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オオカミ少女はつらいぜ  作者: 霜月ぷよ
7/10

第6話 ネコ耳店員とかマジつらいぜ!ってか助けて

そろそろ浪花の小豆未来が暴走し始めるもよう。東城輝もそれに釣られるもよう。ダブルでいじられる策弥。どうなる!?

日曜日の昼下がり。【ニャムネルト】の店内。

「い、いらっしゃませ。な、何様でっ…じゃない。何人様ですか?」

(うわぁ、また噛んじゃったよ。ってか何でこんな事やってんだ俺は!)

ネコ耳にオーダーメイドのメイド服を着たボーイッシュでカワイイ゛女子店員゛策弥が、初々しさを武器になんとか接客をしていた。その姿を、店内の片隅で見守る2人の姿があった。

「今のは噛んだなんてレベルではないですね。策弥、まだまだ緊張してるみたいですね。ま、そこもまた可愛さの一つですけど」

「はふ~ん。ウチがデザインしたメイド服をサックンが着てるゥ。メッチャカワイイ!もうウチ溶けてまうワ~」(ピクッ)

策弥の尖った耳が微かに反応した。すると策弥はスッと2人の方に視線を向けて、スタスタと2人のテーブルに近寄って来る。

チラッと小豆先輩を見る。特撮ヒーローか、超憧れのアイドルと握手しているかのような眼差しと目が合い、それから逃げるように、今度は輝の方を見る。初めてのお使いを見守る視聴者的眼差し。

(パコーン!)

「アイタッ!いきなり何てことするんだい策弥君!?」お盆が輝の頭に振り下ろされた。

「人の不幸を高みの見物で楽しんでたみたいだったから。つい」

「ついって…。小豆先輩の方が楽しんでる感じ100%じゃないか。何で僕なんですか!?」

少し目に涙を浮かべて訴える輝。

「男気のあるヤツは女性と人生の先輩には絶対暴力は振るわないんだ」

お盆を片手に、もう片方を腰に宛てて、輝をツンと見下ろして言った。すると、

「くぅー、うん!サックンええねぇそのポーズ。ツンデレのツンの部分やねそれ。ええよぉ。もっと東条を見下す感じの視線で」


「…っ!」

寒気を感じて策弥は店内を見た。如何にもオタクな男性客達が好奇の視線を策弥に向けていた。

(うぇ!?)

口から何かをリバースしたくなりつつ、再び2人の方に向き直ると、輝がメラメラと怒りの、というより威嚇に近いオーラを放っていた。

「ひ、輝?お前、今顔メッチャ怖いぞ」

「君に不埒な視線を向けて来る輩がいるんだ。あまり良い気分ではないね」

「いや、まぁそうだけど、お前の普段も大概不埒極まりないぞ」

(そういえばなんか俺余裕になって来た?…あぁ、男要素が消えてゆくような…)

内心でオロオロと泣く策弥であった。

「策弥、君はあまりにも魅力的過ぎる。こんな水商売のような仕事はさせられない。君の身に何かあってからでは遅い。今すぐここを出よう!」

そう言うと輝は、策弥が反応する間もなくスタッフルームに手を引っ張って行く。

「痛い痛い!手が痛いって、離せっての。何なんだよ急に!?」

策弥はこの時、自分が女の体で、男の力に抵抗出来なくなっていること少なからずショックを受けていた。同時に輝もこの時、自分のちょっとした力加減で策弥が痛がったことに切なさを感じていた。

「ちょっと2人共、急にどないしたん?」

小豆先輩が策弥達を追いかけてスタッフルームに入る。

「策弥、君にこういうのは似合わない」

少しの間逡巡して、

「君は僕の側にいるべき人だ。他の男の色目に晒されるなんて屈辱だ」


[えっ!ドキッ!輝君、こんな所で!?]


(何今の?)


「策弥、俺の女になれ!」


[きゅん…!!]


(ん?)


策弥はふと後ろを見てみた。すると小豆先輩が物陰からこちらを見てブツブツ何かを言っている。


「先輩、そこで何してんスか?変な吹き替えとか止めて下さいッス。俺、゛ドキッ゛なんて1ミリも感じてませんよ」

「え、ダメ?」

「これは小説です。背景に少女漫画みたいなキラキラ意味ないッスよ。俺もそんなときめいた顔してませんし。」

「えぇ~ロマンチックでえぇなぁ思たのにぃ。サックンのイケずぅ」

膨れる小豆先輩。

「策弥…俺の女になれ」

「…ジィ~…」

「おかしいなぁ、今のは女子なら絶対口説けるはずなんだが」

「少女漫画みたいに背景にキラキララメみたいなの散りばめても無駄。お前もキラキライケメンぶっても無駄!色々無駄!全部無駄!もう、俺をなんだと思ってんだよ!」 策弥が機嫌を悪くしたため、3人は帰ることになってしまった。


策弥と輝。帰り道。

「東城輝、今度こそお前にハッッッキリ言っておく。俺は誰がなんと言おうと中身は男だ。日本男児だ。男に恋愛感情を抱くなんてことは絶対にないからな。覚えとけ!」

「ほぅ、その強気な感じ、ふむ、まるで撫子のようだ。実に美しい」

「だぁかぁらぁ~!…ンもうお前なんか知らん!一人で帰れこのスケベ野郎!フンだ!」

怒った策弥は輝を置いて一人でズンズンと歩いて行ってしまった。

「あぁいうところがまた゛萌゛という所なのだろうな」

その頃…。

ラジオ館などで買い物を一通り終えた小豆未来は、1人再び、ニャムネルトに戻っていた。


「キャァァァ、誰これ!?超カワイイじゃん!」

「マジかこれ、めっちゃカワイイぜこの子!?」

「最近需要が増えている【ガチカワ男の娘】です。日向ぼっこと、お昼寝中隠し撮り写真。一枚単品ですと500円。でも五枚セットですとなんとたったの1500円です。買いませんか?」


まだしっかり男だった時の策弥の隠し撮り写真を売る小豆未来。このことは輝も、策弥本人も全く知らない事実だったりする。




(俺のオオカミ変身問題とかの話、どこ行ったんだろう…?元に戻れるのか俺?)

この不安をいつまで抱えて行けばいいのかと、不安と憂鬱感を漏らす策弥だった。



続く…

少女漫画に関するボキャブラが足りませんでした。ちょっとラブを匂わせようとしたんですが、全然でした。

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