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変態日本海軍事情―北太平洋の通り魔編―


「やれやれじゃ。とんだ茶番じゃったわい」

「まったくですぜ。現場の判断にケチつけるんなら自分でやれってんです」


 海軍省(赤レンガ)の正門前。

 第三〇二海軍航空隊(厚木空)司令小園安名(こぞの やすな)海軍大佐と同第1飛行隊長の赤松貞明(あかまつ さだあき)海軍大尉は、憤懣(ふんまん)やるかたないといった表情であった。


 厚木空のトップと現場責任者が帝都に居るのは休暇などでは断じてない。

 二人は海軍の査問会に出頭させられていたのである。


『電探に反応有り! 北東方向、距離200、緊急発進せよ! 繰り返す。電探に反応有り! 北東方向、距離200、緊急発進せよ……』


 事の起こりはひと月前。

 厚木空が進駐していたヒッカム飛行場の電探が不審な機影を捉えたことであった。


『敵は単機の可能性があるじゃと?』

『はい、どう見ても編隊の反応ではありません。ただ、単機にしては反応が大きすぎます』


 通常であれば、問答無用で撃墜するべき場面であった。

 実際、二人は査問会で撃墜しなかったことを責められることになった。


『……それで? 状況はどうなっておるんじゃ?』

『はっ、赤松大尉の報告では民間人らしき人間が操縦しているとのことです』

『厄介なことになったのぅ……』


 しかし、民間人が操縦しているとなると話は違ってくる。

 それでも、戦時中であれば撃墜しても問題は無かっただろう。戦時中であれば、であるが。


『日本がカナダへ派兵した場合は宣戦布告とみなす!』


 日本がカナダに陸軍2個師団を派遣すると発表した際、連邦書記長レフ・トロツキーは敏感に反応した。これは事実上の宣戦布告であると考えられ、実際に後世の歴史家の多くが日米戦争の始まりと記している。


 しかし、当時の日本の公式見解は米連とは異なるものであった。

 トロツキーの声明を公式なものとは扱わず、表立ったアクションを起こさなかった。それは何故か?


 日本は過去の戦争(日清・日露戦争)で天皇の名による詔勅(しょうちょく)という形で宣戦を布告していた。これは戦争当事国となった清もロシアも同様で、相互に宣戦布告を発していた。


 これに対して、トロツキーは声明こそ出したものの宣戦布告文を出さなかった。

 米連と戦争をしたくなかった日本はこの点に着目した。


 過去の戦争の経験から、日本の対外戦争は相互に宣戦布告文を出してから始めることが常識とされていた。紛争当事国からの宣戦布告文が届かない以上は戦時では無い――これが当時の日本の公式見解であった。


 米連の太平洋艦隊の大半を沈めたうえに、ハワイの戦力を基地ごと壊滅させておいて何をいまさらではある。しかし、誰が何と言おうとも日本は公式の立場では米連とは開戦していないと言い張っていたのである。


『未確認機体と通信は出来るか?』

『司令が何をお考えなのかは分かりませんが……やってみましょう』


 航空隊司令の小園は難しい選択を迫られた。

 悩んだ末に取った手段は未確認機体とのコンタクトであった。


『そこの未確認機、聞こえているなら応答せよ』

『た、助けてくれ! 今何処にいるのかまったく分からないんだっ!?』


 未確認機体から飛び込んでくる悲鳴。

 ヒッカム飛行場の指揮所内に響き渡るノイズ混じりの大声に、小園だけでなく幕僚たちも顔をしかめたのは言うまでも無いことであった。


 この時点で撃墜するオプションは封じられていた。

 で、あるならば別の手段を取るしかない。


 幸いなことに、あちら側から助けを求めてきている。

 救助という名目で未確認機体をヒッカム飛行場に強制着陸させても問題は無い。


 小園は適当な理由を付けて搭乗員を軟禁――もとい、歓待している間に機体を調査するつもりであった。撃墜するよりも有用なデータが取れるし、万が一にも搭乗員が亡命を希望してくれれば丸儲け。どちらにしても損は無い。


『着陸は無理じゃと? どういうことじゃ!?』

『あんなデカブツうちの飛行場に降ろせませんよ!? とてもじゃないですけど、滑走路が足りません!』

『端っこは原っぱなんだから降ろすだけなら出来るじゃろうが!?』

『そんなことしたら確実に不時着です。下手をしたらどころではなく確実に脚が壊れますよ!?』


 しかし、ヒッカム飛行場は戦闘機用の飛行場で滑走路は300m程しか無い。

 4発の大型機(未確認機体)を着陸させることは到底不可能であった。


 このまま着陸を強行すれば機体が大破しかねない。

 その場合、乗員が命の危険に晒されるのは言われるまでも無いだろう。


 未確認機体の対応に苦慮している最中にも事態は悪化していた。

 小園が犯した最初にして最大の失敗は、強制着陸させるためにハワイ本土へ誘導してしまったことであろう。


『アメリカが攻めてきたぞー!?』

『急いで隠れるんだ!』

『こんなところに居られるか!? 俺は逃げるぞ!』


 ハワイ王国上空を飛行する米連のものと思わしき巨人機。

 そんなものを見せつけられた住民たちが心穏やかでいられるはずもなかった。


防空監視哨(ぼうくうかんししょう)より暴動が発生しているとの報告が!?』

(わし)の名前で陸戦隊の出動を要請しろ! ぐずぐずすんな!』


 海軍陸戦隊が迅速に出動したことで暴動の拡大は未然に防がれた。

 自国民が鎮圧されたことでハワイ王国政府からは後ほど苦情を受けることにはなったが……。


『……と、いうわけで着陸は無理じゃ。じゃが、米連本土へ針路を誘導することは出来るだろう』

『じゃ、じゃあそれで……!』


 着陸出来ない未確認機体は邪魔な存在でしかない。

 小園が最終的に下した判断は、未確認機体のハワイ王国からの速やかな退去であった。


『だが、我らは慈善団体ではない。意味は分かるな?』

『……な、何が望みなんだ!?』


 しかし、小園はタダで返すつもりも無かった。

 たった1機の未確認機体に散々に引っ掻き回されているのであるから、心情的には分からないでもない。


『その機体について詳しく教えてもらおうか。道案内の費用にしては格安じゃろう?』


 この時の彼の脳内を占めていたのは、未確認機体への強烈な興味であった。

 上空を悠々と飛行している白銀の機体に完全に心を奪われていたし、だからこそ着陸させようとも試みた。


『別に無理にとは言わんぞ? こちらとしては燃料切れで不時着したところを回収しても構わないのじゃからな』


 他に選択肢が存在しないことを小園は暗に仄めかす。

 機体の性能を教えて米連への帰還出来るわずかな可能性に賭けるか、燃料切れで墜落する確実な未来を選択するか。どちらを選択したかは言うまでも無いだろう。


 史実と同じく、小園は大型機論(戦闘機無用論)と空母全廃論を熱烈に信奉していた。平成会派の主催する勉強会で多少は矯正されたのであるが、その傾向は未だに健在であった。


 そんな彼の理想を具現化した超大型機が出現したらどうなるか?

 作戦上の制約が存在していたとはいえ、今回の一件が大きくなったのは小園の個人的な興味が関係していたことは間違いない。


『撃墜しなかったのは分からないではないが、何故ハワイ王国上空まで誘導したのだ? 領空外で対処すればここまで大事にはならなかっただろう』

『あちらから救援を求めてきたというが証拠はあるのかね? 無いならば捏造を疑われかねんぞ!』

『未確認機体を今さら撃墜したところで何の影響があるというのだ? 敢闘精神に欠けておる!』


 当然というべきか、海軍の査問会でもその点を責められることになった。

 多少は情状酌量されたものの、全体的な流れは小園と赤松の処分に傾いていたのであるが……。


『仮に撃墜していれば、米連が正式に宣戦布告してくる可能性があった。未確認機体を撃墜しなかった厚木空の判断は間違っていない』

『しかも、機転を利かせて敵機の性能を調べ上げたというではないか。むしろ小園大佐は表彰されるべきであろう』

『そもそも、作戦行動が戦線の不拡大という政府方針に合致しているのに処罰の対象となるのはおかしい』

『『『陸軍としては海軍の結論に反対である!』』』


 陸軍が査問会に介入したことで完全に流れが変わることになった。

 懲戒処分から一転して無罪放免となったのである。


「……しかし、思ったよりも早く終わってしまったな。ハワイから迎えが来るまでどうしたものか」

「良い店を知ってますよ。今夜はそこに行きましょうや」

「流石は海軍の名物男。女遊びは達者だな」

「ふっ、褒めても何も出ませんぜ。おいっ、タクシー!」


 円タクを拾った二人は夜の帝都へ消えていく。

 無罪を勝ち取った高揚感に加えて、女遊びの達人が同行したことで連日のように派手に夜遊びしまくったのであった。


 常日頃から戦線の不拡大を唱える陸軍からすれば、海軍の行動は目に余った。

 海軍からすれば、売られた喧嘩を全部買って返り討ちにしているだけなのであるが……。


 今回の査問会への介入で海軍の動きを多少なりとも掣肘出来たと陸軍上層部は判断していた。しかし、彼らの思惑を完全にひっくり返すような出来事が北大西洋で発生することになるのである。







「はぁ~……」


 ため息の後に続くのは、ザラザラと胃薬を手に取る音。

 海軍大臣嶋田繁太郎(しまだ しげたろう)海軍大将は、今日も今日とて日課の胃薬一気飲みを敢行せんとしていた。


 胃薬が手放せなくなって久しい嶋田であったが、ここ数日は特に消費量が増えていた。その原因は先日の海軍査問会にあった。


 帝国海軍における査問会は、事故や事件の事実関係を調査したうえで関係者の過失責任の有無を審議する。審議結果を上級官庁へ報告するのみなので、嶋田は査問会に直接は関わっていなかった。


 にも関わらず、嶋田の胃薬が増えてしまったのは査問会に陸軍が横やりを入れてきたからであった。つい先ほどまで激昂する将校たちを(なだ)めていたことで、彼の胃痛は限界を突破しようとしていた。


