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運命の経済学 Economics of Fate  作者: キズナ
第1章 自分と他人 善意と偽善
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2 募金や寄付の本質

会話が多くなってます。

この話は良くも悪くも募金や寄付のお話です。別に批判しているわけではないのでご了承下さい。

 会長の出す最初の問題で私の部屋に居る全員が驚いたのもつかの間、会長から新たな問題が提示された。



 「では、次に行こうか。これは問題と言うわけではない。君たちの意見を聞きたい。」

 「意見ですか?」

 「あぁ。だから率直な意見を聞かせてくれ。」

 会長はコインの問題と同様に私達に問いかけてきた。




 『スーパーやコンビニのレジでよく募金箱がある。その他にも災害などが起こった時募金を集めると言う習慣がある。多くの人がそれに応じていると思うが、この行為は善意だと思うか?それとも偽善だと思うか?』



 急にかなり難しい問いかけになった。



 「それって何の意味があるの?」

 高橋先輩が疑問を投げつける。

 「まぁ、さっきも言った通り意見を聞きたいだけなんだ。」

 「意見ですか…。僕は善意があればこその募金だと思いますけど。」

 「大体の意見は善意・偽善共にあると考えるだろうな。」

 高峰の意見に対して会長追加で質問をした。

 「なら、こう考えるとどうだろうか。募金の先ってなんだろう?って。募金されたお金は被災された方への至急物資となったり、小さな子供のワクチンや衣類になったりもする。じゃあ募金する人の心理的部分ってなんだろう?」

 「心理的?」

 会長のいっている意味が全く分からない。心理的って言われても募金する人の心理ってそもそも何?全然理解できない。



 「お金って使えば戻ってくるって言わないか?つまりだ、募金する人は少なからず多少はそのお金が戻ってくると思っているはずだ。」

 「戻ってくる?」

 「あぁ、募金する人って言うのは自分が被災者となった時には他人が募金してくれると思っているわけさ。これが戻ってくるって事だ。」

 「会長のいう事が正しいとしても、それは善意なのでは?」

 「橘君、それは何も見返りがないものなのか?」

 「え?どういう……。」

 「見返りを求めるという事はそれは偽善と思われても仕方ないのだよ。でもそれも一種の正しい行動と言うわけだ。」

 ちょっと何言ってるのか全然分からない。この会長大丈夫か?

 「君達は利己性と言う言葉を聞いた事はないか?」

 「りこ?」

 「あぁ、利己性だ。これは自分を中心に考える事を言う。一般的には自己中心的と言うのが分かりやすいか。」

 「なるほど。自己中心的と言われると分かりやすいですね。…でもそれって悪い意味ですよね?」

 「南条君。決まって悪い意味と言うわけではないんだ。例えば、A商店が商品αを販売していたとしよう。来店してきた客Bは商品αを買った。」

 「普通の事ですよね?」

 「商品αの商品価値が販売価格より低くてもそういえるかい?つまり、通常より高くBは買ってしまったという事だ。別にBを騙しているわけでもないし、Bもそれに気付いていない。でも、A商店では売上、つまり自分の利のために商品αの価値を高く設定していたんだ。」

 「酷い話ですね!」

 「でも商売だからこんな事は日常茶飯事なんだよ。この本だって。」

 会長が持っていたのは私の宝物だった。

 「会長!それをどこで!?」

 「橘君はこういうのが趣味なのか…ふむふむ。とまぁ冗談は置いておいて、この橘君のエロ本の定価は680円…。安いな!」

 「そこ驚くところじゃないです!!」

 恥ずかしくて顔を上げられない。早くこの話終わってくれ…。



 「この680円でも実際の単価はもっと安いんだ。印刷なんて何万部もしているだろうし、大量生産はすればするほど単価が安くなるからな。つまり、本来の単価、仮に200円としよう。この200円と680円の差が出版社の利益になるわけだ。もっと言えばここから更に人件費だったり色々引かれるんだがこの場では置いておく。つまりこの世に流通しているものっていうのはどんなものでもそうやって価値を上乗せして売られているって事だ。」

 「納得しました。」

 「よろしい。じゃあ話を戻すが、この利己性には対になるものがある。これが利他性だ。利己性が自己を中心に考えるものに対し利他性は相手を中心に考えるんだ。」

 「他人を中心ですか。」

 「つまり他人の幸せを願ったり、相手のことを考えるって事だ。でもそこには相手からの見返りや回ってくる何かを期待しているわけではない。」

 「正にさっきの募金の話じゃないんですか?」

 「一般的にはそう見えるね。じゃあ何で全財産出さないんだ?相手が幸せに、豊かになればいいはずなんだ。でもしない。それはやはり自分を中心に考えて、この程度なら出しても構わないと考えているからなんだ。」

 「なんだか屁理屈です。」

 「じゃあこう考えるとどうだ?利己性の中に利他性があるとしたら?」

 「自己中心に考える中に他人を中心に考える思考がある…。もう頭の中がぐちゃぐちゃです。」

 栞がここまで悩んでいるのは正直珍しい。

 「すまない南条君。困らせるつもりはないんだ。もっと簡単に言えば、自分中心に考えて行った募金の中には他人を思いやる利他性が含まれている。って事さ。」

 会長がウインクをしてドヤ顔を決めてきた。

 「おー。」

 何がおーか分からないが、どうやら皆納得したようだ。もちろん私も。

 


 「ちょっとここでもう一つ。利他性についてだが、日高は誰かを手助けした時にどういう気持ちになる?」

 「…よかった?ですかね?後はお礼を言われればそれはそれで気持ちいいとか?更に言えばそのまま罵倒されたいとか。」

 気持ち悪い笑顔で私たちを見てきた。

 こっちを向くなよ。



 「最後のは置いておいて、お礼を言ってもらいたい気持ちや助けた自分への満足感など、一見何も考えて居なくてもそれは見返りや自己満足と言う利己性が含まれているんだ。これがよく言う偽善と思ってしまう理屈になる。相手を批判する時は分かっているはずなのに、自分がする際はそれを考えない。」


 誰も何も言わなかった。会長の言っている事が正しいと感じてしまったからこそ自分達の行動とは何て自分中心に考えているんだと恥じてしまっていたのだ。一人を除いて。



 「おいおい、何皆暗くなってるんだよ。会長のいう事は確かに正しいかもしれない。でも実際それで生活できている人がいるし、だからこそ経済が回っているって俺は思うぜ?」

 祐二のくせになんかムカつく。



 「はっはっは。原田君の言うとおりだよ。だからこそ経済は回っているんだ。何も恥じる事はない。」


経済学を深く学んでいない私が言うのもなんですが、行動経済学って奥が深いんです。ただこれが言いたかっただけです。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

次回の最新話更新は午後10時を予定しています。

よければブックマーク、感想等お待ちしています。

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