あとがき
星と星の間に、どれほどの空隙があるのだろう。誰しも見上げた空の上に貼り付いた星について考えることはあるだろうが、その星と星との間に、何かを考えることはないかもしれない。
しかし、きっと、重要なのはその空隙であり、その空隙を『作り上げる仕組み』であるとも思う。そういう事に猛烈に心血を注いだ人の話を、昔書いたものだ。
あの時は、確か、バトンリレーを描く壮大な旅路だったはずだ。それが今や、これほど身近で、しかも、小さな一歩であるというのは、皮肉なことだと思う。
ただ、こんな言葉もある。
『That’s one small step for a man, one giant leap for mankind.』
1969年、アメリカ合衆国の宇宙飛行士ニール・アームストロングは、このように述べた。すなわち、一人の人間にとっては小さな一歩でも、人類にとっては大きな飛躍である、と。
人類はひとりの人間で成り立っている言葉ではない。それ故に、蝶が羽ばたくのと同じように、一人の人間の一歩が、人類を大きく動かす瞬間が時折訪れる。
それは、あの時の壮大な意志のバトンリレーだけではなくて、些細なボタンの掛け違いの時だってある。これはたぶん、そういう物語だ。
そして、ここまで書き進めて改めて、思う。この私の些細な指の運びが、人類にとってとは言わなくても、誰かにとっての大きな飛躍となるならばいいのに、と。
そんなことを思って、空を渡る明滅する光に、一指一指、電波を送る。




