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私の推しは北方の白銀王子  作者: 美雪


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45/45

45.最愛の推し



 翌日。


 ルクレシアたちはディアマスに帰国する予定で私も一緒に帰るつもりだったけれど、このままノーザンにいることを伝えた。


「アヤナにプロポーズしました」

「もちろん、了承したわ!」

「おめでとうございます!」


 ルクレシアはすぐに私を抱きしめてくれた。


「良かったわ! 夢が叶って!」

「ルクレシアのおかげよ! たくさん助けてくれたわ!」

「私こそアルード様とのことでたくさん助けてもらったわ!」

「助け合いは大事よね!」

「そうね!」

「おめでとうございます」

「おめでとう」

「良かったな!」

「すごいよ!」


 続々と友人たちがお祝いの言葉を言ってくれた。


「無理をしなくていいが?」


 アルード様は冷静だった。


「槍を返せばいい」

「私に返したかったのでは?」

「あれほどルクレシアが魔法文字を刻むとは思わなかった。回収したい」


 絶対嫉妬している! わかりやすい!


「あれはアヤナからの贈り物です。ルクレシアからではありません」

「そうです! あれは私がオルフェ様に贈ったものです!」


 そこはちゃんとしておきたい。


「ルクレシアだってわかっているわよね?」

「何が?」

「氷竜の鱗で作られたもののことよ」

「ノーザンで一番人気のお土産ってこと?」


 大正解! でも、大ハズレ! それでいて期待通り!


 私だけでなくみんなも笑っていた。


「えっ、違うの?」

「合っているわ! 大正解よ!」

「でも、笑っているわ! 違うってことよね?」

「合っているわ。だから、アルード様も笑っているのよ」


 ルクレシアはすぐにアルード様を見る。


「アルード様、本当に合っていますか?」

「合っている。正解だ」

「そうですか。でも、なんだか怪しいわ……」

「とりあえず、今は恋人よ。あちこち話をして許可をもらわないとだから」


 ノーザン国王から正式な結婚の許可をもらわないといけないし、私の後見をしてくれているコランダム公爵家にも確認しないといけない。


「私は第二王子です。平民と結婚できなくはないのですが、アヤナはディアマスの者。コランダム公爵家の養女になったほうが良いかもしれません。内々に聞いてほしいのですが?」

「わかりました。私からお父様に聞いておきます」


 ルクレシアが確認してくれることになった。


「両親はアヤナの好きな人がオルフェ様であることを知っていますし、応援していたので大丈夫だと思います。アヤナは幼い頃から苦労していたので、それを理解した上で幸せになれる相手と結婚してほしいと願っていましたから」

「そうですか。ノーザンは厳しい状況にあります。幸せにしたいとは思っていますが、苦労をかけるとは思います」

「大丈夫です! 私がオルフェ様を幸せにします! 幸せなオルフェ様を見て私も幸せになります!」


 押し活とはそういうものなので!


「兄上にも伝えておく。クルセードにも伝えていいのか?」


 アルード様から聞かれた。


「お願いします。またハイランドに行くことはあると思うのですが、下宿はやめます。あれこれ要求されてしまうので」

「わかった」


 ルクレシアたちはディアマスに帰っていった。


 巨大な飛行馬車で。


 村で見た時は周囲に何もなかったし、野営所なので理解できると思った。


 でも、ノーザンの王都を巨大な飛行馬車が飛んでいくのを見ると、常識を超えた乗り物だとあらためて感じた。


「あれ、飛行馬車というより空飛ぶ家ですよね」

「私もそう思っていました」


 オルフェ様と同じ意見。


 それだけで嬉しい。


 幸せな気分になってしまった。





 レア中のレアキャラであるオルフェ様の攻略に私は成功した。


 ゲームと同じように進行したわけではないので不安だった。


 でも、主人公なので絶対に頑張れば大丈夫だと思っていた。


 だけど、他のキャラがここまで関わっていて、協力してくれるというのは意外だった。


 やっぱり持つべきものは友人!!! 


 ノーザン国王にも話をして、結婚を前提とした交際をする許可についてはもらった。


 でも、すぐに結婚する許可は出なかった。


 なぜなら、ノーザンと他国人の離婚率がとっても高いから。


 ノーザンは気候も生活も全てが厳しい。


 ノーザンの人にとってはそれが当たり前だけど、他国人にとっては違う。


 思っていたのと違う、一生ここに住むのはつらいと言って離婚したり、夫婦で他国に移住してしまうことが多いらしい。


 オルフェ様は第二王子なので、他国に移住することは絶対に許されない。


 ノーザンで王子としての務めを果たし続けなくてはいけない。


 なので、私がオルフェ様をノーザンから移住させないことを約束すること、ノーザンで一生生活するための覚悟があり、それを証明するだけの滞在日数がないとダメだと言われた。