「ふぅ……」


 お茶で胃薬を流し込むと幾分気分が和らいだ気がする。

 実際はそこまで即効性は無いし、それ以前に市販の胃薬では胃潰瘍は完治出来ないのであるが。


 今の嶋田は上と下からサンドバック状態であった。

 部下からは戦争指導について厳しく責められ、そして……。


「はい、嶋田です。はい、はい……分かりました。今すぐ向かいます」


 受話器を戻して、深く、深ぁくため息をつく嶋田。

 下からの突き上げの対処が終わったと思ったら、今度は上からの無茶ぶりが来る。彼の胃に穴が空くのも時間の問題であろう。


「忙しいところをすまんな」

「いえ、仕事ですから……」


 30分後。

 嶋田は総理官邸で総理大臣東條英機(とうじょう ひでき)陸軍大将と面会していた。


「まずは査問会の件で謝罪させてもらう。横やりを入れて正直すまんかった」

「ついさっきまで、怒鳴り込んできた連中の相手をさせられたのですよ? これ以上は胃が持たんので勘弁してください。うぅっ、言ったそばから胃が……」


 胃の辺りを押さえる嶋田に、さすがに東條も同情してしまう。

 だからといって、これまで溜まりに溜まりまくった海軍に対するヘイトが減るわけも無かったが。


「本題に入ろう。まずはこれを見て欲しい」

「拝見しましょう……こ、これは……!?」


 東条から手渡された書類を見て嶋田は絶句してしまう。

 その内容は大日本帝国中央情報局(JCIA)アメリカ支部からの報告書であり、至急対応を要すると結ばれていたのである。


 軽い気持ちで帝国海軍にちょっかいを出した結果、米連海軍は文字通り壊滅した。あまりの損害の大きさに、米連海軍内部では兵站関係者が頭を撃ち抜いたという噂が流れたほどであった。


 米連海軍の艦隊戦力が壊滅したのは間違いない。

 しかし、国内の造船所は全くの無傷であった。


 失った戦力を再建するべく、米連内の全ての造船所が現在進行形でフル稼働していた。その勢いは旧合衆国時代のヴィンソン計画をもはるかに凌ぐものであった。


 特に史実で週刊護衛空母を実現したカイザー造船所は、毎週のように進水式を実施した。壊滅したはずの米連海軍は急速に戦力を回復どころか、以前よりも戦力を増強しつつあった。


『週刊駆逐艦(アンド)潜水艦とか反則だろ!?』

『巡洋艦なんか隔週だぞ!? チートにもほどがあるだろ!?』

『戦艦は年4隻ペースで建造? ははっ、これでは季刊戦艦だぞ!?』

『史実米帝の週刊護衛空母や隔月正規空母も大概だったが、米連は輪をかけて鬼畜だな……』

『ル〇ィ並みに質が悪いぞ!?』


 ちなみに、この事実を先んじて知った海軍の平成会派は狂乱状態になっていた。

 史実某海賊漫画の主人公かよと言いたくもなる気持ちも分からないでもない。所詮彼らはモブであり、主人公には決して勝てないのであるから。


「……再建された米連の戦力がカナダ行き船団に向けられるのは時間の問題だろう。海軍にはこれまで通り船団の安全を最優先にしてもらいたい」


 東條の表情は険しい。

 陸軍軍人で海軍に疎いはずの彼でさえ、状況が深刻なことは理解していた。


「もちろんです。海軍はこれまで通り北太平洋の制海権の維持に全力を尽くします」


 嶋田は東條の要請を快諾する。

 彼は陸軍主導の現在の政府に協調出来る貴重な海軍軍人であった。


「しかし、このままではジリ貧です。それくらいならば、こちらから討って出たほうが勝算があります」


 とはいえ、さしもの嶋田も今回ばかりは盲従するつもりは無かった。

 守勢一辺倒では圧倒的な戦力差ですり潰されかねない。それは海軍軍人としては到底受け入れられないものであった。


「我が国は米連と正式に戦端を開いてはおらんのだ! そのようなことをすれば米連の思うつぼであろうが!?」

「推定で米連の艦隊戦力の7割を撃滅して未だに戦争状態でないと誰が信じるのですか!?」


 両者お互いに譲らない。

 首相官邸の執務室が、おっさん同士の罵声で満たされるまで時間はかからなかった。


「儂は陛下から直々に戦線の不拡大を念押しされておるのだ! 米連との戦争なぞもってのほかだ!」


 東條の場合は忠義であった。

 史実では昭和天皇への忠義こそが彼の行動の絶対的な基軸であり、それはこの世界でも同様であった。だからこそ米連との戦争に頑として反対していた。


「米連海軍相手に一方的に戦ってきたことに加えて、戦果の過少発表で海軍内部には不満がくすぶっています。このままだと暴発しかねませんよ!?」


 嶋田の場合は海軍内部の組織力学であった。

 今まで一方的に殲滅してきたことで、海軍内部には米連海軍を侮る風潮が日に日に強くなっていた。戦果の過少発表の不満と相まって、このままでは海軍が割れかねないことを深刻に危惧していた。


 どちらの言い分にも理があった。

 だからこそ、お互いに一歩も引けなかったのである。


「……はぁ、はぁ、わ、分かった。君の提案を認めようではないか」

「あ、ありがとうございます……」


 植木鉢が倒れ、ゴルフクラブが曲がり、額縁も傾いたが二人はどうにか妥結に至った。それは守勢一辺倒から脱却して、攻勢に出ることが認められた瞬間でもあった。


 嶋田の提案は北太平洋区域に限定して艦隊を積極的に運用するものであった。

 見も蓋も無い言い方をすれば火消しであるが、船団の御守りしか出来ない現状よりは大きく前進したと言えよう。


『なんだこの交戦規定というやつはーっ!?』

『こんな戦力で敵を止めようっていうのか!?』

『やっぱり、陸さんは海軍のこと分かってねぇぇぇぇ!?』


 実際に運用する戦力をめぐっては、政府と海軍で激しい折衝が繰り広げられた。この期に及んでも米連に宣戦布告の口実を作りたくない政府側は、直前に無茶苦茶な条件を捻じ込んで海軍側を激怒させることになるのである。







(これはどうしたものかね……)


 連合艦隊司令長官山本五十六(やまもと いそろく)海軍大将は内心でため息をついていた。


「「「……」」」


 ちらりと周囲を見やれば、配られた書類に目を通した幕僚たちが沈黙していた。

 室内に充満する空気はただひたすらに重かった。


 1946年1月某日。

 連合艦隊司令部の大会議室では作戦検討会が開催されていた。


 その内容は今後の北太平洋の制海権維持についてであり、カナダ行き船団の未来を占う重要な会議になるはずであった。少なくとも、会議は始まる直前までは……。


「なんだこの交戦規定というやつはーっ!?」

「こんな戦力で敵を止めようっていうのか!?」

「やっぱり、陸さんは海軍のこと分かってねぇぇぇぇ!?」


 堪忍袋の緒が切れたのか、激発する幕僚たち。

 作戦検討会の直前で回されてきた政府側の条件があまりにも現実離れしていたのである。


 政府が海軍に突き付けた条件は以下の通りであった。


・敵対勢力の攻撃を確認してから反撃を開始すること。

・運用する艦隊規模は小艦隊程度にとどめること。


 幕僚たちがブチ切れたのも当然であろう。

 海軍のことをよく理解していない人間が作った条件としか思えない。


「あのクソ大臣めぇぇぇっ!?」

「最近は()せたらしいからな。男妾(おとこめかけ)としては最適だろうよ!?」

「今度あったらぶっ殺す!」


 幕僚たちの怒りの矛先は海軍大臣にも向けられた。

 今回の一件で海軍のヘイトを一身に受けることになり、後に特警課の護衛が付けられることになる。


(今度一緒に呑みに行くか……)


 山本は同期の嫌われぶりに心底同情していた。

 海軍が不利な条件を突き付けられないように奔走していたことを知っているから、なおさらであろう。


「長官、発言よろしいですかな?」


 混沌と化した大会議室において、場違いなほどに沈着冷静な声。

 声のした場所を見やれば、連合艦隊参謀長宇垣纒(うがき まとめ)海軍中将が無表情に挙手していた。


「宇垣くん、なにかな? 名案があるのならば嬉しいが……」


 黄金仮面の綽名(あだな)は伊達では無い。

 日頃は不気味であるが、こういったときにはじつに頼もしく見えてしまう。


「皆の不満はいちいちごもっとも。しかし、それでも政府の方針には従うべきでしょう。我ら海軍は政府に恨まれておりますからな」

「その原因の大半を引き起こした人間が目の前にいるのだがな……」


 山本の愚痴(ぐち)を宇垣はスルーした。

 表情の乏しさは、こういった場面ではじつに役立つ。


「長官は先の大戦の通商破壊作戦をご存じですか?」

「あぁ、確か潜水艦よる商船撃沈作戦だったか。今後想定される敵は大量の駆逐艦に巡洋艦。最悪は戦艦だぞ? 商船撃沈のように簡単にはいかんだろう」


 宇垣の提案に山本は困惑する。

 いったい何を言い出すんだと言わんばかりであった。


「いえ、違います。潜水艦とは別に巡洋艦エムデンによる通商破壊作戦です。短期間ではあったものの、たった1隻でインド洋を制圧下に置いています」

「ほぅ……」


 史実第1次大戦において、通商破壊作戦で名を馳せたのがドイツ軽巡『エムデン』であった。単艦でありながらも3か月たらずで連合国側の商船約30隻を撃沈しており、さらには英国の石油施設や油槽所を砲撃している。


 この世界でも巡洋艦エムデンとして健在であった。

 最後はロイヤルネイビーに撃沈されてしまったが、それまでに相当な戦果をあげていた。


 宇垣がエムデンの存在を知ったのは、全くの偶然であった。

 しかし、調べれば調べるほど戦艦の新たな活用策になるのではと思えてならなかった。


「元来、戦艦というものはその場に居るだけで驚異なのです。長官、米連の海域に我が軍の戦艦が居座ったらどうすると思います?」

「そりゃもちろん撃沈しに来るだろ……って、あっ!?」


 ここで山本は宇垣の狙いに気付いた。

 これならば米連艦隊を探し出して殲滅する必要は無い。ただ来るのを待ち受けるだけで良い。


「この作戦には紀伊が適しているでしょう。無駄に長い足の長さは北太平洋を駆けずり回るには最適でしょう。いざと言う時の逃げ足もある」


 戦艦『紀伊』の主機関はターボコンパウンドデルティックであり、比類なき出力と燃費性能を誇る。航続距離は2万5千(かいり)もあり、地球を余裕で1周出来るだけの航続距離がある。単艦で北太平洋を駆け巡るには最適と言えた。


「紀伊は航空戦力を運用出来るので、偵察能力も問題ありません。対潜哨戒機も積めるので潜水艦に対しても有効でしょう」


 油圧カタパルトが設置されたことで、紀伊は小規模ながらも航空戦力を運用出来る。対潜哨戒機を積めば潜水艦狩りも出来るし、紀伊自体にも試作型ソナーが搭載されたので潜水艦の不意打ちを恐れる必要がない。単艦で北太平洋を以下略。


「紀伊ならば、交戦法規とやらも余裕で達成出来ます。なんといっても対46サンチ防御でありますからな」


 海軍内部の口さの連中からは砲艦呼ばわりされてはいるが、紀伊は対46サンチ砲防御を備えていた。これに匹敵する防御を持つのは大和型戦艦のみであり、米連の16インチ砲搭載艦に不意打ちを受けても余裕で返り討ち出来る。単艦で以下略。


(((あれ? じつは紀伊って今回の作戦に最適なのでは?)))


