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第二十二話

「私はオルタを斬ればいいんでしょう?」

「なんでだよ!」

 剣を今にも抜こうとする動きを見せるカレンを止める。


「フォナとフィナの愚痴を聞いてアドバイスしてやってくれないか?お前、面倒見いいだろ?」

「なんで私が……といいたいけど。まあいいわ、変わってあげる」


 天使とチビ天使達は、改めて俺に軽く手を振ると歪んだ空間へと帰っていく。

 俺とカレンのコピーが残され歪んだ空間が消えるとフォナとフィナが動き出す。

 

「聞いてるのか?オルタ」

「オルタさんはもう少し、私達の話を真面目に聞くべきだと思います」


 カレンの方へと向いて、フォナとフィナが激昂する。


「聞いてるわよ、それからどうしたの?」


 カレンは姉後肌で、アドバイスや相談、愚痴等を聞きなれており、

 フォナ、フィナの事情に精通しており、二人から尊敬される人物だ。


 二人の愚痴を聞き、時折アドバイスをしながら親身になって相談に乗る、という点については確かに適役だ。

 任せておけば安心だな、と俺は目を閉じて少し休む事にする。

『すまんが後は頼む、カレン。俺、もう限界だわ……』

『任せときなさい』


 目を閉じて少し経つと、『ガチャン』というガラスの割れる音で叩き起こされた。

 激昂した二人がテーブルのガラスを横にはねのけたのだ。


 フォナとフィナがカレンを睨んでいる。

「も、もう一度言ってみろ」

 カレンは、息を吸い込んで言った。

「聞こえなかった?ならもう一回言うわ、甘えったれるなっていったのよ」


 めちゃくちゃ険悪になっていた。

 

『お、おいカレン……』

『何よ』

『なんで喧嘩してるんだよ!愚痴なんだから流せばいいだけだろ……』

『うるさい、あんたは黙れ』


 二人だけだと冒険が難しい

 どこかいいパーティーは無いか

 ガストが邪魔するから普通のパーティーには入れない

 カレンさんやシアさんの様子はどうですか?

 オルタさん辞めたんですよね

 カレンさん達のパーティーを抜けたの後悔してないですか?

 使えないジョブになった事が原因ですか?

 

「愚痴を聞くのはいいけど、いいたい事があるならはっきり言いなさいよ!」

「いいたい事って……私達は近況を話し合ってるだけじゃないか」

「黙れフォナ。二人だと冒険が難しい?それはアンタらが選んだんでしょうが」

 一つ一つの愚痴にカレンが返していく。

「どこかいいパーティーは無いか?いくつ上げても粗をあげるかガストのせいにして入れないって言うだけじゃない」

 うん、俺がさっきまでフォナやフィナとやり取りした事だった。

「で、でも本当に入りづらいんですよ?」

 

 フィナがフォローする言葉をさえぎってカレンは言った。

「ガストが入ってほしそうにしているでしょう?解らないとは言わせないわよ?二人だと難しいなら入ればいいじゃない」


「でも、ビキニアーマーとマイクロビキニを見せろと言ってくる人のパーティーですよ?」

「ガストに無理強いする度胸はないでしょう?上級剣士と上級魔法使いとして扱えと言えば悪い扱いはされないはずよ?」


 そう、ガストは口だけなのだ。

 元々虐げられたパーティーに居たせいか、メンバーも雰囲気重視で選んでいる。

 ガスト達のパーティーはうちに負けず劣らず楽しそうにやっている。


「それ解るが、直接加入を求められる訳でもなく、邪魔をして私達に加入させようとするのが気に食わないと言っただろう」

「でも、それ貴方達が今やってる事じゃないの」

「私達はそんな事していないぞ!」

「あら、私の勘違いかしら。カレン達のパーティーに入りたい訳じゃなかったのね?私から、フォナフィナを自分の代わりにって推薦させたいのかと思ってたわ」

「それは……」


 遠まわしにそういう雰囲気は感じていた。

 

「入りたいなら素直に言えばいいだけでしょう?パーティー入れてください、と」


 カレンは自分で欲しい物は、欲しいと言わないとまわって来ない、という信念を持っている。

 人に勧められたので入れてください。そんな消極的な冒険者をカレンは嫌う。

 

 おっぱい柔らかそうだね、触りたいな、触れたらいいな、と言い続けても絶対に「じゃあ触る?」と言ってくれない。

 おっぱいを揉みたいから揉ませてくれと土下座して頼めば、一揉みくらいは許してくれる。そんな奴なのだ。

 

『揉ませないわよ、バカなの?』

 

「自分の中で結論が出てる時は自分で動きなさいよ。周りを動かして自分の目的を果たそうとするのは、小賢しいって言うの」

「オルタに何が解る!弱いジョブになってカレン達に捨てられた癖に!」

 酒の勢いか、いつもはオドオドとし気を遣う発言をするフォナとフィナが俺を否定する。

「弱いジョブには価値が無くて、強いジョブには価値がある?それ本気で言ってるの?」

 カレンはやや激昂し二人に言った。

「じゃあアンタ達はビキニアーマーやマイクロビキニを着た方が価値があり、今の貴方達は無価値って事でしょう?」

「オルタ!貴様……」

 フォナの声が小さく、低くなる。目が座り、睨みつけられる。

 怖え……。美人のマジギレは本当に怖い……。


『あの、カレンさん?』

『何よ』

『穏便に、穏便に……』

『ダメよ、こいつらの性根を叩き直してやらないと』


「表に出なさい。カレン達のパーティーに入れる強さか測ってあげるわ。アンタ達が弱いという私にアンタ達は本当に勝てるのかしら?」


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