 つまり、早く婚約したければ、できるだけノーザンにいろということだった。





「本当に行ってしまうのですか?」


 オルフェ様は困り顔。


「明日は猛吹雪の予報だというのに」


 恋人同士でゆっくり過ごせる日だというのはわかっている。


 でも、だからこそダメなのよ。


「今日中に出発しないと飛行馬車を使えません」

「ディアマスに行くのは明後日以降にすればいいのでは?」

「そう言ってなかなか出発できなくなって今日になったので」


 絶対に今日は負けない。


 オルフェ様がどれほど麗しく魅力的であっても。


「離したくありません」


 抱きしめられた。


 オルフェ様は優秀なので私の足止めがとてもうまい。


 ずっとこの方法に負けてしまっていた。


 このままでは一生ディアマスに戻れないと自分に言い聞かせる。


「お土産は何がいいですか?」

「いりません。アヤナが側にいてくれればいいのです」

「わかりました。オルフェ様が喜びそうなものを考えます」

「本当に行ってしまうつもりですか?」

「時間が遅くなってしまいます。そろそろ離してくれませんか?」

「もう少し」

「いってらっしゃいのキスをしてほしいです」


 オルフェ様が私の望みをかなえてくれる。


 最高に嬉しいお見送りの方法で。


 でも……長い。やけに。


「もうダメですって! 今日こそ行きます!」

「必ず戻って来るように」

「当たり前です! やっとオルフェ様の恋人になれたのに、戻らないわけがないです!」

「なかなか戻って来ないような気がしてしまうのです」


 それはたぶん当たっている。


 いろいろとやるべきことがあるので。


「大丈夫です。待っていてください。私の心はいつだってオルフェ様の側にいます。氷竜の魔法槍を見てそれを思い出してください」


 ノーザンでは恋人に言う定番の言葉。


 氷竜の鱗でできたものを贈って、自分の気持ちが常に側にあることを示す。


「アヤナは本当にノーザンを理解しています」


 ようやく離してくれた。


「では、行ってまいります!」

「気をつけて」


 私は馬車に乗り込む。


 そして、すぐにドアを閉めて魔法の鍵をかけた。


 オルフェ様が乗りこまないように。


 だけど。


 ガチャリと音がして強制解除されてしまった。


「やはり国境まで送ります」


 延長戦に突入。国境を越えるまで油断できない。


「会議があるはずです」


 会議の時間に出発しようと思っていたのに、会議をすっぽかしてオルフェ様が見送りに来た。


 そして、今は馬車の中にいる。


「明日からしばらくアヤナに会えません。少しでも一緒にいたいのです」


 そういってオルフェ様は引き出しから毛布を取り出した。


 それを広げると、私とオルフェ様の膝にかける。


 恋人は二人で一枚の毛布を使うのが定番。


 さらにもう一枚を背中のほうにかける。


 やっぱりこれも二人で一枚の毛布をかけるのが定番。


 寒い国だからこそ、恋人たちは愛を伝えあう方法を工夫する。


 毛布で体だけでなく心も温まるように。


「寒くありませんか?」

「大丈夫です。オルフェ様が一緒にいますから」

「私もアヤナがいてくれるので暖かいです」


 馬車の中で抱きしめ合えば、幸せな気分でいっぱいになれる。


 猛吹雪の日ではなくても、こんな風に過ごせるのが嬉しくもあった。


「ずっと側にいます」

「ディアマスまでついてきたらダメですよ。ノーザン国王に怒られてしまいます。オルフェ様に移住をそそのかしたと勘違いされたら困りますから!」

「わかっています。国境までです」

「待っていてください。必ず帰りますから。それまでに氷竜をたくさん倒しておいてください。二人で過ごす時間を作るためです!」

「わかりました。アヤナが帰るまでに氷竜をたくさん倒しておきます。そうすればアヤナが戻ったあとにゆっくりできますから」


 オルフェ様は強い。


 魔法を使うよりも魔法武器の槍で氷竜の心臓を一突きにしてしまう方が圧倒的に早くて効率がいい。


 でも、オルフェ様は魔物討伐が好きではない。


 王子の務めはわかっているけれど、いくら氷竜を倒してもキリがない。


 自分一人でノーザンの氷竜を全部倒せるとは思っていなかった。


 もちろん、そう思うのが普通だし、冷静な判断でもある。


 だけど、オルフェ様が氷竜を倒しまくれば、討伐数はみるみる増える。


 私も手伝う。


 光魔法でサポートをするのはもちろんのこと、恋人としてオルフェ様が本気を出すように励ます。


 そうすることで討伐数を増やしていけば、ノーザンの氷竜を減らせるわ!


「一日に百匹倒してくれてもいいですよ? 恋人として自慢できます!」

「それはヴァリウスかクルセードに任せます。浮遊魔法と移動魔法と飛行魔法が必要なので」

「私は私らしい方法でオルフェ様を支えます! 魔法に磨きをかけるだけでなく、ありとあらゆる方法で頑張りますから!」

「嬉しいです」


 お土産は浮遊魔法と移動魔法と飛行魔法の護符に決めた。


 他にもオルフェ様を喜ばせるお土産をたくさん持って帰りたい。


 だって、オルフェ様は私の恋人で最愛の推し。


 北方の平和を守るとっても強くて優しい白銀の王子様だから。



 終わり


 最後までお付き合いいただきありがとうございました!

 お楽しみいただけたのであれば幸いです!


 こちらのお話しか読まれていない方もいるかもしれませんので、お知らせ。

 ルクレシアが主人公のお話「もう恋なんてしない!と思った私は悪役令嬢」もあります。

 時系列的にはそちらの方が先になります。


 応援していただけると励みになりますので、これからもよろしくお願いいたします!


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