 気が付けば、宇垣の説明にその場にいる全員が納得させられていた。

 冷静に考えれば問題ありまくりなのであるが、あまりにも堂々と説明されてツッコミどころを失ってしまっていた。


(((どうせ戦艦だから失っても惜しくないしな……)))


 戦艦は時代遅れなのだから、たとえ失っても惜しくない。

 山本を含めて、その場にいる幕僚たちが航空決戦主義者であったことも宇垣の提案が反対されなかった理由であろう。


「……宇垣くん。今回も君に任せてよいかね?」

「お任せください。今回も戦艦が時代遅れでないことを証明してみせましょう」


 山本は今回の一件を宇垣に任せるつもりになっていた。

 餅は餅屋。戦艦の運用は本職に任せるに限る。


「今回も、というのがひっかかるのだが……頼むから、やり過ぎないでくれよ?」

「はて? 前回何かありましたかな?」

「そういうところだぞ貴様……!」


 とはいえ、山本は宇垣に釘を刺すことを忘れていなかった。

 潜水艦基地破壊だけのはずが、勢いあまって要塞まで粉砕しました的なノリを北大西洋でやられたらたまったものではない。


 今回の作戦検討会で決定したことは、今後の海軍の作戦指導が船団護衛と通商破壊作戦の2本立て構成になることであった。あくまでも船団護衛がメインであり、通商破壊作戦は補助的なものと位置づけられた。


 本命である船団護衛については数が揃ってきた島風型駆逐艦を主力とすることが決定していた。従来型の駆逐艦と入れ替える形で配備することで、長期間任務に就いていた艦のメンテとクルーの休養に充てるものとされた。


 さして期待されていない――もとい、補助的任務である通商破壊作戦は紀伊の補給が終わり次第実施するものとされた。現在はハワイに停泊している紀伊のメンテと補給のために補給艦と工作艦が派遣されることになる。


「……」


 作戦検討会が終わると、宇垣は足早に去って行く。

 その表情を誰も見ることは出来なかったが、それはある意味幸せなことであった。


 何故ならば、この時の宇垣は笑顔であった。

 見たら確実に夢に出てくること間違い無しな、それはそれは素敵な笑顔だったのである。







「うむ、これは美味いな艦長」

「評判になることはありますなぁ。あっちじゃ今ごろは争奪戦でしょう。ちと悪い気もしますね」


 宇垣と黛治夫(まゆずみ はるお)海軍大佐は、目の前の甘味を絶賛する。

 紀伊の司令長官公室には甘い匂いが充満していた。


 給糧艦『間宮』がハワイに入港したのは、つい1時間ほど前のことであった。

 間宮から直接配達してもらった甘味を二人は食していたのである。


『間宮が来たぞー!?』

『甘味が食える!』

『『『いやっふぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!』』』


 事前に知らされていなかったにも関わらず、間宮の入港が海軍関係者に知られるまで時間はかからなかった。駐留艦隊の将兵はもちろんのこと、ハワイ中から殺到した陸戦隊や航空隊の人間でホノルル港はごった返していた。


「羊羹一つ!」

「アンパンくれっ!」

「最中をあるだけ寄越せぇ!」

「コッペパンを要求する!」


 黛が危惧したとおり、間宮の直売所は開店早々に怒号に包まれていた。

 甘味に飢えた海兵たちの争奪戦。文字通りに戦場の如き様相を呈しつつあった。


『俺たちが間宮を作れるのか!?』

『よっしゃあ! 間宮を日本最強、いや、世界最強のグルメ艦にしてやるぜぇ!』

『さんふらわぁ丸ベースだったら空間はたっぷりある。夢が広がりまくりんぐ……!』


 ちなみに、この世界の間宮の建造には平成造船が関わっていた。

 関東大震災から復興する帝都に、カナダからの支援物資を輸送する『さんふらわぁ丸』の姿が海軍関係者に強い印象を与えたことが原因と言われている。


 飽食の世に生まれた平成会のモブたちが全面的に監修した間宮のメニューが不味いわけがない。ち〇ーるを目にしたネコの如く、海兵たちが殺到したのは当然のことであろう。


「洗濯板焼きあがりました。販売始めまーす!」

「「「うおおおおおおおおおお!」」」


 そんな間宮の隠れた名物が通称『洗濯板』であった。

 販売開始が告げられた瞬間に、周囲からは歓声があがる。


 洗濯板は史実の間宮でも作られていた。

 史実では資料が存在せずに長らく謎に包まれた菓子として、ミリタリー界隈では有名な菓子であった。


『小倉餡を詰めた駄菓子のようなもの』

『餡が入ったパン菓子』


 史実21世紀になってから文献が発見されたことで全国各地で再現が試みられた。この世界の間宮で販売している洗濯板もそれに準じるものであった。


「ほぉぉぉ……この大きさ、この重さ。甘党には最高だぜぇ」

「これを食ったら当分甘いものは食おうとは思えなくなるよな」

「販売開始直前に並べた俺は運が良かったぜ」


 手に入れた洗濯板を手に入れた海兵たちはご満悦であった。

 両手で大事に抱えて足早に去って行く。


『洗濯板なんだから大きさも再現しないといけないよなぁ?』


 洗濯板を作った調理モブは酔狂としか言いようが無い。

 そのサイズは縦540mm、横250mm、厚さは15mmと文字通りの洗濯板であった。


 しかもお値段は他の甘味と同等。

 圧倒的過ぎるコスパが甘味好きから絶大な支持を受けていた。


 洗濯板が驚異的な価格を実現出来た原因は材料は材料にあった。

 各部署からでる余った食材で作っているので無駄が無い。食材の有効活用という発想は、如何にも史実21世紀の人間と言えよう。


「あー、生き返るぅ」

「やっぱり風呂は良いよなぁ。普段は洗面器しか使えないし」

「電気風呂は何時入っても慣れんなぁ……」


 特売所が修羅場になっている同時刻。

 間宮の大浴場はイモ洗い状態と化していた。


 平成会の尽力によって、この世界の艦隊生活は史実よりもはるかにマシになった。それでもなお、如何ともし難いのが風呂事情であった。


 この時代だと浴槽どころか洗面器しか使えなかった。

 たとえ海水風呂だとしても、思う存分に浴槽に浸かれるとなれば海兵が殺到するのは必然と言えた。


「シャワーが気持ち良過ぎる。いつまで浴びてたい……」

「海の上で貴重な真水をこんなに使えるとか、今でも夢じゃないかと思ってしまうな」

「本当に間宮さまさまだぜ」


 大浴場のシャワーは真水で、しかも使い放題。

 浴槽が海水であっても真水で洗い流せるので海兵たちからは大好評であった。


 間宮はエンジンの排熱で作動する造水機を搭載していた。

 これ自体は珍しいことではない。この時代の艦船であっても、蒸気ボイラーの排熱を利用した真水作りは普通に行われていた。


 ただし、その用途はボイラーの補給水としての用途がメインであった。

 飲料水や生活用水にも使用されたが、その絶対量は常に不足していた。


 平成造船が製作したディーゼル用造水機は、減圧して沸点を下げることでエンジン余熱だけで蒸留水を作ることが可能であった。この優れものな造水機は間宮に搭載されている全ての発電用ディーゼルに設置されていた。


 大型冷凍庫の稼働や調理など、間宮は常に発電用ディーゼルを動かす必要があった。エンジンを動かしているだけで高効率で真水が得られるうえに、蒸気ボイラーではないので補給水に回す必要もない。


 結果として、間宮では潤沢に水が使えることになった。

 海の男にとって、海上で好きなだけ水が使える環境がどれほどの贅沢かは言うまでもない。まさに水を得た魚の如く、海兵たちの士気は爆上がりしていったのである。


「……間宮が来たことで士気については問題なかろう。むしろ、やり過ぎないか心配になる」


 間宮名物の最中を頬張る宇垣。

 一見すると無表情であるが、じつはご機嫌であることは黛のみが知る事実であった。


「それよりも、長期間の作戦行動となる。機関の整備に手抜かりは無いようにな」


 湯呑の熱いお茶を一気飲みするも、やはり無表情であった。

 じつはご機嫌であることは黛のみが知る以下略。


「それに関しても問題ありません。明石が来てくれました。一両日中に整備は終わるでしょう」


 対面に座る黛は、羊羹を半分食したところであった。

 上官と違って分かりやすいくらいに上機嫌なのは、史実と変わらぬ味が再現されていたからであろう。


「そうか。最初は変な構造だと思ったが、思いがけなく役立つものだな」

「まったくです。よくよく考えれば、あれほど合理的な構造も無いでしょう」


 二人は紀伊の主機にあらためて感心していた。

 煙突基部の蜂の巣鋼鈑を外せばエンジンルームにアクセスすることは容易であり、エンジン単体レベルで取り外して整備することが可能であった。


『こいつはちょっとヤバいな』

『オーバーホールが必要かもしれませんね』


 取り外されたエンジンは、紀伊に横付けした明石の甲板上で整備されていた。

 薄暗くて狭いエンジンルームではなく、開放的な屋外で整備出来るので整備性が向上するのは言うまでも無いだろう。


『この際だ。取り換えちまおう』

『了解です。倉庫から新しいヤツを出してきます』


 取り外しが容易なことは換装が容易なことを意味していた。

 修理に時間がかかるエンジンを新しいエンジンに換装してしまえば圧倒的な時短となる。エンジン交換を前提とすれば、紀伊の機関メンテナンス時間は3隻の新型戦艦の中では最も短いものであった。


