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南極の地下

「ブルン、ブォーン」

 スノーモービルのような乗り物のモーターが動き出す。ハンドル部分が青く光り、スキー部分までも青く光輝き、白い冷気が漏れだし地面は凍っていく。


「メモリア早く乗って、行くよ」

「はーい」


 少女たちは、るいを真ん中に挟み青髪の少女がハンドルを紫髪の少女が後ろに青髪の少女にるいごと抱きつくよう乗った。


「リオ姉、気をつけてね。運転荒いんだから」

「大丈夫、大丈夫」

「ほんとに気をつけてよね。私その機械扱えないし、行きもそのせいであんなことするハメになったんだからね」

「はーい、安全運転で行きまーす」


「ブィィーン、キュイーン」


 

 ……

 


「もうすぐ、村だよ」

「はーい、結界解くから少しスピード落としてよね」


 そういうと紫髪の少女メモリアは右手を前に左手を右手首に添え、「ふう」と一息つき、頭の中で描く。

 メモリアは結界に触れる。

 見えない「糸」を、一本ずつほどくように。

 そして、村の警報糸に触れないよう慎重に頭の中でめぐる。


「いけた」


 そう、言葉を放った瞬間。

 イメージが、身体を駆け巡る。

 次の瞬間、右手に光が集まった。

 そして、その右手から紫に光り輝き、魔力が奔流となってあふれ出した。

 結界がバターのように滑らかに溶けていく。

 

「メモリア、さすが私の妹!振り落とされないでよ、いくよ!」

「ブオオオン!」


「もう、リオ姉のバカ。そんな音で突っ込んだらばれるじゃん。たとえ裏の洞窟でも」

「大丈夫だよー。だって地上には誰もいないじゃん。それに早く戻らないとだし、それよりどうやって戻るの?行きと同じ?あれ嫌なんだけどなー」

「帰りもそれで行きたいけど、その子がいるからなぁ」

「じゃあ、この機械で正面突破?」

「そんなんしたら、ばれるに決まってんじゃん。」

「ゴトゴト」

「これ、なにか入ってる」

「……なにそれ」


 その機械の中に入っていたものは、ブルーシートほどの大きな布のようなものだった。


「何かの魔道具かな」

「でも、見たことないよ」

「とりあえず」


 そう言い、青髪の少女リオはその布に魔力を込めてみた。

 だが、何も起こらない。

 

「えー」

「何も起こらないね。私もやってみていい?」

「いいよ。はい」


 そうして、その布をメモリアに渡そうとしたその時、二人の間で座り込んでいた銀髪のるいが手を前に出し、その布を掴んだ。

 すると、その布は銀色に光り輝き、洞窟内がその光を反射し、光に包まれた。

 その瞬間。

 布はまるで生き物のように彼の意志を吸い込み、三人の輪郭を景色の中へ溶かしていく。

 二人は驚き、目を合わせ、きょとんとした。

 その後、メモリアは彼を見る。

 彼は目をつぶったままで起きていない。無意識に魔法が発動したということなのだろうか。

 あり得るのだろうか、そんなことを考えているとリオが口を開いた。


「この布を被っていけば、中に入れそうじゃない?」

「そう、そうだね」


 こうして、リオが銀髪の少年を後ろでおんぶするように背負い、裏の洞窟を出て正面の洞窟のほうに回り込むように向かった。


「正面の入り口にも、結界魔法張ってあるよね?」

「うん、そうだね。それに多分この外を覆っている結界よりも解くのは大変かも」



 

「うわー、ひっろ。正面の洞窟ってこんなに広いんだね」

「えーと、確かこの辺に……」

 

 洞窟の中に入り、メモリアは入口を探すため、地面の雪を払いながら入口となる鍵を探した。


「おっ、あった」


 地面に掘られた、幾何学的な模様。

 そして、そこに魔力をこめる。


「ぐおおおん」


 すると洞窟の壁の一部分が動き出す。

 そして、扉が現れる。


「うげ、旧結界魔法で作られてる。解けるかわからないかも」

「大丈夫、解けるよ。メモリアが解けないなら村で解けるのは片手に収まるくらいの人しかいないと思うし」


 すると、メモリアは大きく息を吸い、扉にかけられている結界と対峙した。

 複雑に絡み合った光のパズルを、一つずつ慎重に組み替えていく。

 一箇所でも間違えれば警報が鳴り響く極限の作業に、メモリアの呼吸が浅くなる。



 どれくらい時間が経ったのか分からない。

 気づけば、メモリアの額には汗が滲んでいた。

 「キィィ、キーン」


「あ、あいたー」

「さすが、メモリア、私の妹よ!じゃあ早速行こう」

「待ってよ、リオ姉。この布被んないと正面から行く意味ないじゃん」

「あ、そうだった」


 こうして「るい」を含む三人は、布をかぶりながら村の入り口へと向かった。


 

 ……

 

 

 ――連れていかれる。

 どこかへ。

 意識の底で、僕は温かな何かを感じていた。

 

 

 ……

 

 

 ハナブ村の入り口を入ると、そこは木々が生い茂り、風が葉を揺らし、水の音が遠くで響いている。

 南極ではないような、ありえない光景だ。


「うあー、戻ってきたー」

「外に出てたの二日間だけですけどね。」

「それは、そうだけどー」

 

 そして、巡回隊に見つからないよう入り口から続く大きな林道を避け、少し細い横道の林道を通り、奥のほうへ向かった。

 


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