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ネコミミ王子と嘘つきメイド  作者: 花言葉
ララの秘密
19/23

5

 ララは、その時、洗濯をしていた。

(水、冷たい)

 もうすぐ雪が降りそうだと思う気温になっていたのだが、お湯で洗濯物を洗う事は出来ないので、手は冷えていく。

(また、王子に余計な心配かけちゃうな、今日は、メイド用の暖炉に当たれるといいんだけど……)

 洗濯物を洗いながらそう思う。

「ねえ、ルナ、あなた彼氏が出来たんだって」

隣に座っているメイドが、メイドの仲間に声をかけられて、頬を染めている。

(そういえば、王子の彼女のようなものなのか? 私!)

 キャイルの顔を思い出して、ドキドキしていた。

(だめよ、想像するだけでこれでは、本人の前でどうしらいいか)

 そこに、いつどやの書類をばら撒いた、茶髪でポニーテールのメイドが来た。

「ジュリ、あなた、王子がナフィク国の姫に求婚されているのを知っている?」

「ええ、でも、王子は断るでしょうね、ナフィクは小さな国ですもの」

(王子が求婚された)

「ジュリは、本当に王子の事が好きだよね」

「だって、かっこいいじゃない」

(確か、茶髪のポニーテールの女は、ジュリって呼ばれていたわ、メイド長にいじめの件で報告しておいた方がよさそうね)

 そう思って、こっそり抜け出した。

 メイド長室に向かうと。

「どうしました? ララ・メロー」

「いじめの犯人がわかりました」

「あら、誰だった?」

「ジュリと言うメイドです」

「ジュリ! ジュリ・カサンドラとナンシー・クリンでしょうね、よく、一緒にいますから、良く調べましたね」

「たまたま、声が聞こえて」

「しっかり、叱っておきます。今日から王子の部屋に行かなくていいですよ」

「そ、そうですよね」

 メイド長にそう言われたので、王子の部屋に荷物を取りに行った。

「母上、そうは、いいましても」

 キャイルの声がする。

「あっ、王妃様!」

 急いで、頭を下げる。

「あら、あなたは、いつだか、メイド達に責められていたメイドさんね、あの後、大丈夫だった」

「はい、私は、ララ・メローと言います。よろしくお願いします」

 深々と頭を下げた。

「あなたが、ララ・メロー? キャイルの好きな子?」

「なっ!」

 ララは恥ずかしくて固まっていた。

「母上、ララが困っているでしょう」

「あら、キャイル、王子のくせに王妃に内緒で、彼女を作ったのだから、それは、反省した方が良いわ」

「あの~、私、メイド寮に戻ることにしたので、荷物を取りに来たんです」

「あら? 別居宣言? さっき、キャイルに、同じ部屋で寝泊まりしているって聞いて、ラブラブなのだと思っていたわ」

「違います。表向きは、いじめから私を守るために、同じ部屋で寝泊まりしていたんです。恋愛関係ではないはずです」

「そうなの、じゃあ、いじめた犯人が分かったのね」

「はい」

「本当か?」

 キャイルが反応した。

「ええ、本当よ」

「ララ、もう、俺の部屋にいなくなるのか、さみしいよ」

「あんまり、恥ずかしくなるようなこと言わないで下さい。王妃様がにやけてらっしゃるじゃないですか」

「いいのよ、続けて」

「続けられません」

「本当に面白い子、キャイルが好きになるのも分かるわね~」

 王妃が喜んでそう言う。

「王妃様、違うんです」

「ララは、かわいいだろ、母上もそう思わないか?」

「ええ、とてもかわいらしいわね」

「この親子もういや」

 恥ずかしさで、その場にいられなかった。

「とにかく、私は、メイド寮に戻ります」

 荷物を抱えて、走ってメイド寮に向かった。

「はーはー」

「どうしたんですか? ララさん」

 メイド長が、不思議そうにこちらを見ている。

「さては、王子に迫られたのね、「君のいない夜は眠れないよ、また、この部屋にいてくれないか」とか言われて」

「い、いいえ、快く追い出してくれました」

「そう」

 メイド長は、つまらなさそうにそう言った。

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