「抜錨! 前進最微速!」

「前進最微速! ヨーソロー!」


 1946年1月中旬。

 補給と整備を終えた紀伊は単艦で太平洋の大海原へ乗り出した。


 帝国海軍の歴史で戦艦を単艦で運用した事実は存在しない。

 このことが吉と出るか凶と出るか。それを知る者は何処にも存在しなかったのである。







『水上警戒電探に反応あり! 距離3万7千!』


 ハワイから出撃して2日後。

 電探班からの報告が紀伊の艦橋(ブリッジ)に鳴り響く。


「合戦準備! 戦闘準備を急げ。艦長、砲撃指揮所に詰めてくれるか?」


 宇垣の言葉が終わらぬうちに黛は飛び出していた。

 1分でも1秒でも早く主砲を撃ちたいのであろう。


『水平線上に艦影を確認。ブルックリン級巡洋艦と思われます!』


 電探による発見の報から5分後。

 地上40mの高さに陣取る観測班からも報告が入ってくる。鍛えに鍛えた海兵の視力と18cm双眼鏡の組み合わせは、接近してくる米連の巡洋艦の姿を捉えていた。


『敵艦が回頭中。こちらに気付いて逃げるようです!』

『敵艦針路変更。針路1-1-0! 増速中! このままでは逃げられます!』


 観測班と電探班からほぼ同時に第2報が届く。

 決断を迫られた宇垣であったが、彼の表情は寸毫も動かない。


「航空参謀。いけるか?」

『お任せください。確実に仕留めて御覧に入れましょう!』


 後部航空指揮所で待機していた航空参謀が俄然張り切りだす。

 紀伊の航空隊が発艦したのは10分後のことであった。


「参謀長。意見具申よろしいでしょうか?」

「なんだ?」


 航空隊が発艦してからしばし。

 静けさを取り戻したブリッジで口を開いたのは、紀伊の副長の任に就いている海軍中佐であった。


 紀伊の艦長は黛であるが、彼は砲術長も兼任していた。

 主砲を撃つ状況では射撃指揮所に詰めるため、その際は副長が艦の運航の責任者であった。


「この状況ですので水中探信儀の使用許可をいただきたいです。どこに潜水艦が潜んでいるか分かりませんので……」


 紀伊は艦首部のバルバスバウに水中探信儀(アクティブソナー)を装備していた。

 同様の例としては史実の大和型戦艦がある。こちらは聴音のみの水中聴音機(パッシブソナー)であったが。


 水中探信儀は紀伊の当初の計画には存在しなかった。

 にも関わらず、何故装備されているのか?


 その理由は紀伊が所定の性能を満たせなかったからに他ならない。

 公試はもちろんのこと、様々に条件を変えて試験しても計画速力に1.5kt(ノット)ほど足りなかった。


 ちなみに、3隻の新型戦艦の中で計画速力を満たせなかったのは紀伊のみであった。そのことを知った設計者の平賀譲(ひらが ゆずる)海軍造船少将は烈火の如く激怒したという。


 大規模な改修をしている時間が無かったので、バルバスバウを装着して速力改善をはかることになった。その際に巨大過ぎて装着出来る艦が無かった試作型アクティブソナーもいっしょに装備されたのである。


「ぐわぁっ!?」


 聴音手(ソナーマン)がレシーバーを放り出して悶絶する。

 突然のことにポーパス級潜水艦『ぺリル』の発令所は騒然となった。


「しっかりしろ!? 何があった!?」

「うぅ、いきなりでっかい音が……」


 艦長の問いかけにもソナーマンは呻くばかり。

 紀伊に搭載された水中探信儀の大出力低周波は、ソナーマンの鼓膜にダメージを与えていた。


「状態はどうですか?」

「……耳鳴りがする。自分の声がこもって聞こえる」


 衛生兵がソナーマンの状態をチェックする。

 耳穴周辺に出血は見られないし、声が聞こえているので鼓膜が破れている可能性も無い。症状は一時的なものである可能性が極めて高かった。


「おそらく音響外傷でしょう。しばらく安静にすれば問題無いかと」

「困ったな。このままでは進むことも退くことも出来ん……」


 潜水艦の目となるソナーマンが倒れてしまっては、潜水艦は1ミリだって前に進むことは出来ない。ここで艦長が躊躇してしまったことが、艦の運命を決定づけることになってしまった。


「今度はなんだっ!?」


 唐突に艦体が激しく揺さぶられる。

 周囲にばら撒かれた爆雷が爆発した衝撃であったが、ソナーマンが無力化された時点で艦長がそれを知る術は失われていた。


「ダイブ、ダイブ、ダイブ! とにかく潜れ。潜ってやり過ごすんだ!」


 潜航して爆雷をかわそうとするものの、追跡は執拗であった。

 まるで逃走経路が分かっているが如く先回りして爆雷を放り込んで来る。


 潜水艦が耳を塞がれた状態でまともに戦闘出来るわけがない。                                                  

 ペリルが撃沈されたのは、それから20分後のことであった。


「……対潜攻撃機より入電。潜水艦を1隻撃破したと認む。以上です」

「うむ」


 戦果を挙げて喜ぶべき場面であっても、宇垣の表情は相変わらず無表情であった。本人は喜んでいるのであるが、口角や目じりが数ミリ程度しか動いてないのでブリッジに居る人間は気付けなかった。彼の表情の変化に気付けるのは黛くらいだろう。


「そういえば、航空隊はどうした?」

「はっ、そちらは先ほど攻撃開始の報がありました。吉報をお待ちください」


 不幸にも紀伊とエンカウントしてしまったブルックリン級は全力で逃走していた。彼我の距離は20浬は離れていたし、速力もブルックリン級のほうが速い。確実に逃げ切れるはずであったが……。


「くそぅ、振り切れない!?」

「なんで戦艦が空母やってるんだよ!?」


 ブルックリン級『オールバニ』のブリッジは混乱していた。

 戦艦相手に逃げ切れたと思ったらじつは空母だったと言う事実は彼らの理解を完全に超えてしまっていた。


 紀伊から逃げられても、紀伊の航空隊からは逃げられなかった。

 いくら巡洋艦の足が速いと言っても、航空機の飛行速度に勝てるわけがない。


全火器使用許可(ウェポンズフリー)! 回避行動開始(レッツダンス)!」


 それでもオールバニは回避運動を取りつつ応戦を開始する。

 右舷方向から殺到する紀伊の航空隊に対して、指向出来る全ての火器が火を噴いた。


『おいおい、こんなぬるい対空砲火に当たってやれんぞ』

『演習のほうが激しいってどういうことなんだか』

『ひょっとして油断させるつもりなんじゃ?』


 しかし、ブルックリン級の対空火力は紀伊の飛行隊にかすりもしない。

 帝国海軍の基準で見れば、対空火力の密度は今ひとつであった。


 紀伊の航空隊は二二型改(ゼロ戦)であったが全機が爆装していた。

 主翼に爆弾2発(30kg/60kg)か30kgロケット弾4発を装備しており、入れ代わり立ち代わりでめった打ちにした。


「ダメージレポート! 機関部に直撃だと……くそっ、総員退艦だ!」


 いくら撃っても1機も落とせず、ロケット弾で上部構造物はなぎ倒される。

 艦体の破壊孔から機関部に飛び込んだ爆弾が不運なオールバニにとどめを刺したのであった。


「……」


 耳をすませば聞こえてくる、さらさらと筆が滑る音。

 紀伊の艦長室では宇垣が日誌を書いていた。


 史実の宇垣は『戦藻録(せんそうろく)』という陣中日誌を記している。

 日本海軍作戦の第一級史的資料であり、戦争文学としても高い評価を受けていた。


「ハワイより出撃して2日目。巡洋艦と潜水艦の確認撃破。これは幸先が良い、と……」


 この世界の宇垣も筆まめであった。

 毎日の締めくくりとして、就床前に日誌を記すことが恒例化していくことになる。


 長い道程はまだ始まったばかりであった。

 太平洋の海原を独り進む紀伊の運命を予測し得る人間は何処にも存在しなかったのである。







『対空警戒電探に反応有り。編隊と思われる。距離12万!』


 ハワイを出撃して1週間。

 その日は電探班の急報で始まった。


「針路はどうなっている?」


 報告を受けても宇垣は眉一つ動かさない。

 ざわめく紀伊のブリッジで彼一人だけが常に例外であった。


『編隊らしき反応の針路は2-4ー0です。このままだと交差します』

「ふむ……」


 表情には出さないが、宇垣は迷っていた。

 付近に飛行場が作れるような島は存在しない。接近中の編隊は空母から発進したと考えるのが妥当であった。


 米連海軍は偵察飛行隊(スコードロン)で索敵と攻撃を兼任していた。

 こちらを発見したのか、それとも単に索敵なのか。前者と後者では対応が大きく違ってくる。


「一度南へ退避する。念のため飛行隊も準備しておけ」

「はっ、艦を南に向けます。針路1-2-0、速力25!」

「針路1-2-0、速力25、ヨーソロー!」


 紀伊は針路を南東へ変針する。

 急激な針路変更で満載7万tの巨体が大きく傾く。


『編隊らしき反応は針路そのままで直進中……失探しました』


 空中警戒電探が追尾したものの、編隊らしき反応は消失してしまった。

 その後も警戒を続けたものの、電探に反応することは無かった。


 宇垣が知る由は無かったが、米連海軍は紀伊を重大な脅威と認識していた。

 わずか1週間で潜水艦3隻、巡洋艦2隻が撃沈されている。このペースで撃沈されたら損害はとんでもないことになってしまう。


 この脅威に対して、米連海軍は残存空母部隊とカナダ行き船団襲撃に回す戦力まで根こそぎ引き抜いて対応することにした。先ほど紀伊に向かってきた編隊もサンディエゴ海軍基地所属のヨークタウン級空母から発艦したものであった。


 しかし、米連側は紀伊の実態を掴んでいなかった。

 有力な1個機動艦隊が北太平洋を遊弋していると思い込んでいたのである。


「我々の位置はここ。先ほどの反応はこちらの方角だな」

「米連の艦載機の足の長さがゼロ戦と同等と仮定すると……」


 テーブルに地図、片手にはコンパス。

 紀伊のブリッジの片隅では副長と航海長が空母の位置特定を急いでいた。


「出ました。北緯32度、西経141度近辺にいるものと思われます」


 海図に指し示された場所は島も陸地も存在しない。

 先ほどのスコードロンが空母から発艦したことは確定的となった。


「飛行隊を出しますか?」

「そうだな。念のため出しておいたほうがよいだろう。速度を落とせ」


 通常の空母ならば、艦載機を発艦させる場合は増速する。

 向かい風に艦の速力を加えた合成風力で揚力を稼ぐのが、この時代の発艦の常識であった。


 しかし、紀伊はその逆であった。

 この点が航空戦艦としての運用を難しいものにしていた。


 最大の原因は飛行甲板が後部にあるので合成風力が使えないことであった。

 速力を上げると追い風になってしまい、発艦に必要な揚力が稼げない。


 油圧カタパルトで射出しているのだから合成風力は問題無いと思われがちであるが、今度は慣性の法則が障害になってくる。仮に30ktで航行している状態で逆方向にカタパルト射出したらどうなるか?


