木礎選手だ。蓮選手と山伏選手に狙われていたからというのも勿論だけど、何より仮に二人を倒してもチーム閑花を総得点で捲れない。そして、そんな木礎選手に勝ち目をつくったのが蓮選手の個心技による突破だね』


『ああ、あの強引に山伏選手に突っ込んでいったやつですね。結局、鞍馬選手に大ダメージを与えられてしまった』


『それそれ。敢えて隙を見せて、所在の分からなかった鞍馬選手を誘き出したんだと思う。で、チーム山伏の球操手の位置が割れたことで、木礎選手は迷いなく鞍馬選手を落としに行ったと』


『木礎選手の一歩目はすごい速かったですね。ですが……』


『うん、鞍馬選手は自軍の球を戦場から離れたところに置いてきてたね。結果から言うと、チーム山伏は球操手を囮に、木礎選手を釣り上げたことになる――そして、それすらも蓮選手は読んでいました』


『と、言いますと?』


『蓮選手は、チーム山伏の球操手が近くにいたとしても球は持ってないと思ったんだろうね。

 わざわざ身体を張って鞍馬選手の位置を割り出したのは、逆転するためにはチーム山伏の球を壊す必要がある木礎選手に、垂涎のえさがあると期待させるためだよ』


『あの状況と残り時間を考えたら、誰でも飛び付きますよね』


『まあ、ボクは気付いてましたけどね』


『ドヤ顔、頂きました~』


『結果、それにまんまと嵌められた木礎選手と、蓮選手の策に気付いていない山伏選手、鞍馬選手が一時的に一か所に集まった』


『なるほど! そこで、逃げたと思われた閑花選手の攻撃ですね』


『そうそう、それが残り四分の一ですね。あれだけ選手が固まっていたら、さぞ狙いやすかっただろうね。

 でも、蓮選手に誤算があったとすれば山伏選手の分身たちが予想以上に固かったこと。あの分身はただの水増し人員じゃなくて、一体一体が本人と同等の力を持ってるから。それでも、冷静に山伏選手を仕留めたのは流石の一言だね』


『誤算というか失態というか、閑花選手が亀球を戦場まで運んだのは危険ではなかったでしょうか?』


『ああ確かに、危うく木礎選手に壊されそうだったからね。

 でも、閑花選手の一斉掃射には球を構成している《心力》すら使う必要があったんだ。じゃないと、あれだけの威力は出なかったよ。その反面、チーム閑花の亀球は突けば割れるくらい軟らかくなってたけどね』


『九十九先輩、解説ありがとうございます! おっ、どうやら、投票の集計結果が出たようです! 

 会場の皆様、場内の大スクリーンにご注目ください! この試合で最も活躍した選手――マン・オブ・ザマッチに選ばれたのは、じゃかじゃかじゃかじゃかじゃかじゃかじゃかじゃかじゃん! 

 チーム閑花、蓮剛羽選手です! 他を寄せ付けない堂々の一位! 予想通り、文句無しの選出です! それではこれから蓮選手へのインタビューを――』


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