 答えは追い風状態でマイナス30ktのハンデで射出される――である。

 軽量で出力に余裕のあるゼロ戦ならば問題無いが、爆装した艦攻や艦爆だと射出した瞬間に失速して墜落してしまう。


 油圧カタパルトで無風状態でも発艦は出来る。

 裏を返せば、無風状態でなければ発艦出来ないという意味でもあった。


 この問題に対する成案は既に出来ていた。

 単純に主砲と飛行甲板の位置を入れ替えれば良い。紀伊建造に関わった技術モブは自信満々に上層部に提出したのであるが……。


『これが有効だとは認めるが心情的には納得いかん!』

『主砲が後ろにしかない戦艦なんぞ断じて認めん!』

『撃ち逃げに徹するとか、これでは卑怯艦ではないか!?』


 死ぬほど上層部から嫌われて、一瞬にしてボツになった。

 紀伊の姉妹艦建造計画は永遠に棚上げされることになったのである。


「……全飛行隊発艦完了しました」


 10分後。

 紀伊の飛行隊の発艦が完了していた。


「針路そのまま。速力30!」

「ヨーソロー! 針路そのまま、速力30!」


 ここまで来たら、全速で距離を詰めて殴るしかない。

 舳先に盛大に波を立てて、紀伊はひたすら突進する。


『敵空母発見せり! ヨークタウン級空母2隻と認む!』


 先発した飛行隊より空母発見の報が入る。

 しかし、紀伊のやることは変わらない。ただ、ひたすらに突進する。


『艦長、先発した飛行隊より連絡が入った。敵はヨークタウン級空母2隻だ』

「戦艦でないのが残念ですが、なかなか食いではありそうですな」


 紀伊の射撃指揮所で黛は宇垣から連絡を受けていた。

 上官と話ながらも、各部のチェックは怠らない。


「参謀長、今回は全部任せてもらって良いですか?」

『こと砲術に関して君を疑ったことはない。好きにやりたまえ』

「ありがとうございます!」


 受話器を戻した黛は満面の笑顔であった。

 戦艦でないのは残念であるが、主砲が撃てる喜びに勝るものなどない。


「三式弾用意! 電波信管!」

「弾種三式、電波信管! ヨーソロー!」


 揚弾機が音を立てて51サンチ砲弾を運搬してくる。

 砲弾の先端には既に信管が取り付けられていた。


 主砲に装填される巨大な51サンチ砲弾。

 その後ろから薬嚢(やくのう)が押し込まれる。


『水上警戒電探に反応有り! 方位0-2-0 距離3万!』

『ヨークタウン級空母2隻を確認! 現在、我が方の航空隊と交戦中!』


 電探班と観測班から続報が入ってくる。

 紀伊とヨークタウン級空母2隻との相対距離は可視圏内に入り込んでいた。


(どれどれ……)


 黛は照準レンズをのぞき込む。

 艦橋のトップに設置された18m測距儀は、遠距離にもかかわらずクリアな視界を確保していた。


(撃つぞ、撃つぞ、撃つぞぉ~!)


 この時の黛の脳内を占めていたのは、ただ主砲を撃つことのみであった。

 不幸なヨークタウン級空母は完全にロックオンされてしまった。


「飛行隊を主砲の射程から退避させろ! 巻き添えを食うぞ!」


 副長が航空隊に退避命令を送る。

 これで全ての準備が整ったことになる。


「散布角調整……コンマ1ずつずらせ! 主砲発射用意よし! 撃ち方始めぇ!」


 その瞬間、紀伊の前半分が閃光で照らし出された。

 世界最強の51サンチ砲弾がヨークタウン級空母2隻に向かって放たれたのである。







『繰り返す。これより三式弾を発射する。全機主砲の射程範囲より離脱せよ。繰り返す……』


 レシーバーから聞こえてくる緊急通信。

 紀伊の飛行隊所属のゼロ戦乗りは舌打ちしていた。


「くそっ、せっかくの獲物だったのに……」


 とはいえ、このまま飛んでいたら確実に巻き込まれる。

 渋々ながらも機体を離脱させたのであった。


 三式弾――別命三式焼霰弾(しょうさんだん)とも呼称される。

 この世界でも黛が開発に携わっていた。


 史実と異なる点は、新型の信管と悪魔合体してしまったことであろう。

 平成計算機工業が開発した巡洋艦・戦艦用の大出力電波近接信管とのベストマッチングによって、三式弾は猛威を振ることになったのである。


「なんだぁ? 急に逃げ出しやがった。いったい何だってんだ?」


 ヨークタウン級『ブーンズボロ』所属のF5Fパイロットはコクピット内で素っ頓狂な声をあげていた。後ろに食らいついていたゼロ戦(ジーク)が、機体を反転させて飛び去っていく。


 黛の照準はブーンズボロを完全に捉えていた。

 命中する300m手前で近接信管が作動。上空で炸裂した。


 VT信管によるエアバースト射撃は史実で有用性が証明されている。

 あろうことか、この世界では51サンチという空前の巨砲によるエアバースト砲撃が実現した。その結果は凄惨なものとなった。


「へっ、俺の腕に怖気づいたってか! ざまぁ」


 パイロットは最後まで言葉を発することが出来なかった。

 炸裂した51サンチ3式弾の近くを飛行していた彼の機体は、瞬時に100発以上の焼夷弾子を受けて僚機といっしょに爆散した。死体が発見出来れば儲けものであろう。


 ブーンボロはもっと悲惨なことになった。

 防弾性皆無なブリッジは数百発に及ぶ焼夷弾子によって蜂の巣にされた。艦長以下全員が即死であった。


 甲板に駐機していた機体は瞬時に燃え上がった。

 消火しようにも甲板要員の大半は即死したか、虫の息でどうしようも出来なかった。


 焼夷弾子は瞬間的に3000度もの高温となる。

 ソフトスキン目標ならば容易く焼き切るが、重装甲を貫通出来るほどの威力は無かった。


 それ故に装甲区画に居た者は無事であった。

 しかし、それは彼らが幸運だったことを意味しなかった。


 指揮すべき人間が全滅しているので情報が入ってこない。

 何もわからず持ち場に就いているしか無かったのである。


「むぅ、空母のくせに装甲でもあるのか? まぁいい、次でトドメだ」


 測距儀越しに見える光景から、黛は敵空母が装甲空母であることを見抜く。

 流石は開発者というべきか、三式弾が装甲に弱いことを熟知していた。


「照準そのまま、弾種三式で瞬発信管!」

「弾種三式で瞬発信管、ヨーソロー!」

()ぇっ!」


 再び咆哮する巨砲。

 音速の2倍以上の速さで射出された重さ2t弱の砲弾は、狙いたがわずブーンズボロ目掛けて飛んでいく。


 51サンチ砲弾ならば、徹甲弾でなくても自重と飛翔エネルギーだけで多少の装甲なら叩き割れる。ブーンズボロに再び命中した三式弾は瞬発信管が作動する前に装甲をぶち抜き、そこで爆発した。


 ブーンズボロの艦内で炸裂した三式弾は、1000個近い焼夷弾子を四方八方にばら撒く。破片と爆風で多数の死傷者が発生、同時多発的に猛烈な火災が発生する。


「あれだけ派手に燃えれば何も出来んだろう。照準をもう1隻の方へ回せ!」


 ブーンズボロは盛大に炎上しながら漂流する。

 わざわざトドメを刺さなくても、彼女が太平洋の海原に返る運命は避けられそうになかった。


「偏差無し、直射でいく。砲塔旋回急げ!」


 紀伊は接近しながら砲撃を続行する。

 いつの間にかに彼我の距離は1万mを切っていた。既に戦艦の砲戦距離ではない。


 もう1隻のヨークタウン級『ボストン』は、至近距離でめった撃ちにされた。

 三式弾で船体を穴だらけにされて急速に浮力を失って横転した。


『ジーザス!? 俺たちの母艦が!?』

『どうなっているんだよ!?』

『これは夢に決まっている! 誰かそう言ってくれ!?』


 短時間に母艦が無力化される光景を見せつけられて動揺しないわけがない。

 目に見えて動きが鈍くなる。


『はっ、鴨撃ちだぜ!』

『母艦を失って動揺したか!』

『同情はするが……許せよ』


 その隙を紀伊のゼロ戦隊は見逃さなかった。

 一方的に後ろを取って撃墜していく。


 F5F隊は機体性能と技量差で劣るところを数とダイブズーム戦術で互角の戦いに持ち込んでいた。動揺してしまえば、その均衡も容易く崩れてしまう。その後の展開は一方的なものとなったのである。


『こ、これは……空中警戒電探に編隊らしき反応が複数出現! こちらに向かっています!』


 紀伊のブリッジに電探班からの緊張した声が響き渡る。

 艦橋トップに据え付けられた対空警戒電探――二号一型改5は、接近する多数の編隊を捉えていた。


『応答が無いぞ? いったいどうなっているんだ?』

『おいっ、あれを見ろ!?』

『あれは……まさかブーンズボロなのか!?』

『俺たちの母艦が沈んでいく……どうして!?』


 接近してくる編隊は、先ほど紀伊がやり過ごしたスコードロンであった。

 上空直掩を除いた全戦力であり、その数は優に100機を超えていた。


 索敵が空振りに終わって母艦に帰投した彼らが見たもの。

 それは盛大に炎上しているブーンズボロと波間に没しようとしているボストンであった。


『ガッデム! お前ら、あのデカブツを沈めるぞ!』

『艦長の弔い合戦だ!』

『どうせ俺たちゃ後がねぇ。刺し違えてやる!』


 母艦を失って悲嘆にくれる彼らが、どういった行動を取るかは言うまでも無いだろう。復讐心に狂った彼らは紀伊に殺到することになったのである。


「……時間をかけすぎたな」


 このような状況でも宇垣は安定の鉄面皮であった。

 そこには動揺の文字などありはしない。


「今すぐ航空隊は上げられるか?」

「無茶言わんでください。燃料と弾薬の補給で15分は必要ですよ!?」


 宇垣の無茶ぶりに航空参謀が悲鳴をあげる。

 で、あれば残された手段は一つしか無い。


「艦長、鳥撃ちの時間だ。頼めるか?」

『……別にアレを全部落としてしまってもかまわないですな?』


 射撃指揮所からの黛の声が異様な熱意を帯びる。

 悲壮感など欠片も無い。純粋に砲術の極みを実践せんとする砲術バカの強い意志があった。


「一番勢力の大きい反応はどこになる?」

『大きいのですか? 針路2-8-5から接近する編隊が最も大規模と思われますが……』


 宇垣の問いに電探班は困惑する。

 この状況でそのようなことを聞いてどうしようというのか。


「聞いたな? 針路2-8-5 最大船速だ」

「参謀長!? 正気ですか!?」


 副長が上官侮辱罪ともとれる発言をしてしまう。

 それだけ混乱していたということでもあるが。周囲から100機以上の攻撃機が殺到している状況で冷静でいられるほうがおかしい。


「この艦は後ろには撃てんのだ。ならば、主砲が生きているうちに最大の脅威に対処するほうが生存率は上がる」


 しかし、宇垣は冷静であった。

 黄金仮面の異名は伊達では無い。あるいは心臓に毛でも生えているのか。


「さぁ、鳥撃ちの始まりだ! 三式弾用意! 電波信管!」

「弾種三式、電波信管! ヨーソロー!」

「目いっぱい散布角を広げるぞ。調整急げ」


 ゴンゴンと主砲塔が旋回する。

 砲の角度が各個にバラバラに上下する様子は鎌首をもたげるが如しであった。


「撃ぇっ!」


 満を持して紀伊の51サンチ砲3基6門が斉射される。

 満載7万tの艦体が発砲の衝撃で揺さぶられた。


 51サンチ三式弾六発の破壊力は絶大であった。

 円錐状に広がった合計6000個の焼夷弾子は接近中の編隊の半分を撃墜していた。


 40秒後の再度の斉射によって編隊は電探から消滅していた。

 他の編隊も同様の運命を辿ることになったのである。


 最大の危機を乗り越えた紀伊は、以後も北太平洋で暗躍することになる。

 米連海軍側からは『北太平洋の通り魔』と恐れられ、目撃情報が出ただけで士気が下がる有様であった。


 米連側も対策を考えなかったわけではない。

 大西洋にいるサウスダコタ級戦艦の全てをぶつけて、刺し違えてでも紀伊を撃沈する覚悟を決めていた。


 しかし、サウスダコタ級を大西洋から動かすことはかなわなかった。

 動かしたくても動かせない状況に米連は追い込まれていたのである。






以下、今回登場させた兵器のスペックです。


ダグラス XB-19A


全長:40.2m   

全幅:64.6m      

全高:13.0m     

重量:39009kg(空虚重量)

  :73482kg(最大離陸重量)    

翼面積:398.1㎡

最大速度:427km/h(最大) 

実用上昇限度:7000m

航続距離:12500km

飛行可能時間:55時間(設計値)

武装:37mm機関砲2基 

   12.7mm機銃5基

   7.62mm機銃5基

   爆弾8840kg

エンジン:アリソン V-3420 液冷V型24気筒 離昇出力2600馬力×4

乗員:18名(パイロット・航法士・機関士・銃手ほか)


米連陸軍が試作している超大型爆撃機。

史実では米陸軍航空隊向けにダグラス社が開発したものの、試作のみに終わっている。


この世界では旧合衆国――デイビス政権の置き土産であり、ヴィンソン計画のどさまぎで予算を分捕ったダグラス社によって計画が進められていたが米国崩壊によって開発は中断されていた。しかし、大型爆撃機を欲していたトロツキーの目に留まったことで開発が再開されている。


XB-19Aの特徴はなんといっても空前の巨体と足の長さである。

B-17(この世界では計画のみ)の倍に達する横幅と1万キロを超える航続距離は当時としては驚異的であった。


ちなみに、撃墜した機体を解析した平成飛行機が驚いたという逸話が存在する。

搭載されているエンジンは双子エンジンだったのであるが、その片割れが自社生産していたエンジンに極めて酷似していた。


旧合衆国時代、マフィアやギャングたちは揉め事調停にエアレースを用いていた。

メンツがかかっているので、湯水のように開発費を投入して高性能機を開発していたのである。


エアレースに勝つためには、何は無くとも高性能がエンジンが必要。

速度を出すなら空冷よりも液冷エンジンが有利なのは当時から常識であった。


しかし、当時のアメリカの航空用レシプロエンジンは空冷が主流であった。

そこで当時のハワード・ヒューズは一計を案じることになった。平成飛行機から機体ごと液冷エンジンを購入したのである。


ハワード・ヒューズがもたらした液冷エンジンをアメリカのエンジン屋が改良していった結果、似たようなモノになってしまった。V-3420(片バンク)と吾妻(和製マーリン)は利根(和製ケストレル)を始祖とする兄弟エンジンと言えるのである。



※作者の個人的意見

米連で出せる適当な重爆無いかなぁ?なんて探したらこんなん出てきてビックリです。太平洋戦争前にこんな化け物飛ばしてる米帝チート過ぎじゃろ……:(;゛゜'ω゜'):






間宮


排水量:18900t(基準)

全長:193.0m 

全幅:24.0m 

喫水:6.4m

機関:MAN式2号ディーゼル4基2軸推進(主機)

   ターボコンパウンド・デルティック4基(発電用)

最大出力:24000馬力(主機)

     20000馬力(発電用)

最大速力:23.5kt

航続距離:16ノット/25000浬

乗員:240名(平時)

兵装:非武装(平時)

   重油4500t 清水1000t 2万人の3週間分の食材 

電探:二号一型1基(対空監視用)

   二号二型1基(水上警戒用)


この世界における給糧艦『間宮』であり、現時点では世界最大の給糧艦である。

同形艦は『伊良湖』


関東大震災の復興段階で帝国海軍は『さんふらわぁ丸』に注目していた。

カナダからの支援物資を大量に積載し、トラックごと迅速に下ろす様子は多くの海軍軍人強い印象を与えていたのである。


就航当時のさんふらわぁ丸は、ディーゼル機関を搭載した数少ない大型船舶であった。

燃費と搭載量に優れていたために、当初は空母の設計に流用が試みられた。


しかし、空母への図面流用は最終的に却下された。

紆余曲折の末に給糧艦の設計ベースとなり、1923年12月に間宮が平成造船に発注されている。


この世界の間宮は設備の電化が推し進められており、主機とは別に発電機用のディーゼル機関を搭載していた。

当初は主機と同じくMAN式2号ディーゼルが搭載されていたが、船内設備の過密化による搭載スペースの減少によってコンパクトで大出力なターボコンパウンド・デルティックに換装されている。これらのエンジンは点検と交換を容易にするために間宮の煙突の基部に設置されていた。


間宮を作れると知った平成造船のモブたちが大いに張り切った結果、この世界の間宮は史実以上の船体規模に充実しまくりな食品製造工場が所狭しと詰め込まれた。床屋や風呂、レストランなどはもちろんのこと、ビリヤードなどの各種遊技場も充実しており、来航すると艦隊将兵から熱烈な歓迎を受けることなった。


史実においては間宮羊羹が将兵の人気を集めたが、この世界では洗濯板と呼ばれる菓子が人気であった。洗濯板は餡が入ったパン菓子なのであるが、そのサイズがリアル洗濯板であった。値段は他の菓子と同等なのでコスパはずば抜けており、甘党からは絶大な支持を受けることになった。争奪戦になることも常だったという。



※作者の個人的意見

間宮を大型化したかったけど、あの時代に適当な船舶が無かったのでさんふらわぁ丸の設計を流用という形にしました。

ツッコミどころ満載なターボコンパウンドデルティックの採用ですが、この時代の船にオール電化な調理環境を実現するには小型高性能な発電機が不可欠なわけで。煙突の基部に置いてしまえば故障しても簡単に丸ごと交換出来るのでアリかなぁと(オイ


史実の間宮も相当にグルメな艦だったでしょうが、この世界の間宮は飽食の世に生まれた平成会のモブが全面的に監修しています。史実以上に味が良いのは確実でしょう。


洗濯板は長年謎に包まれていたのですが、最近になって資料が発掘されたようです。長方形なあんぱんで、見た目が洗濯板っぽいからその名が付いたのだとか。この世界の洗濯板は平成会の調理モブが暴走してリアル洗濯板サイズにしたので食べ応えはあるでしょうねw






明石(1945年)


排水量:15900t(満載)

全長:189.6m 

全幅:28.8m 

喫水:6.6m

機関:ターボコンパウンド・デルティック・エレクトリック4基2軸推進(主機)

   ターボコンパウンド・デルティック8基(発電用)

最大出力:22000馬力(主機)

     41000馬力(発電用)

最大速力:21.5kt

航続距離:16ノット/17000浬

乗員:800名(乗員+工作部)

兵装:50口径ボ式10.5cm連装両用砲4基

   60口径マ式20mm連装機銃4基

電探:二号一型1基(対空監視用)

   二号二型1基(水上警戒用)


この世界における『明石』

史実よりも船体が大型化している。


あらゆる修理工事が可能な文字通りの移動する海軍工廠。

英国製の最新工作機械を満載しており、連合艦隊の平時年間修理量の半分を処理することが可能であった。


1943年に近代化改修を受けた際に主機がディーゼル・エレクトリックに交換された。主機と発電用のターボコンパウンド・デルティック(+発電機)は明石の大型煙突の基部に設置されて点検と交換が容易になっている。


間宮と同じく極めて重要度の高い艦であり、戦地へ派遣する際は派遣先から護衛戦力が提供されるのが常であった。


   

※作者の個人的意見

ただのディーゼルエレクトリックではない。

デルティックのディーゼルエレクトリックだ……って、思いっきり変態的な艦になっちゃったなぁ(汗


明石と同じく大量の作業機械を稼働させるのに膨大な電力が必要だし、船体を大型化したといってもすぐに手狭になっちゃうし。

煙突基部まとめて配置しちゃえば船内スペースの有効活用が出来るのではないかと。デルティックのメンテは丸ごと交換が前提(暴論)なんだから、煙突基部や船外への設置は理にかなっていると思うんですよねぇ。






紀伊(1945年)


排水量:63000t(基準) 65500t(公試) 

全長:279.5m 

全幅:37.1m

吃水:10.23m

機関:ターボコンパウンド・デルティック40基4軸推進

最大出力:200000馬力

最大速力:31kt

航続距離:16kt/25000浬 

乗員:3500名(航空関連込み)

兵装:45口径51cm連装砲3基

   60口径15.5cm3連装砲6基

   40口径12.7cm連装高角砲6基  

   油圧カタパルト2基

   航空機20機(索敵・弾着観測・上空直掩用)  

装甲:舷側400mm(最大)

   甲板240mm(最大)

   主砲塔660mm(前盾最大厚) 

電探:二号一型改5 1基(対空監視用)

   二号二型改4 1基(水上警戒用)


帝国海軍の新型戦艦。

ロンドン海軍軍縮条約が期限切れを迎えたことで建造された新型戦艦3隻のうちの1隻である。


艦政本部(藤本案)が設計を進めている新型戦艦に不満を持った海軍の戦艦派が平賀譲に個人的に依頼したものであり、ハワイ攻略のために51サンチという前例のない巨砲を搭載しているのが特徴である。


外観上の特徴は艦首に集中配置された主砲と艦体後部の航空設備である。

長大な艦体後部に設置される航空甲板によって、水上機ではなく本格的な航空機運用が考慮されている。


1940年に油圧カタパルトが2基追加装備されている。

これは史実米軍の油圧カタパルトを参考にしたものであり、重量8tの機体を140km/hで射出出来た。射出間隔も40秒で実用的なものであった。実際に運用すると問題点も多く、想定の運用が出来なかったのであるが。


1944年にハワイで改修工事が実施されており、その際に着艦用のアングルドデッキが装着されている。

通常のアングルドデッキとは進行方向が逆になっており、相対速度差が縮まって着艦しやすいとパイロットからは好評であった。


徹底した集中防御がなされており、バイタルパートは全長の半分以下となっている。主砲と副砲、さらに機関部に至るまで箱状に構成された強固なバイタルパート内部に収納されており、2万ないし3万mからの46サンチ砲弾に耐えうる防御が施されている。


バイタルパートの圧縮と高速を発揮出来るだけの出力を維持しつつ、省スペースという矛盾極まりない要求を満たすために主機にはターボコンパウンド・デルティックが採用されている。これは英国海軍で魚雷艇用に採用されているデルティックをターボコンパウンド化したものであり、極めて小型でありながらも比類なき出力と燃費を両立出来る超高性能ディーゼルであった。


信頼できる技術に拘る平賀はこのエンジンの採用を渋ったのであるが、英国海軍がクイーンエリザベス(QE)型高速戦艦の主機にディーゼルを採用していることに加えて、機関のメンテがエンジンの交換で済むので迅速に復帰出来るメリットを力説されて採用に踏み切っている。



※作者の個人的意見

史実の戦艦大和(平賀素案)を46サンチ砲3連装から51サンチ連装に手直ししたものです。ちなみに防御は弄っていません。対応防御という観点なら51サンチ砲防御にするべきでしょうけど、46サンチに耐えられれば十分だと思ったからです。計算がめんどいというのもありますけどw


ちなみに、ターボコンパウンド・デルティックなんてゲテモノ(誉め言葉)を主機に採用したのはQE型高速戦艦に搭載している艦船用デルティックの情報提供を求めたらネイピア社が押し付けて来たからです。新機軸を他所様で実験する英国の悪い癖が出てしまったようですw


でもまぁ、この世界のデルティックは信頼性は充分なほど確保されていますのでそれほど酷いことにはならないでしょう。定格を落として5000馬力で運用すれば5000時間くらいはノーメンテでいけるはず。実際はフル出力での運転なんかそうそうしないのでメンテまでの期間はもっと伸びるでしょう。定期点検でドック入りしたついでにエンジンを交換しちゃえば良いのです。


40基搭載ということは、1軸あたり10基ということになります。

搭載場所に困りそうですが、ターボコンパウンド・デルティック(C18)のスペックは全長3.15m、全幅1.65m、全高1.96mで5t未満という超小型なのでどうとでもなります。効率を突き詰めるなら多段配置してしまうのが正解でしょうね。その場合、出力を統合するギアボックスの設計で苦労することになるかもしれませんけど。


あとこの戦艦が建造されたら運動性は劣悪極まりないと思います。

全長が長いから直線だけなら30ノット出せるでしょうけど、トップヘビーなので史実ネルソンのようにタンカー呼ばわりされることでしょう。


計画案から油圧カタパルトを2基追加しました。

この時代に実用化出来たら、大概の日本機は発艦出来るでしょう。冗談抜きで航空戦艦になってしまいましたw






萱場製作所 オ号対潜攻撃機


全長:11.4m(本体のみ) 

全幅:10.0m(固定翼) 

全高:3.45m

ローター径:13.4m   

機体重量(自重/全備):2765kg/5170kg  

最大速度:280km/h(巡航速度) 370km/h(最大速度)

航続距離:1530km

上昇限度:5700m

武装:60kg爆雷×10

エンジン:三菱 金星六二型 空冷星型14気筒 1560馬力

乗員:3名(パイロット+KMXオペレーター+爆撃手)


萱場製作所が開発したヘリプレーン2型を対潜哨戒ヘリに転用したもの。

見も蓋も無い言い方をすれば、史実のバイアセッキ16Hパスファインダーもどきである。


なお、オ号のオはオートジャイロの略である。

機体の中身はオートジャイロというよりも、複合ヘリコプターである。


ヘリプレーン2型は優れた性能を示したが、陸軍の制式輸送ヘリに採用されたのは平成飛行機の『旋風』であった。しかし、海軍上層部はヘリプレーン2型の高速性能に着目しており輸送ではなく対潜哨戒目的への転用を試みた。


海軍から依頼を受けた萱場製作所では機首周りを改造して、新型のKMXを装備させた。固定翼にもマウントが追加されており、60kg爆雷を左右に5個ずつ装備することが可能になっている。


新型のKMXは機首から複数の受信機で同時に検知することで探知精度を上げる仕組みであった。精度が上がる分、探知範囲はどうしても狭くなってしまう。それ故に低速で飛行だけでなくホバリングまで出来るオートジャイロは最適であった。



※作者の個人的意見

バイアセッキ16Hパスファインダーなんて、マニアックな機体を引っ張り出したのは完全に見た目ですw

おいらの思い描くヘリプレーン2型のイメージにピッタリだったのですよ(*´ω`)






ポーパス級潜水艦


排水量:1310t(水上) 1930t(水中)

全長:91.74m

全幅:7.59m

吃水:4.0m

機関:GM201Aディーゼルエンジン4基+電動機4基2軸推進

最大出力:4300馬力(水上) 2085馬力(水中)

最大速力:19.0ノット(水上) 8ノット(水中:モーター使用時)

航続距離:10ノット/11000浬(水上) 5ノット/50浬(水中:モーター使用時)

乗員:73名

兵装:50口径76mm高角砲1基

   12.7mm機銃2基

   7.62mm機銃2基

   21インチ魚雷発射管6基(艦首4 艦尾2)

   外装式魚雷発射管2基(艦首2)

   魚雷18本


ヴィンソン計画によって建造された艦隊型潜水艦。

同形艦は『パーチ』『ポンパーノ』『プランジャー』『ポラック』『パイナップル』『パワフル』他多数。


現時点でもアメリカ連邦海軍の主力潜水艦である。



※作者の個人的意見

この世界における現時点でのガトー級ポジ。

ショッカー戦闘員の如く、わらわら出てきて刈り取られるやられ役であります(酷


あまりにもやら過ぎて、ガトー級かその発展型の投入が早まるかもしれませんねw

なお、ネーミングはPの付く単語から取っていたりします。






ブルックリン


排水量:9700t(基準) 

全長:185.4m 

全幅:18.9m

吃水:6.9m

機関:バブコック・アンド・ウィルコックス式重油専焼水管缶8基+パーソンズ式ギヤードタービン4基4軸推進

最大出力:100000馬力

最大速力:33.6ノット

航続距離:15ノット/10000浬 

乗員:868名

兵装:47口径15.2cm3連装速射砲5基

   25口径12.7cm単装高角砲8基

   56口径40mm4連装機関砲4基 

   70口径13mm連装機関砲2基

   70口径20mm機銃24門   

   ブローニング12.7mm機銃8門

   カタパルト2基

   水上機4機

装甲:舷側127mm

   司令塔125mm

   甲板51mm

   砲塔165mm(前盾)

      38mm(側盾)

      51mm(天蓋)


旧アメリカ合衆国のヴィンソン計画によって大量建造されたブルックリン級巡洋艦のネームシップ。

同形艦は『フィラデルフィア』『ナッシュビル』『サバンナ』『フェニックス』『ボイシ』『ホノルル』他40隻。

 

旧アメリカ合衆国の主力巡洋艦にして、現在の米連海軍の主力巡洋艦である。

1943年の太平洋での戦闘によって太平洋方面に配備されていた20隻はほぼ全滅の憂き目に遭っている。



※作者の個人的意見

名前を考えるだけなら楽なんですけどね。

地方都市なんだから。ただ、重複する可能性があってめんどくさいだけで(´・ω・`)






三菱 零式艦上戦闘機 二二型改


全長:9.237m   

全幅:11.0m    

全高:3.57m     

重量:2100kg    

翼面積:21.30㎡

最大速度:555km/h

実用上昇限度:11200m

航続距離:1100km(増槽込み:1500km)

武装:13.2mm機銃×2(翼内) 20mm機関砲×2(翼内)

  :30kg爆弾2個 or 60kg爆弾2個 or 30kg小型ロケット弾4発

エンジン:三菱 金星六二型 空冷星型14気筒 1560馬力

乗員:1名


1940年に制式採用された海軍の主力艦上戦闘機。

この世界におけるゼロ戦であり、その中身は史実の六四型もどきである。


史実の六四型は中島製『栄』の代わりに直径は大きいが出力も大きい自社製エンジンの『金星』を採用した機種であった。この世界では平成会の技術チートの恩恵で三菱のエンジン技術も加速しており、早期に金星を完成させたことで初期タイプから金星を搭載することが可能になっている。


機体の設計は史実と同じく堀越二郎が行っている。

全体的なシルエットは史実のゼロ戦と大差無く、曲面を多用した流麗なシルエットになった。


大きく違うのは厚板構造が採用されたことである。

板厚を増す代わりに主翼の桁数を減らしており、部品点数の削減と強度の維持を両立している。


この世界の日本では100オクタン燃料が潤沢に供給されているので、史実で装備されていた水メタ噴射装置とタンクは搭載されていない。噴射装置とタンクと水メタを合わせて200kg近い軽量化が可能となった。


浮いた重量は主翼内燃料タンクの自動消火装置とコクピット周辺の防弾装備に充てられている。そのおかげで、この世界の零戦は異様にタフでしぶとい戦闘機となった。


カタパルト射出に対応した装備を追加されたモデルは二二型改と呼称された。

戦艦紀伊に搭載された機体を急遽改造したためにこのような名称となったのであるが、他の機体も全てカタパルト射出対応に改修されたので改型は紀伊に搭載されたゼロ戦を指すことが多い。



※作者の個人的感想

やっぱりゼロ戦を出さなきゃというわけで、作ってみました。

なんのかんの言っても1500馬力級なので、この時代に出せば無双出来るでしょう。


自動消火装置は史実のキ83に装備されてたやつです。

タンク内に窒素を充填して被弾時に気化したガソリンが爆発するのを防いでくれます。これが有ると無いとでは大違いで、この世界のゼロ戦は被弾してもしぶとく生き残れるでしょう。


13.2mmと20mmの組み合わせは史実通りです。

金星の搭載でエンジンルームに余裕が無くなったので全て主翼装備です。


最初は20mm4丁積もうと思ったけど、すぐ弾切れになりそうなので止めました。12.7mも考えたのですが、そもそも史実の13.2mmはブローニングのコピーで命中精度も悪くないとのことなので、そのまま採用しています。


でも20mm4丁でもいけるとは思うんですよね。

史実と違って厚板構造で機体強度はあるし、長銃身の2号銃を使えばそこまで命中率は悪化しないはず。派生型で出すのはありでしょうね。






ヨークタウン


排水量:25500t(満載)

全長:251.38m

全幅:33.38m

吃水:7.9m

機関:バブコック&ウィルコックス製水管ボイラー×9基+ギヤードタービン4基4軸推進

最大出力:120000馬力

最大速力:32.5ノット

航続距離:15ノット/12500浬/

乗員:2217名

兵装:50口径12.7mm機関砲24基

   Mk12 5インチ単装砲8基

   1.1インチ4連装対空機銃4基

   艦載機70機(補用機含む)

   エレベーター3基

装甲:舷側64~102mm

   水密隔壁100mm

   司令塔100mm(側面) 75mm(天面)


旧アメリカ合衆国のヴィンソン計画によって大量建造されたヨークタウン級空母のネームシップ。


同形艦は『エンタープライズ』『ホーネット』『サバンナ』『スタンウィックス』『セントジョンズ』『タイコンデロガ』『ブーンズボロ』『ボストン』『ミフリン』

 

旧アメリカ合衆国の主力正規空母にして、現在の米連海軍の主力正規空母である。

10隻という建造数は正規空母としては空前絶後であり、その存在を知った帝国海軍の空母マフィアに多大な衝撃を与えることになった。


史実と比べて艦載機の搭載数が減少しているのは機体が大型化したためである。

F5Fを運用するためにエレベーター自体も大型化している。


1946年1月下旬に『ブーンズボロ』と『ボストン』を喪失したことにより太平洋戦域における米連の稼働空母は一時的にではあるがゼロとなった。しかし、米連は急速に戦力を回復どころか戦力を拡大したためにその活動が鈍ることは無かった。



※作者の個人的意見

現時点で判明しているのは、サバンナ、ホーネット、ブーンズボロ、ボストンが撃沈。残りは中破以上で全部ドック入りです。でもまぁ、これ以上の数が作られるんですけどね。しかも、性能アップしたやつが。これだから米連チートは…( ´Д`)=3

元より締め切りギリギリな状況だったところに、仕事帰りに原付が故障して更新が遅れちゃいました。本編も月末は無理っぽいので気長にお待ちくださいね(´・ω・`)


三式弾にVT信管の組み合わせは浪漫。

信管調定無しでエアバースト射撃出来るとか便利過ぎます。51サンチ砲でそれをやるのは費用対効果が激しく疑問ですけどw


>海軍の査問会

軍法会議と混同されがちですけど別物です。

直接処罰されることはありませんが、史実の美保関事件のように海軍法務局が関係者を起訴した事例はあります。


>紛争当事国からの宣戦布告文が届かない以上は戦時では無い

少なくとも当時の日本が宣戦布告文を重要視していたのは間違いないです。日清・日露戦争ではきちんと布告しているし、間に合わなかったけど真珠湾攻撃の際にも布告しようとはしていました。間に合わなかったけど。


>米連とは開戦していないと言い張っていたのである。

ここでトロツキーが強く否定していれば、また違った展開になったのですが。

後に戦争の開戦責任を問われる状況になると面倒になると考えたのか、そこらへんを曖昧にしてしまったのです。


英国が米連に宣戦布告すれば話は別です。

そうなれば、日英同盟の自動参戦義務で宣戦布告無しでも戦争状態になります。


>平成会派の主催する勉強会で多少は矯正された

自援SS『変態日本海軍事情―下克上を目論む海軍非主流派編―』参照。

矯正されても赤褌一丁でポン刀持って剣舞します(滝汗


>陸軍としては海軍の結論に反対である!

某海戦シュミレーション好きにはお馴染みのセリフ。

もう新作は出ないのかねぇ…( ´Д`)=3


>陸軍が査問会に介入したことで完全に流れが変わることになった。

戦争が始まっていない状態(陸軍的観点)でこれ以上海軍に戦果を挙げられると困るわけです。海軍のメンツを潰した怒りの矛先は海軍大臣に向けられましたとさ。


>「流石は海軍の名物男。女遊びは達者だな」

歴戦のエースで武道の達人で男前!

これでもてないわけがない。というか、チート過ぎるじゃろこの人(;´Д`)


>ヴィンソン計画

自援SS『変態アメリカ国内事情―アメリカ海軍の逆襲編―』参照。

200万t分の新造艦艇によって、旧式艦を一挙にリニューアルする米海軍再建プロジェクトでした。なお、原資となったメラ手形は合衆国崩壊によってうやむやになりました(酷


>『ル〇ィ並みに質が悪いぞ!?』

2年の修行で別人の如く強さになっちゃいましたからねぇ。

同じレベルで米連も戦力強化されたら、戦意喪失してもおかしくないですね。


>だからこそ米連との戦争に頑として反対していた。

史実でも昭和帝の意図を最大限に汲んで戦争回避に動いています。


>「最近は痩せたらしいからな。男妾としては最適だろうよ!?」

東條への盲従ぶりで史実でも男妾呼ばわりされていたりします。


>山本は同期の嫌われぶりに心底同情してしまう。

史実の山本五十六と島田繫太郎は海軍兵学校の同期(32期)だったりします。


>紀伊自体にも試作型ソナーが搭載された

じつは平成造船が鯨探機を試作する過程で生まれた副産物という設定があったりします。小型するはずが何故か大型大出力になってしまい、搭載出来る艦が無くてドックの片隅に転がっていました。紀伊のバルバスバウ装着で艦首部分を開腹する必要が生じたので在庫処分として搭載したのが真相だったりします。とはいえ、従来型と比較して大出力なのでアクティブソナーとしては優秀なのですが。


>「コッペパンを要求する!」

最近は新作も出ていますね(*´ω`)

それはともかくとして、コッペパンはじつは日本生まれだったりします。当然、史実の間宮でも作られていたことでしょう。知らんけど(´・ω・`)


>洗濯板は史実の間宮でも作られていた。

おいらが洗濯板の存在を知ったのは、坂崎ふれでぃ先生の同人誌でした。

当時は洗濯板サイズの羊羹という仮説がありましたが、近年になって具体的な文献が見つかって再現されています。


>そのサイズは縦540mm

間宮で勤務している平成会の調理モブがバカ正直に当時の洗濯板サイズで作ってしまいましたw


>この時代だと浴槽どころか洗面器しか使えなかった。

洗面器3杯の水で全身を洗っていたとか。

今では考えられない環境ですよねぇ(;^ω^)


>結果として、間宮では潤沢に水が使えることになった。

常にエンジンを動かしているから真水はいつでも作れるわけで。

とはいえ、蒸留した水は美味しくないので生活用水としての利用がメインになるわけですが。


>史実と変わらぬ味が再現されていたからであろう。

間宮の羊羹は、海軍に羊羹を売り込んだ老舗の羊羹屋が舌を巻くほどの味だったらしいです。



>米連海軍潜水艦『ぺリル』

意味は致命的な危険です。

艦名にそんな不吉な名前を付けるなと言いたいところですが、海外だと割とある事例(HMSテラーとか)だったりします。


>衛生兵がソナーマンの状態をチェックする。

日本の伊号潜には軍医が乗艦していましたが、アメリカの潜水艦は基本的に衛生兵しか乗っていませんでした。


>帝国海軍の基準で見れば、対空火力の密度は今ひとつであった。

帝国海軍の基準=史実の米国海軍です。

今の米連にそのレベルを求めるのは酷でしょう。今は、ですが。


>米連海軍は偵察飛行隊(スコードロン)で索敵と攻撃を兼任していた。

これが帝国海軍ならば艦偵による多段索敵なので分かりやすいのですけどね。


>残存空母部隊

本編第112話『ハワイ攻略作戦』参照。

帝国海軍にちょっかいを描けた結果、太平洋に配備されたヨークタウン級の60%に損害が出ています。

 

薬嚢(やくのう)

ミリオタ風に言うならばコルダイトチャージ。

沈黙の艦体で砲弾の後ろからゴロゴロと転がっていましたね。


>18m測距儀

51サンチという空前の巨砲を活かすには15m測距儀では能力不足。

というわけで、ニコンに無理を言って作ってもらいました(オイ


>巡洋艦・戦艦用の大出力電波近接信管

通常サイズのVT信管ならば30m程度が作動範囲ですが、こいつは300m程度で作動します。三式弾での使用が前提であることは言うまでもありません。というか、実質専用です。


>エアバースト射撃

砲弾や銃弾を目標の手前や頭上の空中で爆発させて広範囲に破片を飛散させて攻撃する射撃方法です。

日本語だと曳火射撃とも。通常信管だと調定の必要があるのですが、VT信管だとそのまま撃てるのでエアバースト射撃に向いています。


>防弾性皆無なブリッジ

これに関しては日本の空母も笑えないというか。

甲板上に重量物を置くと復元性が悪化するので致し方なしではあるのですが。


>二号一型改5

史実の二号一型を改良しまくったら別物と化しました。

Aスコープなんて使ってないし、対空射撃にでも対応しちゃっています。


>鳥撃ち

史実の宇垣纏は狩猟と釣りが趣味でした。

特に鳥撃ちが得意で狩猟に出たら確実に狩ってきたとか。


>『……別にアレを全部落としてしまってもかまわないですな?』

相手がバーサーカーじゃなければ楽勝です。

きっちり6回斉射して殲滅しました。

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― 新着の感想 ―
戦爆積んだ航空戦艦で大暴れ・・・。鋼鉄の咆哮を思い出します。
 アルカディア号か無敵戦艦ダイの如く暴れ回ってるな。空母による艦載機攻撃のが強いのは解ってるけど、殴り合うならやっぱ戦艦だわな。
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